[決算][INTUIT] 2023年度(2022年8月~2023年7月)
オリジナルデータ
URL :
https://investors.intuit.com/financials/quarterly-results/default.aspx
2023年8月24日公表
決算を読む
以下では Press Release を見て、INTUIT の決算数値を確認していきます。第4四半期の結果と年間通しての結果と両方載っていますが、この記事では基本的に1年間の結果を見ていきます。第4四半期に着目する場合は明記します。特に何も書いていない場合は1年間の結果を見ていると思ってください。
Fact Sheet にはセグメント別の売上や利益の推移(3年分)の表が載っています。簡単に言うと、こちらには数字しかない😆
なので Press Release を確認した後で、もう一度まとめの意味で見てみましょう。
なお以下では強調したい箇所の他、INTUITの製品やサービスの名前も太字にしています。
Press Release
まず最初にCEOのコメント。
We had a very strong fourth quarter, ending the year with momentum, as we executed on our strategy to be the global AI-driven expert platform powering prosperity for consumers and small businesses.
AIを活用した、ビジネスや生活の土台を支えるアプリケーションソフトウェアを提供することを通して、消費者や小規模事業者がじゅうぶんな経済的豊かさを獲得するのを手助けする、
ことが INTUIT の戦略だと言っています。
Financial Highlights
売上高は144億ドル(前年比13%増)。
platformの売上は110億ドル(前年比14%増)。platformには以下を含む。
Small Business and Self-Employed Group Online Ecosystem
TurboTax Online
Credit Karma
Small Business and Self-Employed Group 部門の売上高は前年比24%増、Online Ecosystem の売上は前年比30%増。
Consumer Group 部門の売り上げは41億ドル(前年比6%増)。
Credit Karma の売上高は16億ドル(前年比マイナス9%)。
調整後営業利益は55億ドル(前年比22%増)。
おそらく、INTUITが言う「platform」というのはオンラインで提供する形(クラウドベースの)各種アプリケーションソフトウェアのことだと思います。platformでない形というのは、家電量販店あたりのソフトウェアコーナーに並んでるDVD-ROMとか。
それにしても全体的に非常に好調。減収だったのは Credit Karma だけ。
調整後営業利益率も、55億ドル÷144億ドル=38.2%ある。
続けて、4つの部門をそれぞれ見ていきます。
(1) Small Business and Self-Employed Group
QuickBooks Onlineの売上は前年比26%増。
オンラインの売上は前年比34%増。
為替一定ベースでの国外売上は前年比31%増。
第4四半期のオンライン売上には「payroll、Mailchimp、payments の成長が寄与した」という説明があります。Mailchimp は INTUIT が提供する製品名なので、これがよく売れたということが分かります。ですが payroll(給与)とpayments(支払)の方は何を指すのか確信がありません。推測ですが、主力製品QuickBooks(会計ソフト)には当然 payroll と payments を扱う操作があるはずで、その部分に従量課金される機能があり、それの使用料がたくさんあった、という可能性があり得ます。
(2) Consumer Group
TurboTax Onlineの売上数量は前年比マイナス5%。
INTUITの見立てでは、コロナ禍の間は給付金と税額控除を受けるために納税書類を作成していた納税者が、今期は納税書類を作成していない。数量減少はその影響によるもの。
2023年7月末までの1年間の、USAでのTurboTaxのUnit数は4,050万台(内訳はオンラインが3,600万台、デスクトップが450万台)、カナダでは370万台。
TurboTax Live の売上は17%増、利用者数は12%増。
(3) Pro Tax Group
ProTax Group 部門の売上は前年比3%増。
(4) Credit Karma
Credit Karma の第4四半期の減収は、個人向けローン、自動車保険、住宅ローン、自動車ローンなどでマクロ経済的向かい風があった。クレジットカード利用の伸び、Credit Karma Money の伸びはあったものの補いきれなかった。
Capital Allocation Summary
期末(23年7月末)時点での負債総額は61億ドル。42億ドルの負債が15カ月以内に償還を迎える。この負債については借り換えを検討している(ただし市場その他の状況を考慮する)。
2023年度は20億ドルの自社株買いを実施した。今年度は38億ドルの自社株買い枠がある(このうち23億ドルを新たに積み増した)。
配当金は前年比15%増。
Forward-looking Guidance
2024年度の売上高は158.90億ドル~161.05億ドル(11~12%増)を見込む。
調整後営業利益は61.55億ドル~62.60億ドル(12~14%増)を見込む。
Small Business and Self-Employed Group、Consumer Group、ProTax Groupでそれぞれ16~17%、7~8%、3~4%の成長を見込む。Credit Karma だけは縮小の可能性もあり、成長率見通しは -3%~3%。
Fact Sheet
Segment Revenue
表になっているので、部門が4つあることや主要製品が何かというのが一目瞭然。Press Releaseより分かりやすいかも。
(1)Small Business and Self-Employed、(2)Consumer、(3)Pro Tax、(4)Credit Karma の4部門があり、(1)が売上の過半を占める。2023年度の実績だと、順にそれぞれ 55.9%、28.8%、3.9%、11.4%。
表からは Small Business and Self-Employed部門の QuickBooks、Consumer部門のTurboTaxがINTUITの主力製品であることがわかる。同じく2023年度の実績だと、QuickBooks(Online、Desktop版合わせて)の売上は39.59億ドル、TurboBox Onlineの売上は36.22億ドルでいずれも会社全体の売上の1/4超を占めている。
Segment Operating Income
Small Business & Self-Employed と Credit Karma が各Quarterで安定的に利益を計上している一方、Consumer は第3四半期で利益の大半を、ProTaxは第2~3四半期で利益の多くを計上している。利用が税金の計算が必要な季節に偏っているということでしょう。売上、利益ともに最大の Small Business & Self-Employed が安定しているのが良いですね。
Words
prosperity
[uncountable]
when people have money and everything that is needed for a good life
「繁栄」と日本語訳されますが、英英辞典(Longman)で調べるとそこまで強力な意味ではない。じゅうぶんな経済力、の方がしっくり来る。
stimulus
支援金。
政府が家計や企業にお金を配れば経済が刺激されることから。
tax credit
税額控除
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