ルームサンダル
無印のルームサンダルを毎日履いている。山形出身でも横浜の室内は寒い。むしろ地元より部屋の中は寒い。家が防寒仕様になってないから、関東圏の室内の方が寒いと聞いたことがある。
寒い1Kで生活するための相棒が、犬の匂いがしたので洗うことにした。
洗面台にお湯をためて浸けると、泥まみれのユニフォームを洗った水の色になった。
「これはサンダルが茶色いからかな」
呟いたが無理がある。いきなり色は抜けない。
柔軟剤を使ったがふと思う。
誰に見せるでもないルームサンダルに匂いをつけるのか、アラサーの男の足元に。
「おしゃれは足元から」
あまり無理はない。気分がいい。
茶色い水を眺めながら、知らず知らずのうちにかなり汚れていたのだなと思う。
自分も知らないうちに汚れているものなのだろうか。何の気無しに使っている自分も汚れてるんだろうか。
「そもそも汚れとはなんなのか」そんな問いができたが、わからなかったので悲しいだけが残った。
髪の毛を掠め取りながらぐるぐる水が流れていく。
ただ悲しいだけが自分頭の中で廻りながら、水を眺めている。
水が無くなった。
排水溝の汚れが気になり、悲しみはどこかに消えた。
今までは悲しい時はいろんな方法でこねくり回してたけど、最近は生理反応なのでどうしようもないと思ってる。
あれこれ頭の中でねじ伏せない。
流れをただ見る。ただ流れていく時もあれば、ぐるぐるする時も、他のものを巻き込んで大事にしてるものがわかったりもする。
ただ最終的にはどこかへ流れる。
排水溝の掃除も終わり、乾くのが楽しみで終わった。
いい日だ。
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