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住宅ローンを完済したら抵当権の抹消手続きを忘れずに!

住宅ローンを支払っているうちは、住宅ローンが重荷となって精神的にも自由が制限されるところがありますよね。

「仕事、辞めたいけど辞められないな~」とか、
「生活費の節約のために水道代やガス代、電気代を節約している」という人、
または、「食費を節約している」という人もいますよね。

住宅ローンの支払いは、毎月決まった金額の支出となります。完済するまでの長い間、家計の支出の中で大きい割合を占めるものですから負担も大きいです。

そんな、重荷だった住宅ローンの支払を晴れて完済したら、抵当権の抹消手続きも忘れずに行いましょう。

抵当権って何?

現在、住宅ローン返済中という人も自分の住宅には借入先の抵当権が設定されているという事を知っていますよね。「抵当権」は、いわゆる「担保」です。

抵当権は、住宅ローンの支払ができなくなった(債務不履行)時のためにローンを組んだ住宅の土地や建物に金融機関が設定する権利です。登記簿謄本にもその記載がされています。

基本的に、抵当権の設定は司法書士が代行で金融機関が融資日に実行するように設定します。融資のタイミングと同時に抵当権の設定するのは、確実に行うためですね。

抵当権は、民法369条で定められた権利です。あまり詳しく理解していないなくても、マイホームを手に入れても「銀行の担保になっている=まだ自分の家ではない」という意識が強く、自分の家を守るためにも完済まで必死に支払うという強い意識が生まれるのだろうと思います。

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出典:法務省「不動産登記のABC

【登記簿謄本】

登記簿謄本とは、不動産なの登記記録が記載されたものです。

現在では、コンピューターで処理されており、法務局・地方法務局の登記所に登記簿謄本を取得しに行くとデーターを紙に印刷したもの(登記事項証明書)になります。ただし、今だコンピューター処理がされていない登記所に取得に行くと、昔ながらの登記簿謄本を複写したものが出てきます。

登記簿謄本も登記事項証明書も同じものですが、「登記簿謄本を取りに行く」で多くの人が理解するのは古くからの習慣だと思います。

【抵当権】

抵当権は、金融機関が設定する担保(土地や建物)ですね。

抵当権の設定がされている場合は登記簿謄本(登記事項証明書)の権利部(乙区)に権利者その他の事項に抵当権者(金融機関の住所と名称)、債権額(住宅ローンの総額)、利息などが記載されています。

■権利部(甲区):所有者の住所・氏名・登記の目的・取得年月日と取得原因を記録
■権利部(乙区):登記の目的・原因・権利者などを記録

登記簿謄本は、登記記録が記載されたものなので、住宅ローンを完済しても権利部(乙区)の欄が空白になる事はありません。権利が抹消されると、抵当権設定に下線が引かれてます。

ということは、住宅ローンを完済してもどこの金融機関でいくら借りていたのかという事が登記簿謄本をみれば過去の記録も分かるという事です。

ちなみに、抵当権はいくつも設定することが可能です。もちろん金融機関の審査が通ればですが、住宅を担保に融資を受けたいと考えた時に住宅ローン返済中であっても別の金融機関から融資を受ける事などもできます。

登記簿謄本には、登記を行った順番で抵当権順位が記載されます。住宅ローンの借入先金融機関は基本的に1番抵当権者になります。その後、2番抵当権者と続いていきます。債権者が債務不履行となった時に債権を回収することができる順番なので、抵当権の設定があるかどうかは住宅を担保に融資を受けたいと思った時に融資を受けられるかどうかに大きく影響する部分です。

登記簿謄本の権利部(乙区)には他にも根抵当権設定、地上権設定、地役権設定などが記載される部分になります。

完済したら自分で抵当権の抹消手続きを!

晴れて住宅ローンを完済したら、完全に住宅ローンの重荷から心身共に解放されるように抵当権の抹消をしたいですよね。

実は、抵当権の抹消の手続きは金融機関が完済と同時に行ってくれるわけではありません。完済時には完済の書類の連絡と共に金融機関で預かっている書類の返却と抵当権抹消に必要な書類が送付されるので自分で抵当権抹消の手続きを行う必要があります。

抵当権抹消の手続きは自分で行う事もできますが、司法書士などの専門家に依頼して行うという方もいます。司法書士に依頼すると委託料がかかってしまいますが、自分で行う事が難しいという人は専門家に依頼する方が安心ですよね。

金融機関から返却される主な書類

・金銭消費貸借契約書
・抵当権設定契約書
・抵当権解除証書(登記原因証明情報)
・抵当権抹消についての委任状
・登記識別情報を入れた封筒(登記識別情報がある場合のみ)
・金融機関の資格証明書(代表者事項証明書、登記事項証明書など)

抵当権抹消に必要な書類
・抵当権解除証書(登記原因証明情報)
・抵当権抹消についての委任状
・登記識別情報を入れた封筒(登記識別情報がある場合のみ)
・金融機関の資格証明書(代表者事項証明書、登記事項証明書など)

抵当権抹消手続きを忘れると起こる事

抵当権の抹消手続きを忘れていた、行っていない、という人も稀にいます。住宅ローン完済に安堵して完済時に金融機関から送付される書類を確認せずしまっていたというような人もいますよね。

抵当権の抹消手続きを行っていなくても、変わらずに暮らしている分には特に影響はありません。有効期限のある抹消の手続きに必要な書類も金融機関に問い合わせれば再度発行してもらうことができます。

ただ、早めに行っておかなければ、将来的に不都合が生じることがあるので、早めに行っておくとよいのです。

1、不動産の売却に影響がでる
2、新たな住宅ローンの審査への影響

自宅を売却したい、と思った時や自宅を担保にローンを借りたいと思った時に抵当権の設定がされているためにスムーズに手続きを行えないという事が生じてしまいます。

抵当権の抹消手続きを行っていなくても、不動産会社の人や金融機関の人はローンが完済されているという事は登記簿謄本の権利部(乙区)を見ればわかるものです。しかし、抹消の記録がないと先に手続きを進めることができないので、予定より時間がかかってしまいます。

住宅ローンを完済し、金融機関から書類の送付があったら早めに手続きを行うようにしましょう。

火災保険質権の設定がある場合は質権消滅の手続きを!

住宅ローンを組む際に火災保険質権の設定がある場合も質権消滅手続きが必要です。「火災保険質権」はあまり聞きなれない言葉かもしれません。

【火災保険質権とは】

火災保険の質権設定とは、住宅ローンの借入金の担保として、火災保険の保険金請求権や返還保険料請求権に対して質権を設定することです。

つまりは、火災保険質権の設定があると、住宅ローンが残っている状態で火災などで自宅を全焼したような場合において、火災保険から支払われる保険金は住宅ローンを組んでいる金融会社に支払われる、という事になります。

火災保険を完済している人が質権の消滅手続きを行っていない場合、住宅ローンを完済しているのにも関わらず、火災や自然災害で受けた自宅の損害を火災保険で修理したいと思っても手続きがスムーズにいかない心配があります。

住宅ローンを完済したら、金融機関から完済後に送付される書類に保険証券と質権消滅承認請求書も同封されていますので、抵当権抹消の手続きと一緒に火災保険質権消滅の手続きも行っておきましょう。火災保険質権消滅の手続きは保険会社に連絡しましょう。

まとめ

住宅ローンを完済したら早めに抵当権抹消手続きを行いましょう。火災保険の質権設定がされている場合は質権消滅手続きも一緒に行いましょう。

登記簿謄本(登記事項証明書)の権利部(乙区)に権利者の記載が無くなれば心理的にも楽になりますよね。

晴れて住宅ローンを払い終えて自分のものになったマイホームですが、マイホームに関わる損害からは、これからも自分で守っていかなければいけません。

火災保険は、質権消滅手続きを行っても満期を迎えるまでは補償が続きます。しかし、住宅ローンも完済し住宅の築年数も経過しているため火災保険に加入しても意味がない、と思っている人もいるようです。

古いままの火災保険契約であったり、火災保険の満期とともに火災保険に加入していなかったりすると、近年、増加傾向にある自然災害リスクに備えられていないかもしれません。

あなたの、マイホームは大丈夫ですか?

実は、火災保険は築年数が経過している古い住宅ほど重要性が高いです。自然災害リスクに備えられる保険は火災保険になりますので火災保険の加入や見直しは忘れずに行いましょう。
※地震による損害は地震保険で補償になります。

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