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「おもしろいことを3人に共有したら、楽しさは3倍」インスピラボ研究員 三柴 カナコ

インスピラボは、富士通のデザインセンターでサービスデザインに携わるデザイナーたちが、未来を発想するための「インスピレーション」を探索するために始動したプロジェクトです。 

「#好奇心をドライブしよう」をコンセプトに、発想のきっかけとなる情報や体験の機会を提供し(インプット)、未来に向けた提案をつくりだす力(アウトプット)につないでいます。

この記事では、日々活動するインスピラボ研究員の三柴(みしば) カナコさんを紹介します。

インスピラボ研究員 三柴 カナコ

<プロフィール>
「人」を起点に考え、新規事業創出やアイデア発想の支援を担当。
世の中のユニークな出来事を常に探索することが好き。



おもしろいことが気になってしょうがない


——— まず、インスピラボ活動前に三柴さんはどのようなことをされていたのか教えてください。

三柴: はじめは共創スペースのデザインを担当していました。

そのうちスペースよりも、その中でおこなうワークショップのプログラムやコンテンツをつくる仕事が増えてきて。

ワークショップをする中で、「インプット(発想を刺激するための情報)が大事だな」と気づき、そこに力を注ぐようになっていきました。

——— 共創ビジネスの経験が今のリサーチ活動のきっかけになっているのですね。三柴さんは普段からインプットを集めることに興味があったのですか?

三柴: もともと、情報を収集する癖があって(笑)プロジェクトが始まると、そのプロジェクトに関連することを見境なく集めてしまいます。

また、プロジェクト以外でも自然とおもしろいもの・ことを収集しています。おもしろいことが気になってしょうがないところがあるんです(笑)

流行りかけのハッシュタグやニュースサイト、SNSの記事など、なんでも集めますし、テレビを見ていて気になったものや街で気になったものは、写真を撮って後で検索したりしています。

みんなに共有して、「おもしろい」を共感し合う瞬間が一番好き


——— インスピラボには多くの活動がありますが、どのように活動が始まったのでしょうか?

三柴: はじめはワークショップを実施する度にオモシロ事例として「先進事例」を集めていました。

それが、「ワークショップごとに単発で集めて使う」のではなく、「汎用的なものとして人の価値観の軸でまとめてみよう」となって、価値観レポートをつくり始めることになりました。

価値観レポート:先進的な生活者に焦点をあて、
これからの価値観の変化を捉えた定性的なレポート


三柴:
 さらに、価値観レポートから派生して、先進事例や価値観レポートをトーク形式で解説する「きざしラジオ」や、複数の価値観の変化から生活者に巻き起こる大きな変化の流れをまとめた「メガトレンド」など、コンテンツの形を変えながら発展していきました。

きざしラジオでの一幕


——— インスピラボの活動の中で、三柴さんが特におもしろさを感じるところはどこですか?

三柴: やっぱり先進事例を集めるのが好きですね。

実は先進事例のストックって2,000個くらい溜まっていて、まだ公開できていないものがたくさんあるんです。どんどん共有していきたいな、と。

集めた事例をみんなに共有して、「でしょでしょ、おもしろいでしょ?」という瞬間が一番おもしろいです。だから、集めた先進事例をインプットトークで共有できるのはすごく楽しくて。

集めたもののおもしろさって共有しても減らない、薄まらない。
むしろ、そのおもしろさが減らずに倍になった気がします。
同じネタを3人でおもしろがったら3倍だし、それってすごく得な気がします。

そう考えると、共有することがどんどん楽しくなっていきました。

インプットトークをする三柴さん


主流になったらもう古い。常に先取りしていることが大事


——— 2,000個もストックがあるんですね!三柴さんがリサーチする中で工夫していることやこだわっていることはありますか?

三柴: 気になったことは体験したいです。中にはたいしたことないものもあるけれど、体験してみたら、伝え聞く情報だけではわからないことを発見できるのがまた楽しいです。こうしたことを「0次体験」と呼んでいます。

その後みんなで「体験してみて、どうだった?」と話し合いたいですね。

こうした0次体験からできたのがインスピツアーです。

2~3年前にワーケーションが言われ始めたけれど、当時はまだワーケーションに行ったことない人が多くて。じゃあ「インスピラボメンバーでまず体験してみよう」とやってみたら、気づくことが盛沢山で。翌年のインスピツアーへとつながりました。

これを「ワーケーションが主流になってきた」時にやるのはもう遅いと思っています。主流になったらもう古い。

常に先取りしていること、カウンターの位置にいることを考えています。
周りから理解されないこともありますが、それぐらいが丁度よいのかな、と。

あとは、集めた先進事例に自分で編集してタイトルをつけるようにしています。そのままメモしているだけだと忘れてしまうけれど、自分の言葉でかみ砕いたものを残しておくと、頭の中が検索エンジンみたいになるんです。

そうすると新規プロジェクトがはじまったときに、ピピピってつながっていきます。だからタイトルを自分でつけておくことは楽しいですね。

——— 三柴さんの書いた先進事例レポート、いつもおもしろいなと思って見ています。他に、周りの人から三柴さんの着眼点のここが良いよねって言われるポイントはありますか?

三柴: ワークショップの参加者に事前課題として気になる事例を持ってきてもらうことがありますが、自分は「事例の集め方」が人と違うのかなと感じることがあります。

例えば、「教育」というテーマについて調べる時に、「教育サービス」を集めてくる方が多い気がします。けれど、「教育」というテーマを「学ぶ時のヒント」と読み替えると、いわゆる学校教育以外の事例を集めたっていい。

結果として自分は「教育」という軸で読み替えることができる様々な事例を集めている気がしますね。

——— それは調べ始める前に何か考えているのですか?それとも調べながら考えているのですか?

三柴: 探しながら考えていく感じですね。

たとえば「教育」をテーマとしたときに、ストックしている2,000の事例からピックアップしていくと、徐々にサブのキーワードが見えてくるんです。
そうした行為を二段階か三段階かやっていく。
そうするとまた次のキーワードが見えてくる。そんな感じです。

なかなか言葉で説明するのは難しいですが(笑)。

先進事例の数々

ただ集めるだけではなく、社会の役に立つかたちに変えていく


——— ありがとうございます。最後に、三柴さんが今後インスピラボでやってみたいことについて教えてください。

三柴: 体験するためのスタジオをつくったり、もっとリアルの場でアイデアを実証していけたらいいなと思っています。

あとは、インプットから得たインスピレーションを社会に何か役に立つ形につなげたいです。

今気になっているのは「お笑い」ですね。
お笑いとコラボで、アイデア発想とかメソッドの研究をしてみたいなと思っています。

(インタビュー・執筆:有澤寛則


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