【PHI】戦力分析(2024)
いつもお世話になっております。積分定数Cです。
今回のnoteでは2024年シーズンのフィリーズの戦力分析に関して述べていきます。
先発
Zack Wheeler、Aaron Nolaの二枚看板を筆頭に、Ranger Suarez、Cristopher Sanchez、Taijuan Walkerの5人で形成されるローテーションはMLBでも屈指。なお、Taijuan Walkerは開幕絶望となっており、Spencer Turnbullがローテに入る。先発の注目すべき点は以下の3つ。
●ポイント
1.WheelerがWheelerであること、NolaがNolaであること
2.Cristopher Sanchezの更なる飛躍
3.Mick Abel
1.WheelerがWheelerであること、NolaがNolaであること
今オフ大型契約を手にした2人が、大きな離脱なく従来通りに活躍することがポストシーズン進出の大前提となる。昨年不調であったAaron Nolaは、昨シーズンキャリアワーストであった被本塁打数を減少できるかが復活の鍵となる。また、Zack Wheelerは対左打者のレパートリーとしてスプリットを組み込む。年齢を重ねるにつれて進化しておりキャリア初のサイ・ヤング賞受賞に期待したい。
2.Cristopher Sanchezの更なる飛躍
昨年ブレイクした27歳のサウスポー。昨年はフィリーズの先発ローテの中で最も安定感があった存在の1人であった。一方で、好投していたが5回で降板する試合が見られ、Thomsonからの信頼は完全には得られていない様子。スプリングトレーニングでは、短いイニングではあったが、昨年と比較してシンカーの平均球速が1.4マイル上昇し、更なる飛躍の気配を感じさせる。球速上昇とコマンドの維持の両立が飛躍の鍵となる。現段階では先発5番手だが、シーズン中盤以降はZack Wheeler、Aaron Nolaに次ぐ先発3番手としての地位を確立し、Thomsonからの完全な信頼を得られるような成績を期待したい。
3.Mick Abel
2024年MLB.comプロスペクトランキング全体49位、球団内プロスペクトランキング2位。
昨シーズン途中からジャイロスライダーとシンカーを採用。スプリングトレーニングではNYYのJuan Sotoから三振を奪うなど、ここまでアピールを続ている。また、シンカー以外の4球種から空振りを奪うなど、内容面も良好。彼の課題のコマンドがある程度改善すれば、早期の昇格が見込める。彼にとって真価が問われるシーズンとなる。
その他注目すべき重大な懸念事項としてTaijuan Walkerのフォーシーム系統の球速低下がある。彼にはイニングイーターとしてローテを回してもらいたいところ。
(本音を言えば、去年のポストシーズンで一度も登板できず、Thomsonを批判するツイートにいいねをしていたので、ポストシーズンで安心して登板させることのできるような成績を残してほしいが…)
ブルペン
奪三振能力に長けた投手が多いフィリーズのブルペンはMLBでも高い評価を受ける。ブルペンの注目すべき点は以下の2つ。
●ポイント
1.Orion Kerkering
2.DominguezのバウンスバックとSotoの躍進
1.Orion Kerkering
昨年デビューした22歳。昨シーズンは彼の奪三振能力をMLBレベルでも証明しつつ、ポストシーズンでの登板も経験したが、DbackとのNLCSでは精神的未熟さを露呈させ、ほろ苦いシーズンを送った。今オフではシンカーの改良を実行。MLBでも高く評価されるスイーパーを活かすためにシンカーをどれだけ効果的に使えるかが鍵となる。今シーズンではハイレバレッジの場面での登板が増加するOrion、彼の今シーズンのブレイクを願う。
*なお、Kerkeringはインフルエンザにより調整が不十分であるため、開幕はIL入りとなる。
2.Sotoの躍進とDominguezのバウンスバック
昨シーズンであまり頼りがいのなかった2人の活躍が今シーズンの鍵となる。Gregory Sotoは、xERAが2.79であるのに対し、ERAは4.62と大きな乖離があった。打球管理の指標も優秀であるので、指標通りの成績を残してほしい。また、Seranthony DomínguezもERAが3.78であったものの、FIPが4.84、WHIPが1.40と不安定な投球が見られた。K%が29.5(2022)→21.4(2023)と著しく悪化していることが不安定な投球の一因であり、K%の回復がバウンスバックに必要な要素となる。彼ら2人が安定した投球を維持できれば、ブルペンの中核を担うJose Alvarado、Jeff Hoffman、先日契約延長に至ったMatt Strahmの負担を軽減することが可能となるため、ある程度の信頼の得られる成績を残してくれることに期待。
ポイントには挙げなかったが、クローザー最有力候補のJose Alvaradoがシーズンを通して健康でいられるかに注目。また、スプリングトレーニングで結果を残しているYunior Marte、若いMicheal Mercado、Griff McGarryの台頭に期待。さらに、復活の期待がかかるConnor Brogdonにも注目していきたい。
打線、打撃
打線のラインナップはスーパースターが連なり、非常に豪華なものとなっている。打線、打撃の注目するべき点は以下の2つ。
●ポイント
1.長打、HR数
2.Rojas or Pacheの台頭
1.長打、HR数
昨年のフィリーズの月間と年間の長打数とHR数は以下の通り。
前半戦ではBryce Harperが打球角度をつけられなかったことやTrea Turnerの不調などチーム全体として想像以上に長打、HRが出ず、苦しんだ。昨シーズンのチームHR数では8位に終わった。ラインナップに連なる面々や本拠地のシチズンズ・バンク・パークが打者有利の球場であることを考慮すると長打、HR数ともに物足りなさを感じざるを得ない。今シーズンの打撃面では長打、HRの増加に期待したい。(特に、Alec BohmとBrandon Marsh)
2.Rojas or Pacheの台頭
昨シーズンデビューし、PSで苦しんだJohan Rojasはこのスプリングトレーニングでも苦しんでおり、結果を残せていない。しかし、データを見ると、スプリングトレーニングでの結果にはなるものの、K%は25.6(2023)→19.0(2024ST)、ストライクゾーン外のChase%は40.4(2023)→32.6(2024ST)と確実に成長している。Rojasは打撃フォームの改造に取り組んでおり、今は新しい打撃フォームに適応することがが最優先となる。
対照的にCristian Pacheはスプリングトレーニングで好調を維持している。Pacheは自分の状態に自信がある様子。
両者ともに開幕ロースター入りは果たしている。この2人の内のどちらかが定着することを期待している。
守備
守備の注目すべき点は以下の2つ。
●ポイント
1.Bryson StottとJohan Rojas
2.Trea Turner
昨年ゴールドグラブファイナリストに選出されたBryson Stottと392イニングながらDRS+15を叩き出したJohan Rojasに注目したい。
Bryson Stottは昨年OAA+16を叩き出し、これは700イニング以上出場した選手の中で3位となっている。また、RugRは1位、ErrRは2位となっている。しかし、DPRはー2.7を記録し、これは700イニング以上出場した選手の中で最下位(19位)となっている。今シーズンはDPRをどれだけ改善できるかが鍵となる。
Johan Rojasは392イニングの出場ながらDRS+15を稼いでおり、これ350イニング以上出場した選手の中で4位に位置する。フィリーズの外野手としてはShane Victorino以来のゴールドグラブ賞獲得に期待したい。
2.Trea Turner
DRSとOAAがそれぞれキャリアワーストのー12、ー4を記録した昨シーズンは、MLBワーストの23個の失策を記録。特に、RugRが3.0(2022)→1.1(2023)とレンジ(守備範囲)が大幅に狭まっていることが推測できる。既に30代に突入しているため、レンジ面での改善は厳しいが、エラー数はどうにか少なくしてくれることを願う。
ポイントには挙げなかったが、
Nick Castellanosがノーエラー記録を維持できるかどうかにも注目していきたい。
総括
ロースターの面々を見ると今シーズンもポストシーズンに進出できる確率はかなり高いと思われるが、投打守のどの面においても懸念事項は幾らか存在し、現段階ではポストシーズンで勝ち進む確率はかなり低いのではないかと考える。この懸念事項が顕在化した際や夏のトレードデッドラインで首脳陣やDave Dombrowskiを筆頭とするフロントがどのように対処するのかに注目していきたい。Dave Dombrowski就任以降、ファームシステムの強化を行い、中長期的に勝てるチーム形成を行っている。しかし、主力の大部分が30代に突入し、コンテンダーとして残された時間は刻一刻と迫っている。今年こそ悲願のワールドシリーズ制覇を達成してほしい。
最後まで読んで頂いき誠にありがとうございます。
●参考文献
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