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不完全であること

こんばんは!Ring Artist のinsulaです。
なるべく毎日発信したいと思っているnote。
今日のテーマは「不完全」です。

insulaの指環は実は私がデザインだけして職人さんに作っていただいているものと、デザイナーの私自身がひとつづつ磨いて作っているものとがあります。

デジタルのデータでぴちっと作ってもらえたら、真ん中がずれることも石がちょこっと歪んで留まることも、磨きムラが出たりすることもないので、それに憧れてある時期からお願いすることにしました。それにより『唐草』や『花鳥』などのデザイン性のある指環を作ることができるようになりました。(主に金の指環やイレギュラーな形の石の指環などです。)

子供が生まれたこともあり、しばらくは自分で作る時間がなかったため、外注して作ってもらう作品が多くなりました。最近になって久しぶりに自分で一から作っているのですが、これが楽しいし、ちょっとずれたりするのが絶妙な魅力になってるな、と改めて見直すことになりました。

話は飛びますが皆様、能面、を見たことがあるでしょうか。
能楽で使う面なのですが、一つの面が演者の繊細な動きによって様々な表情に見えるように作られています。とても精巧に作られているのですが、その顔は左右対称ではないそうです。なぜなら人の顔は決して左右対称ではないから。わずかに顔を上げる、わずかに顔を俯かせる、その時に生まれる晴れやかな顔、曇った表情は、左右非対称だからこそ生まれれるのだとか。技術としては左右対称に作ることのほうがあるいは簡単なのかもしれません。でもあえてわずかに違うように作る。その技術力には感服します。

『完全じゃない』
だから私たちはその「隙」に自分を投影し、親近感を持ち、自分ごととしてそれを受け入れることができる。そんなことがあるかもしれないなと感じています。
能で言えばその「隙」に自分が思い描く最上の美しさや強さを想像し、舞台上の演技を補完してみることで、自分だけの体験をすることができるのだと思います。

非の打ちどころのないジュエリーはもちろん高度な技術が使われており、途方も無い労力をかけて作られています。でもinsulaのジュエリーを気に入ってくださる方はそうした作品の「隙」に自分の想像力を働かせて補い、世界観を再構築してくださる方たちなのかなと思います。

もちろん、技術は磨いていきたいと思いますが、自分の手でつくった指環たちもどれもとっても綺麗で愛しいなと思った今日でした。

insula


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