和菓子と指環
こんにちは!Ring Artistのinsulaです!梅雨を前にだいぶ暑くなってきましたね!
さて、insluaのコンセプトみたいなのをずっと考えているのですが、私の目標としている京都の和菓子と指環についてお話ししようと思います。
もちろん京都に引っ越す前から、和菓子は好きでよく食べていましたが、私にとってそれはケーキなどのお菓子と同列の存在で、気が向いた時や観光地で食べるものでした。
京都に来てから気がついたのですが、こちらでは和菓子の文化というものがちゃんと根付いていて、季節や行事に合わせて節季ごと月ごとに新しいお菓子が並びます。月ごとの行事の和菓子を食べるのでも精一杯なのに、週ごとに変わる自然をモチーフとした和菓子はあっという間に変わっていきます。
こちらのお菓子はとらやさんの「水仙山吹」。葛製で中に白餡のお菓子です。
和菓子のすごいところはその究極にデフォルメされた意匠。花の形をしているわけではないけれど、山吹の鮮やかな黄色とみずみずしさですぐにその花の姿を思い浮かべることができます。(「水仙」は葛製を表す言葉だそう。とらやさんのホームページより。)
少し暑く湿気がこもるようになった季節に、鮮やかな山吹の色と涼しげな葛のお菓子で涼をとる。その名前と色で道端で見かけた山吹の花を思い出す。
そうやってあっという間に過ぎていく季節や景色を共有する文化的なお菓子なのだな、と思います。
お茶を習われている方はもっと詳しいと思うのですが、私はそんなことを考えてよくお菓子を食べに行きます。
私が目指す指環の存在というのはこの和菓子を目標としたいなと思っています。もちろん和菓子の文化というのは知識と知恵と歴史の集大成なので、私の知識はとても及ぶべくもないのですが、洗練され、研ぎ澄まされたデザイン、文化的な名前。一つの和菓子なり作品なりに込められた物語や景色。食べる人、見る人の経験や教養によって変わる心的風景。
これらをとても大事にしています。
一般的なイメージからよりパーソナルな経験に焦点を合わせていく。そんなところに和菓子と指環の共通点を見出してもらえたらなと思います。
紫陽花の季節に紫陽花色の石を留めた指環を身につける。それはその人が持つ紫陽花への愛と心のゆとりを表します。あなたの思う紫陽花の色はどんな色でしょうか。それだけでも人それぞれの色があると思います。
そうして花を愛でることを知っている人を私は美しいなと感じます。
桜の季節、藤の季節、山吹の季節、紫陽花の季節に心を馳せ、それが今年も変わらずに咲いたことを喜び、散っていくことを惜しむ。そうして日本の文化は培われてきたと感じています。
私はだからなるべく四季に合わせたテーマで指環を作り、発信していきたいと考えています。ただのファッションアイテムや装飾品としてではなく、季節と共にある生活や心のあり方を大切にするための文化的なアイテムとして身につけていただきたいと思います。一つの花の中にもあなただけの景色や物語があるから。
一つの指環からそのあなただけの物語が語られるのを楽しみにしています。そうして指環を通して、内的な世界を大切な人と共有してもらうきっかけになったらなと思っています。
insula