【PHI】ドラフト指名選手(2024)
今回はフィリーズのドラフトについて述べていきます。それでは早速見ていきましょう。
1巡目全体27位(Dante Nori)
選手情報
スピートツールに長けたアスリートタイプの選手で、打撃センスに優れている。守備でもプラスの評価を受けている。2024年にMax Prep誌からミシガン最優秀選手に選出される。左打ち。
見解
注目される1巡目は5年連続の高校生指名となりました。アンダースロットを想定していなかった私にとっては全くノーマークの指名でした。アンダースロットには理解できますが、年齢がすでに19歳であることとそして178cm86kgの体格というすでに身体的に成熟しきっており、パワーを備えられるかどうか不明であることから若干疑問符が残る指名だと思います。
2巡目全体63位(Griffin Burkholder)
選手情報
スピートツールに長け、将来的なローパワーはプラスになると評価されている。スイングのタイミングに課題ありだが、改善の余地あり。右打ち。
見解
1巡目がアンダースロットであったので、2巡目は若干ですがオーバースロットになりました。身体的にまだ成熟していないため、パワーツールを備られたら、面白い存在になりそうです。個人的にはこの指名には好意的に見ています。
3巡目全体100位(John Spikerman)
選手情報
スピードツールとコンタクトツールに長けるスイッチヒッター。ビック12カンファレンスの週間最優秀選手に選出。パワーの評価はあまり高くない。有鈎骨骨折の経験あり。
見解
3巡連続でスピードタイプの外野手指名かと思いましたが、フィリーズはSSとして指名しました。アームが平均であることからフィリーズは2Bとして彼を育成していく方針だそうです。そうだとしても、3巡連続で同タイプの選手の指名は評価し難いです。
4巡目全体130位(Carson DeMartini)
選手情報
パワーツールに長けた左打ち。2024シーズンにD1ベースボール週間最優秀選手、パーフェクトゲーム週間最優秀選手、ボビーブラガン週間最優秀大学生打者、ACC週間最優秀選手に選出される。肩の手術でパワーに影響を及ぼした可能性あり。三振が多く、コンタクト能力に課題あり。
見解
3巡連続のスピードタイプの指名から一転、4巡目ではパワータイプの選手を指名しました。スイングは個人的にはかなり好みです。4巡連続でスピードタイプの指名は流石にないと思うので、4巡目で異なるタイプを指名したのは当然の選択だと思っています。
5巡目全体162位(Carter Mathison)
選手情報
ローパワーがプラスの評価を受けている左打ち。記事によってコンタクト能力とアプローチの評価は異なる。木製バットへの対応に課題あり。スピードとアームはプラスの評価を受ける。
見解
4巡目同様パワーツールに長けた選手を指名してきました。コンタクト能力は高い評価を受けているのが多数であったので、あとは木製バットへの対応次第かなと思います。個人的にフィリーズの野手指名の中で最も完成度が高い選手だと思っています。
6巡目全体192位(Kodey Shojinaga)
選手情報
コンタクトツールに長けた右打ち。パワーは平均との評価。Cでの指名となったが、内野手へのコンバートにより昨年ではCでの出場は1試合にとどまり、1B、2B、3Bの3ポジションをプレーした。
見解
昨年のDavin Salitibanと同じハワイ州出身の選手を6巡目で指名しました。苗字が日本人的なのでおそらく何らかの日本にルーツを持った選手かなと思います。Cとして指名したので、フィリーズはCで育成していくと思いますが、経験不足に若干懸念があります。
7巡目全体222位(Joel Dragoo)
選手情報
バレルコントロールやコンタクトツールになど様々なツールに長けた右打ち。2024年の3年生のシーズンではビックサウスの最優秀選手に選出された。今季はCFを中心に守っていたが、プロではRFに転向か。
見解
これで7巡連続野手指名となりました。今年度のドラフトでは野手、特にスピードツールとパワーツール型の選手の指名を中心とするドラフトになるのかなと思った指名でした。まだ若干フォームの粗さが目立つかなと思います。
8巡目全体252位(Camron Hill)
選手情報
198cm、97cmの長身左腕。フォーシームの平均は90マイルから94マイルを推移し、最速は96マイル。スライダーとチェンジアップを持つ。コマンドに難あり。
見解
7巡連続野手指名の後、今年度ドラフトではじめて投手の指名が8巡目で行われました。個人的に今季のドラフトで最も興味深い選手です。フォーシームの球速はまだまだ伸びる余地はありそう。まさに「未完の大器」です。フィリーズにはなかなかいないタイプだと思うのでどう育てていくか楽しみです。ロマンがあるので先発で育ててみてほしいです。
9巡目全体282位(Marcus Morgan)
選手情報
ファストボールは平均90マイル前半だが、ブルペンでは99マイルを記録したことがある。カッター、スイーパー、チェンジアップを持つ。明確にコマンドの課題あり。スピンレートは高い評価を受ける。
見解
2巡連続で投手の指名になりました。ブルペンで99マイルを計測していることからフィリーズ好みの投手でしょう。コマンドに課題ありとの指摘がありましたが、その割にはまとまっている印象を受けました。先発で育ててみるのも面白そうです。
10巡目全体312位(Brady Day)
選手情報
昨年のドラフトでブレーブスから12巡目で指名を受けるも契約せず、今年度は10巡目で指名を受けました。2023年にケープコッド・ベースボール・リーグのオールスターに選出、2024年にオールビック12のファーストチームに選出される。優れた打撃技術を持つ。左打ち。
見解
優れた打撃技術に加え内野と外野の経験があるので、ユーティリティープレイヤーとして育成していってほしいです。フォームはフィリーズ好みな感じがします。
11巡目全体342位(Titan Hayes)
選手情報
右腕。平均95マイルから98マイルのファストボールと80マイル後半のスライダーを持つ。ファストボールは100マイルに到達しているとのこと。
見解
3日目の最初の指名では大学生右腕を指名しました。大学でもブルペンを任されていたので、プロでもブルペンでキャリアを歩んでいくでしょう。
12巡目全体372位(A.J. Wilson)
選手情報
左腕。高い評価を受けるスイーパーと90マイル前半のファストボールを持つ。コマンドは良好。プロではブルペンへの転向の可能性あり。
見解
フィリーズによくいるタイプの左腕を12巡目で指名してきました。最初は先発で育成してみて、ダメだったらブルペンに転向する方針でもいいと思います。ファストボールを最速で90マイル中盤に持ってきてほしいところです。
13巡目全体402位(Tegan Cain)
選手情報
サイドアームデリバリーの右腕。ファストボールは平均90マイル中盤だが、98マイル、99マイルに到達している。他にスライダーとチェンジアップを持つ。コマンドに課題あり。
見解
3巡連続での大学生投手の指名となりました。また、6巡目に指名したKodey Shojinagaと同じ大学出身です。変化球の向上次第では支配的なリリーフになれそうだと思います。
14巡目全体432位(Jared Spencer)
選手情報
平均90マイル前半から中盤のファストボールと優れたスライダーを持つ。ファストボールは98マイルに到達している。デリバリーとコントロールに課題あり。
見解
身体的な将来性はまだ残っているため、球速も伸びる余地がありそうです。ブルペンの適性があるので、ブルペンで育成していく方針でいいと思います。
15巡目全体462位(Luke Gabrysh)
選手情報
92マイルから95マイルのシンカーとスピンレートの高いスイーパ―を持つ右腕。デリバリーは洗練されている。コマンドに課題あり。
見解
フィリーズが位置するフィラデルフィアのセント・ジョセフズ大学の投手を指名しました。リリーバとされていますが、個人的には先発で育成してほしいタイプです。ブルペンに転向するにはもう少しシンカーの球速の向上が必須となると思います。
16巡目全体492位(Eli Trop)
選手情報
平均93マイルから95マイルのファストボールとスライダーを持つ。ファストボールの最速は97マイルに達している。スライダーの開発が必須。右腕。
見解
15巡目の指名と同じくフィリーズが位置するフィラデルフィアのペンシルベニア大の投手を16巡目で指名しました。ファストボールで空振りが取れているとのことで、あとはスライダー次第かなと思っています。
17巡目全体522位(Ryan Degges)
選手情報
Baseball Americaによれば二刀流で活躍したのち2024年に投手に転向した。平均94マイル、最速97マイルのファストボールとスイーパーのコンビネーション。13巡目に指名されたWilsonと同じ大学出身。右腕。
見解
フルタイムでの投手経験が少ないことや身体的な将来性から伸びしろは十分にありそうに思います。先発で育成してみてもよさそうな感じがします。
18巡目全体552位(Kevin Warunek)
選手情報
2024年3月にビックサウスリリーフオブザウィークに選出された左腕。コマンドに課題を抱える。
見解
投球フォームはまとまっている印象です。ロングリリーバーが1番適性がありそうな感じがします。
19巡目全体582位(Erik Ritchie)
選手情報
先日21歳になったばかりの右腕。コマンドに課題あり。
見解
映像は少ないですが、投げているボール自体は悪くはないと思います。現地の人に「Erikはベースボールをドッジボールであるかのようにプレーする」と言われているので、どれくらいコマンドが悪いのか見るのが楽しみです。
20巡目全体612位(Kyler Carmack)
選手情報
ファストボールは平均90マイル前半、最速は96マイルに達し、チェンジアップはプラスの評価を受ける。コマンドに課題あり。
見解
おそらく今年度のドラフトで指名した投手の中で最も先発投手としてやれそうだと思います。球速の伸びしろの余地もあると思います。個人的に3日目のドラフトの中で1番興味深い選手です。
まとめ
今年のドラフトでは、野手を上位で、投手を下位で指名したフィリーズ。近年、投手育成に長けるチームが下位指名からでもMLBレベルでもやれる実力に育成することができるという自信がこのドラフトから表れていると思います。また、NoraやSanchezの長期のエクステンションとPainterやKlassenといった先発プロスペクトの存在などから、下位でのリリーバー中心の指名に至ったのではないかと思います。一方、上位に「打」を優先するなら、もう少し上位の指名での選択を考えるべきだと思いました。フィリーズのプロスペクトにはスピードタイプの選手が多いため、上位3指名をスピードタイプに使ったのはあまり評価できないものです。また、今回のドラフトでは上位2人を除いて大学生を指名してきたことに驚きが隠せないです。2巡目以降に高校生を指名しなかったのはこれが初めてだそうです。フィリーズの今年のボーナスプールはMLB27位($7,381,800)で、大学へのコミットメントがすでに確定している高校生への契約金を支払う余地があまりなかったことが、2巡目以降大学生のみの指名に至ったのではないかと指摘されています。このようなドラフトがどのように影響するか、指名された選手の成長とともに楽しみです。
●参考文献
*身長体重はBaseball Reference参照。