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[決算] ユニリーバ・インドネシア 2023年
出典
財務情報
インドネシアの通貨インドネシアルピアのレートは1円=100ルピアくらいです。1ルピアの価値はかなり低め。このため、ユニリーバ・インドネシアのような大企業の決算をルピアで見ると数字が大き過ぎてなかなか辛いです。そこでこの記事では親会社であるユニリーバの基準に合わせてユーロ建ての数字を示しています。なお為替レートは2023年の平均値€1.00=16,457IDRを使いました。
売上・利益の推移
生活必需品、日用品を扱っているだけあり、売上は25億ユーロ前後で安定しています。2023年の世界全体のユニリーバの売上が600億ユーロくらいだったので、インドネシアの売上割合は世界全体の4%くらいです。
コロナ禍の影響をまともに受けた2021年の売上が少し弱めで、2022年は回復したものの、2023年はコロナ禍が明けたのに2021年より売上が落ちてしまいました。が、インフレの鎮静化が功を奏したようで、粗利益率(緑の折れ線)は回復してきています。が、営業利益率、純利益率は下がり気味。
2023年、ユニリーバ本社が堅調な売上、利益を上げている中、インドネシアは苦戦気味。
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資産の状況
総資産は6年前の13億ユーロから10億ユーロくらいまで減っています。その間、自己資本比率も一貫して下がり続けています。毎年堅調に利益を稼いでいるのに自己資本が減っているのは稼いだ利益以上の配当をしているためです。ユニリーバ・インドネシアの株式の85%はユニリーバ本社が実質的に保有しているので、利益はいったん本社に集め、全世界で最適となるような投資をするのでしょう。
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キャッシュフローの状況
資産の状況の項にも書いた通り、ユニリーバ・インドネシアはほぼ毎年稼いだ利益以上の配当をしています。それはキャッシュフローに明確に表れていて、安定した営業キャッシュフロー収入(水色の棒グラフ)に対してそれとほぼ同じ大きさの財務キャッシュ支出(薄緑色の棒グラフ)があります。緑色の折れ線が実際の配当支払額ですが、ほぼ「財務キャッシュ支出≒配当支払」で説明できます。
ユニリーバ・インドネシアが利益以上の配当を出せるのはキャッシュフロー収入が会計上の利益を上回っているためです。この6年間、Free Cash Flow Conversion(=フリーキャッシュフロー÷純利益)は2019年に0.98と1を下回りましたが、他の年はすべて1.0を超えています。
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苦戦の理由
下記参考情報に引用したニュース記事によると、インドネシアのアチェ州パダン市で発生した大規模なボイコットによりQ4に入って業績が悪化したようです。
Unilever Indonesia Claims Biggest Boycott Comes From Padang, Aceh
As of Q3 last year the company was still posting business growth from the 3.3-percent increase in domestic sales that was supported by a 4.3 percent growth in positive underlying volume.
Even though that positive momentum continued into October 2023, in November and December, the impact of a shift in sentiment that was caused by the geopolitical situation put our year-end domestic sales at minus 5.2 percent
曰く、「第3四半期までは、4.3%の販売数量増に支えられた国内消費により3.3%の成長をしていた。10月までは好調だったが、11月と12月は、地政学的情勢の変化により国内消費はマイナス5.2%となった。」
ここでいう「地政学的情勢の変化」というのは、イスラエルによるパレスチナ自治区ガザへの軍事攻撃のことでしょう。欧米ブランドは、イスラエルを支持する側、敵側だ、ボイコットだ!となったようです。ちなみにインドネシアはイスラム教を信仰する人が全人口の85%超に達します。
This negative sentiment began to increase due to the fatwa issued by MUI (Indonesian Ulema Council) last November. Hoaxes and incorrect information also reinforced this sentiment.
悪影響は、Indonesian Ulema Council(インドネシア ウレマ評議会;インドネシアのトップのイスラム学者団体)が11月にfatwa(イスラム法に基づく宣告、正しいイスラム法解釈 、法的決定。権威ある法学者が出す)を発表したことでより強まった。デマや誤った情報もこれを助長した。
参考情報
参考記事
その他
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