インスタコード ♯ → ♭ 仕様変更について
インスタコードの仕様を変更し、♯ボタンが♭ボタンに変わります。
こちらにベータ版のファームウェア(1.2.1)を公開しています。
これに伴い、
運指が変わる
専用楽譜の表記が変わる
といった不便が生じます。
せっかく今までの運指で覚えてしまった曲は、覚え直さないといけませんし、手書きの楽譜は書き直さないといけないコードがあるかも知れません。
しかし、♯よりも♭にしたほうが様々なメリットがあることに気づき、まだユーザーが4,000人しかいない今のうちに変更することを決断いたしました。
ユーザーの皆さんにはご不便、ご迷惑をおかけして本当に申し訳ございませんが、ご理解くださいますようお願いいたします。
インスタコード専用譜面の変更
今回の仕様変更で ♯ で表記していた譜面は、♭に置き換える必要があります。
表記が変更になるコード
表記の変更が必要になるコードは以下の5つです
1# → 2♭
2# → 3♭
4# → 5♭
5# → 6♭
6# → 7♭
周辺アプリも全て仕様が変わります
今回の仕様変更は、単にボタンが変わるというだけでなく、インスタコード用の譜面表記である「ICN(インスタコードナンバー)」の仕様が変わるので、下記の周辺アプリも全て表記が ♯ から♭に変わります。
InstaChord-i:インスタコードを iPhone / iPad で体験できるアプリ
コード譜ライター:インスタコード用に見やすい譜面を作れるアプリ
toICN / InstaChordizer:コード譜サイトの曲を自動でインスタコード用に変換するツール
♯ ♭を選べるようにしない理由
「今まで通り[♯] でも使えるようにして欲しい」という要望はもちろんあります。
これは苦渋の決断なのですが、古い仕様は選択できないようにしました。
インターフェイスは世界共通じゃないと
例えば想像してみて下さい。
パソコンのキーボードで、「J」と「H」を入れ替えたいという人がいたとして、それを自由に選択できるようになったとしたら、いろいろ困りませんか?
タイプライターが発明されたばかりの頃は、ABCDの順に並んだものなど様々なキーボード配列が開発されましたが、今では世界中の人がQWERTY配列を使っています。
電卓が発明された当初、数字ボタンは横一列に並んでいましたが、今ではそんな電卓はほとんど見かけません。
インターフェイスというのは、どこの国でもどのメーカーでも共通にしないとユーザーの利便性は下がりますし、普及の足かせになってしまいます。
♯ボタンバージョン、♭ボタンバージョン、という2種類のインスタコードが存在すると、ユーザーにとってもインスタコードの普及にとってデメリットになってしまうのです。
インスタコードは「楽器」ではなく「インターフェイス」
私はインスタコードを単なる「楽器」として開発したのではなく、コード演奏(入力)のための「新しいインターフェイス」として開発しました。
ですから将来的に様々な応用を想定しています。
左手は数字で伴奏を弾いて、右手でメロディを弾ける電子キーボード
テンキーでコード入力できるDAWの入力支援インターフェイス
タブレット端末で数字をタップしながら作曲を学べる学校教材
手足が不自由でも視線だけでコードを演奏できる楽器
など、このインターフェイスで音楽体験の裾野を広げることが、インスタコードを開発した本当の目的です。
だからこそ、複数の仕様が存在するのはなるべく避けたいことなのです。
仕様変更のメリット
今回の仕様変更は、♯よりも♭の方が圧倒的にメリットが多いからです。
ただし、主にギターのようにホールドスタイルで演奏する場合のメリットが多いです。
オンデスクスタイルの場合は、手元や画面を見ながらの操作できるので、直感性や音楽的な合理性をさほど求められないと考えています。
運指が楽になる
♯を♭に変更したほうがホールドスタイルで弾きやすくなります。
・dimと組み合わせて使う場合
半音は主に
1- 2♭dim - 2
4- 5♭dim - 5
5- 6♭dim - 6
というふうに、コード進行の経過音としてdimと組み合わせて使用する場面が多いですよね。
しかし、4#dimを弾こうとすると、人差し指で♯を押すので、4は中指で押さなくてはいけません。インスタコードの運指は、中指で5の列を押すことを推奨していますので、手の位置を大きくずらさないといけなくなります。
5♭dimならホームポジションから手を動かさなくても弾けます
・4♯, 1♯ はあるが 4♭, 1♭ は存在しない
そもそも、4♭=3 , 1♭=7 なので、左の列と半音ボタンを同時に押す必要がなくなります。
(7♭は 9の位置にショートカットがあるので大丈夫)
・IV#m, V# が弾きやすい
半音で頻出する、3♭(III♭)、7♭(IIV♭) は、ショートカットとして8、9の位置に用意されています。
それ以外に出現頻度が高いコード
5♭~(IV#m) は、♯より♭にしたほうが押しやすくなります。
6♭(V#)は、押しやすさは変わりませんが、次に 7♭になる進行が多く、♯より♭にしたほうが少し楽なります。
・運指が難しくなるコードもあるけれど
運指が難しくなるコードが全く無いわけではありません。
5#augも絶妙なアクセントとして使用されます。
6♭aug は指が届きにくいですし、表記も♯の方が自然に感じます。
その場合、苦肉の策ですが、 6♭aug は 1aug, 3aug と構成音が同じなので、それで代替するのはどうでしょう?
構成音が同じ aug(オーギュメント)
1aug ≒ 3aug ≒ 6♭aug
2♭aug ≒ 4aug ≒ 6aug
2aug ≒ 5♭aug ≒ 7♭aug
3♭aug ≒ 5aug ≒ 7aug
左→右に音が高くなる法則
ピアノの鍵盤は左が低い音、右が高い音という順に並んでいます。
ギターのネックも、ネックの先端方向が低い音、ボディの方向が高い音になります。
ホールドスタイルの場合、ネックの先端方向に半音上げるボタン(♯ボタン)があるよりも、半音下げるボタン(♭ボタン)がある方が音楽的に合理的で、自然に感じることが分かりました。
パワーコードモードで半音ずつ弾いてみて下さい、なんだか「♭」が音を引き下げる感じがありませんか?
(これは、左利き用のホールドスタイルが、電卓と同じ配列ではないこととも関連しています)
表記のルール的に♭が自然
・2# 6# って違和感あるよね
インスタコードのボタンラベルには、「8」「9」の位置に、III♭、VII♭ が配置されています。
これらは他の半音に比べて出現頻度が高いコードです。
理由は省略しますが通常シャープで表記しないので、コード進行を学んだ人にとっては、2♯, 6♯ という表記は違和感があり、3♭, 7♭ と書いた方が世界的に伝わりやすいんです。
・クラシックでは♭表記が一般的
ポップスの教本には IV#dim みたいにシャープで書かれる場合もあるんですけど、クラシックの教本で度数を表現する場合は、♭III のように半音を♭で書くのが一般的なようです。
ご理解くださいますようお願いします
いち早くインスタコードを手に取ってくださった皆さんには本当に申し訳ありませんが、インスタコードの普及と発展のため、今回の仕様変更にご理解くださいますようお願いします。