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「東京B-LINE構想」東京の舟運が動き出したが!?(2)〜その課題と可能性


ワクワクする東京の水面〜東京B-LINE構想

F1の聖地モナコグランプリはモナコ湾沿いをF1カーが爆走し、その背後には一艘何億とする豪華クルーザーが並んでいます。その景色は圧巻であり、ウォーターフロントの解放感と独特の賑わいで街全体の特別な空気を演出しています。

この世界感が東京湾で創れないものだろうか?

そう思って創ったのがこのお台場グランプリのイメージです。お台場海浜公園もやろうと思えばこんな世界が創れるのです。

F1お台場グランプリ

世界の賑わう水面

ウォーターフロント大好き人間として、世界中の色々なウォーターフロントを見て体験してきましたが、東京ほど水路を無駄にしている都市はありません。東京は全くというほど、水路を活用していないと言っても過言ではないと思います。これだけ水に囲まれ、水路が充実していますが、川や港湾を見てもあまり船を見かけません。ところが世界を見てみると、そこにはひっきりなしに公共交通としてのフェリーから観光船、プレジャーボート、セーリングボート、カヤックなどなど、色々な船が行き来している様子が見られ、飽きることがありません。ニューヨークのイーストリバーでは、紅の豚のように水上飛行機すら走っています。そんなワクワクした未来を東京を舞台に描いて提唱しているのが「東京B-LINE構想」です。

ベニスの狭い運河を水上バスから個人ボートまで行き交う賑わい
多様な船が行き交うニューヨークのイーストリバー
水上交通と陸上交通、そして上空交通が交わるハブ
紅の豚も飛んでいくほど

水辺でなく水面を活性化するという考え方

日本では水辺の再活性化はよく議論になりますが、それは陸の話であって肝心の水面は何もないことが大半です。水辺が賑わっても水面が漆黒ではその効果は最小限であり、両方向からの賑わいがあってこそ水辺の賑わいは最大化しますし、街を水面側から見ると全く異なる体験を得ることができます。

海から見た絶景の横浜

東京の大改革への最後の砦

前回の投稿でお話させて頂いたとおり、舟運には都市の賑わい、災害対策、経済発展、様々な要素において大きなポテンシャルを持っており、東京を大きく再編する上では最後の砦と言っても過言ではないと思います。渋谷や六本木、虎ノ門、東京駅周辺、数多くの「点」での開発は行われていますが、東京を面としてアップデートするためには都市インフラをアップデートする必要があり、既存の道路ネットワークの規制を変えたり、ネットワークをアップデートしたり、新しい地下鉄の路線を建設したりすることは時間もコストも莫大にかかる中、今使われていない既存の水路網を活用することによって、都市インフラのレイヤーを一つ増やし、東京を面として強固な都市として再編することができると思います。

東京全体の公共交通網を改めて分析し、特に川沿い、港湾沿いの陸の交通ではアクセスしにくい場所を整理する。そして、それぞれの地点において需要予測を行い、その需要の見込まれる地点をどういったルートでネットワーク化すれば一番需要が高まるか、といった路線デザインをしっかりするべきだと思います。同時にそれを20分間隔で回すのか、40分間隔で回すのか、そのためには船が何艘必要で、費用はどのくらいになるのか、そういった将来ビジョンに合わせたデータ分析を行い、データに基づいたマスタープランを提唱します。そして、そのマスタープランを実装するプロセスの第一歩としてパイロットプロジェクトが位置づけられ、その仮説を実証していくことになります。

民間活用はいいのですが、それぞれにできるところからやってください、と舟運事業者もバラバラのまま細かく点と点だけの実験を繰り返すのでは、大きな公共交通改革は生み出せず、本気でやるのであれば覚悟を持って、ある一定以上の予算を確保、コンペ等によって全体ネットワークを運用する舟運事業者を一社選ぶ、というくらいのリーダーシップが必要だと思います。

そういった将来像の世界観をしっかりとビジョンとしてまとめ、利害関係者や市民にわかりやすく伝え、その上で緻密な需要予測、フェージングデザイン、予算配分、データ収集分析等を計画し、その第一フェーズとして社会実験を行なっていく、という明確な戦略を示す必要があると思います。そして単純にそれがワクワクするものである必要があります。次回はその想定航路を考えてみたいと思います。

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