持続可能な社会にむけて?
こんにちは、Ring Artist の insulaです。
「ものを作って販売する」ということは、地球の限りある資源を消費してお金に変えるということ。
どんなにリサイクルやアップサイクルや自然素材にこだわった商品も、私はそこから目を背けてはいけないと思っています。自然素材だろうがプラスチックだろうが、素材とエネルギーで何かを作って形にするというのはあるべきようにある自然を破壊する行為だと思っています。
このことにとても抵抗があった私は「製造業」として事業を始めることに心の中で矛盾がありました。(正直今もあります。)でも、私は自分が「良い」と思ったものを形にして、それをみんなと共有して生活したい。そのために少しだけ、石や金属、鉱物たちの力を借りたいと思いました。
非加熱やなるべく処理をしていない石を探したり、金属部分には変色防止の薬品を使わなかったり、石が割れるのにもかかわらず接着剤ではなく爪で石を留めています。
それは、私たちは石や金属を少しだけ「地球からお借りしている」そのように考えているから。綺麗にカットして、研磨して、もともとの形はだいぶ変えてしまったけれど、最後にはまた石ころに戻る。それが理想です。だからなるべく手を加えない。
私が買った石も、あなたが買った指環も、ずっと受け継がれたジュエリーも、無くしてしまったものも、結婚指輪のダイヤモンドも見事なブルーのサファイヤも、全て「自分だけのもの」にすることはできません。いつか土に変えるもの。それまでその美しさを少しだけ借りて愛でることを許してもらっているだけなのです。
だからデザインも工程もできるだけシンプルに。
ただその石の煌めきと成長してきた長い年月を共に感じられるように。
そう願って作っています。
だから私のものでもないし、誰のものでもありません。
ただ、ひと時だけ、私たちと一緒にいてくれる貴重な石たち。
ほんの少しだけ手を加えて、一番綺麗に見える状態で。
そこだけ人間の仕事。
もし石がこちらに向かって微笑んでくれているように感じたら。
問いかけた時にきらりと光って答えてくれたように感じたら。
心の中で欲しいと思っていたらずっと残っていてくれてたら。
もしかしたら一緒に時間を過ごしてもいいのかもしれません。
「損」とか「得」とか、値段が「高い」とか「低い」とかではなくて、お互いに限られた時間をほんの少しだけ一緒に過ごすことができる石を授かれたら、それが「ご縁」なのだと思います。少しの時間を共に過ごすという。
今日はそんなことを考えました。
手の届く範囲で、心ある人たちの手を伝わって石を仕入れて、また心優しい人たちに大事にしてもらう。石の育ってきた背景や歴史に思いを馳せ、その美しさに感謝する。そんな「もの」を作りたいと思いました。
写真は国産のガーネットの原石です。
きっと長い時間をかけて結晶した鉱物たち。
自分の手の届く範囲だけ、ほんの少しだけその人の力が及ばない時間をお借りする、そんな気持ちでいることを忘れないでいたいなと思いました^^
あなたと石たちとのひと時のご縁を繋げたら嬉しいです。