ジュエリーを作るということ
こんにちは!Ring Artistのinsulaです。
『地の指環』が終了してしばらく経ちました。
ようやく通常の生活に戻って来られた感じがしています。
私がなぜ指環を作るのか、ふと個展中に思ったことを綴っておこうかなと思います。
「なぜ指環を作るのか?」
これにはいろんな答えがあると思うのですが、私はまず、「ものを作る」上で、環境に負荷がなく、それでいて人の役に立てるものがいいなと思いました。
今でこそエシカルとかSDGsとかサステナブルとかいう言葉がファッションのように飛び交っていますが、もともと、ものを作り出し、それを購入して使うことにはすでに環境に負荷をかけているという責任が生じると思っています。リサイクルしたものであれ中古であれ新品であれ、それが一度生み出されてしまえば、私たちは地球の恵みをいただいて生きている、ということを忘れてはいけないと思います。
その中で、なるべく小さくて、意味があって、自然のものをなるべくそのまま利用でき、人間の手の最小限の力で加工する、そして大切にすれば長い時間楽しむことができる、そんな最も原始的な装飾品をつくりたいと思い、指環に辿り着きました。
何かに名前を与え、それに意味を見出して価値を感じる、というのは人間の優れた能力の一つだと思います。それを最大限感じてもらえるジュエリーを考えた結果、「指環」になりました。
このジュエリーボックスは、イギリスのアンティークで、おそらく金細工の指輪が入っていたのではと思われます。その中の指輪はどこかの貴婦人に贈られ、もしかしたらその子供や孫に受け継がれているかもしれません。
私の指環もそうなったらいいなと思って一つ一つ作っていこうと思います。
私たちが、ものを作ったり買ったりすることをやめることはできません。創造的であることは大切なことであると思っています。ものを作り出す責任、手に入れる責任として、表面的な言葉や行動で罪悪感を減らすのではなく、しっかりと自分の心と向き合って長く使えるものを作り出し、手に入れてもらいたいと思うのです。
銀や金を生み出すのも、宝石を掘り出して研磨するにも、いろんな人の手を経て、ここまでたどり着いています。生活が困難だったり、治安が悪い国で掘り出される石もあるでしょう。なるべくフェアに取引をしてそうな業者さんを探していますが、全部を把握することはできません。それを承知の上で、作品を作っています。
私たちがものを大切にするには、想像力を使うしかありませんが、そうして一つの石の背景を考えたときに、その一つのジュエリーには意味が生まれ、そして大切にしてくれる持ち主を守ってくれるのかな、と思っています。
存在そのものに力がある、そんな指環をゆくゆくは作れたらと思います。
そんな祈りのような気持ちで作っている指環達でした。
insula