NVIDIAの自己紹介(10) Advancing Industrial DigitalizationEfforts with NVIDIA Omniverse
この記事では、NVIDIA Quarterly Presentation(Q2FY2024)に記載されたOverviewの10ページ目(Presentationの38ページ目)を詳しく読んでいこうと思います。なお前回の記事は以下です。
Presentationから引用
内容の確認
Advancing Industrial Digitalization Efforts with NVIDIA Omniverse
NVIDIA OVX servers | RTX workstations
Enterprise software | Cloud services
NVIDIA Omniverseを使って、デジタル産業革命の取り組みを進展する
NVIDIA OVX サーバ、RTX 搭載コンピュータ、
事業関連ソフトウェア、クラウドサービス(等も使って)
• NVIDIA Omniverse is a software platform helping to power industrial digitalization.
NVIDIA Omniverse はデジタル産業革命を強力に後押しするソフトウェアプラットフォームです。
• Our initial focus is on industrial digital twins used to emulate the behavior of products or factories in the physical world.
我々がまず注力するのは、産業分野でのデジタルツインです。これを使って現実世界での工場内設備やそこで生産する製品をエミュレートします。
• Omniverse uses a real-time, large-scale 3D database that connects to 3D worlds via the USD (Universal Scene Descriptor) framework.
Omniverseはリアルタイムの大規模3次元データベースを使います。このデータベースは Universal Scene Descriptor フレームワークを介して現実世界とつながっています。
• Just as the internet connects websites over HTML, Omniverse connects 3D worlds over USD.
インターネットがHTMLでウェブサイトとつながるように、Omniverse はUniversal Scene Descriptorで現実世界とつながっているのです。
• Omniverse is essential for the next wave of AI—robotics—where AI interacts with the physical world.
Ominiverseは次のAIの波ー即ちロボティクスーでは絶対に必要になります。そこではAIと現実世界が相互に情報を送り合うので。
• Applications built to run on Omniverse are like portals into the Omniverse virtual world.
Omniverse上で実行されるアプリケーションは、Omniverseが創り出す仮想世界への入り口のようなものです。
考察と補足
Industrial Digitalization
前回の記事 NVIDIAの自己紹介(9) の考察と補足を参照してください。
NVIDIA OVX Servers
NVIDIA Omniverse を実行する性能を持つ高性能コンピュータ。Omniverse はデジタルツイン(後述)を構築するのに使われる Platform なので、要求されるハードウェア性能はとても高いです。
RTX Workstations
RTXはNVIDIAのGPU製品のシリーズ名。Real-Time, Ray Tracing の名前が示す通り高精細な映像を高速に生成する能力を備えたGPU。
そのRTXを搭載したコンピュータ。Workstation と言っているので、仕事で高度な計算をする技術者などが自身の専用コンピュータとして利用することを意図して設計されたコンピュータです(サーバ用途のコンピュータではないです。もちろんサーバとして使っちゃダメというわけではないですが)。
digital twins
コンピュータ内の仮想空間に構築された、現実世界に存在するものの精密なコピー。「精密な」というところがポイントです。渋谷区の中心街の Digital Twin とか、果てはシンガポールの国全体の Digital Twin とか、従来のコンピュータでは考えられないくらい巨大な範囲をかなり精密に再現できるようになりました。「現実世界にあるもの」ではないですが、現実と見まがうほど高精細なアインクラッド浮遊城(アニメ化もされたライトノベル「ソードアートオンライン」の舞台)なんかも作れちゃいそうですね。
emulate the behavior of products or factories in the physical world
simulate ではなく emulate と言っています。
つまり現実世界の工場内部で起きているのとまったく同じことを仮想世界で発生させます。もしこれが simulate だったら、現実世界と仮想世界の動きが完全に同じになるとは限りません。emulate は現実世界を真似して動きますが、simulate は対象を現実世界の物理法則に従って動かします。シミュレーションモデルと現実世界に差異があれば(一般にモデルというものは現実世界の法則をある程度簡略化して作ります)、違う結果が生まれます。
real-time
「リアルタイム」とカタカナでよく使われる・・・気もしますが、念のため意味を確認しておくと「即時に反映する」。
「real-time, large-scale 3D database that connects to 3D worlds」という文脈で使われているので、現実世界で起きた変化はすぐに3Dデータベースにも反映されるということです。
Universal Scene Descriptor
HTMLと対比して使用されていることからも分かるように、コンピュータ言語です。3次元の映像を作り出すのに使います。
図を見る
Presentationから引用した絵を再掲します。
この絵には、Omniverse を利用した産業用デジタルツインの例が載っています。そしていちばん下に「NVIDIA OMNIVERSE CLOUD」が描いてあることから、NVIDIA Omniverseをクラウドで提供するサービスがあることが分かります。
左上から順番に
工場内部のデジタルツイン
産業ロボットのデジタルツイン
物流施設(倉庫)内部のデジタルツイン
自動車設計に必要な要素のデジタルツイン
自動車の性能を検査するのに必要な要素群(設備や検査対象自動車など)のデジタルツイン
自律運転(自動運転)を検証するのに必要な要素群(道路、信号、交通標識、複数の自動車など)のデジタルツイン