[決算速報][3M Company] 2023年第3四半期(2023年7月~9月)
オリジナルデータ
URL : https://investors.3m.com/
発明家メーカーにしてダウ工業平均に採用されている米国有数の優良企業、3M Company の2023年第3四半期の決算が2023年10月24日(火)、米国株式市場Open前に発表されました。
決算を読む
3つ資料がありますが、本記事は速報ですので、情報がコンパクトにまとまっている Presentation をざっと確認していきます。
結果は予想を上回った
79億ドル~80億ドルの売り上げ予想に対して、結果は80億ドル。
コロナ禍で販売が伸びた使い捨てマスクの需要減の影響があったが、想定通り。
電気系、消費者向け、中国向けが弱かったが、自動車OEMは強かった。
調整後営業利益率は23.2%。前年同期比1.6%Up。
調整後1株利益は2.68ドル。予想値2.25ドル~2.40ドルを上回った。
調整後フリーキャッシュフローは19億ドル。
Free cash flow conversion(フリーキャッシュフロー÷純利益)は130%。会計上の利益<現金収入、つまり利益の質が良い。
利益率改善を牽引したのは、既存事業の成長、生産性改善。すばらしいです。
3Qの投資額(Capital Expenditure)は3.67億ドルで前年同期比6%Downではあるものの、9月末までの9か月では11億ドルで前年比2%Up。つまり投資をケチって利益を確保しているわけではない。それでも調整後フリーキャッシュフローは前年より40%近く増えている。
負債も減っている。108億ドルで前年同期比11%減。
これは前向きで良い情報。
9月にスリーエムのCFOが「来年は低成長の1年になる」とコメントして株価が下がっていたので決算悪いんじゃないかと心配していたけど、予想に反して良い決算内容でした。
2023年通期予想
Presentationの14ページによると、
1株利益は8.95~9.15ドル。
前回予想 8.60~9.10ドルから上方修正😊
既存事業の売上成長率はマイナス3%程度。
前回予想マイナス3%台後半~0%とほぼ変わらず。
Free cash flow conversionは100~110%。
前回予想 90~100%より改善。
スリーエムの事業は景気敏感なので売上が下がるのはある程度仕方ない面があります。そんな中で利益を維持または増やす努力(生産性の改善など)をして、それが実を結ぶのは素晴らしいです。
各部門特筆事項
Safety & Industrial
マイナス要因
コロナ禍が収束して使い捨てマスクの需要が減った影響
ロシアからの撤退
産業用接着剤、一般消費者向けの安全製品の売上が6~9%減。
研磨剤の売上が5%程度減。
電気関連、自動車関連の売上が1~4%減。
プラス要因
roofing granules(たぶん屋根の補修などに使う粒状の材料)の売上が6~9%増と好調。
生産性の改善等で調整後営業利益率は前年同期比2.5%改善。
Transportation & Electronics
自動車、宇宙、特殊材料分野の売上増。
電気、商業向けソリューション、交通安全分野の売上減。
生産性の改善等で調整語営業利益は前年同期比4.6%改善。
Health Care
コロナ禍の収束は総じてマイナスの影響。
口腔ケア、医療向けソリューション、分離精製サービスの売上増。
健康関連情報システムの売上減。
営業利益率は前年同期比0.5%改善。
Consumer
DYI、オフィス向け関連製品が総じて減。
金利上昇の影響で新学期前の購買意欲が弱め。
営業利益率は0.7%減。
産業分野は濃淡あるものの、一般消費者向けの製品の売れ行きが弱いようです。利上げ、確実に効いています。物価を安定させるために必要なこと、いいことなんですが、スリーエムの株主的には嬉しくないですね😥
Marketの反応
Pre-Marketの反応は好調です。
前日終値に比べて3.5%以上値上がりしています。
あと1時間ほど、日本時間午後10時30分にニューヨーク市場がオープンします。さて今日のスリーエムの株価はどう動くでしょうか?
3カ月に1度の決算発表後のお祭り相場、楽しみましょう。
それでは皆様、よい夜を!