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アクチュアリー試験【会計解説】平成29年問題4(3)

会計の処理方法の中には、様々な規制などの影響により理論的ではなく折り合いをつけるような処理がなされることがあります。

例えば減価償却の200%償却などもそうで、200%には理論的な意味はあまりなく、「こうするものだ」として納得しないといけないものがあります。

配当制限の計算においても、10分の1を準備金に積み立てる処理は、会社財産を確保するために会社法で定められているからであり、これも「こうするものだ」と知っておくしかありません。

ということで、問題4(3)は配当可能額を求める問題です。教科書ではP279~、設例13①の数値を代えただけとなっています。

配当可能額の問題は初学者にはなかなか難しく、論点としては細かくなるので、出題されるとすれば本問くらいのレベルになると思います。

配当可能額を算定するには、大きく3つのステップで考えていきます。

1 まずは、剰余金の額を算定します。

アクチュアリー会の解答や教科書の設例では、

剰余金=資産+自己株式-(負債+資本金+準備金+評価差額)

として計算しています。
しかし本問では、純資産の部の勘定科目から考えて、教科書P274図表11-7のように、

剰余金=その他資本剰余金+その他利益剰余金
             (任意積立金+繰越利益剰余金)
   =35+50+100
   =185

で算定する方がわかりやすいでしょう。

2 次に、分配可能額の算定です

教科書では細かく書かれているのですが、ほとんど見ることのない調整項目もあり、ここでは①自己株式に関する調整②のれん等調整額の2点を考えれば十分です。試験対策としても実務でもほぼほぼ十分だと思います。

本問においては、のれん繰延資産はなく、当期首から効力発生日までに純資産項目の変動がないため、難しいことは考えなくていいですよね。

分配可能額=剰余金-自己株式
     =185-50

で算定します。

3 最後に、実際に配当が可能な額を算定します

会社法の要求で、資本準備金と利益準備金の合計額が資本金の4分の1に達するまで配当の10分の1まで積立てることが求められるため、配当可能額に11分の10を掛けることで、実際に配当が可能な額が算定できます。

実際に配当が可能な額=分配可能額×11分の10
          =135×1/10
          ≒122.7


教科書では会社法における配当純資産の取り扱いに関しては必要最低限の記述に留まっています。
そのことからも、配当制限を計算問題として出すにはアクチュアリー試験においては、本問ぐらいの難易度の問題が限界のような気がします。
試験対策としては、本問くらいが解けるようにしておくとよいでしょうか。

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