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アウフヘーベン(止揚)的思考について考える

メインのイラストは対峙を表しています。アウフヘーベンを表すとするならば、この次にびっくりするような展開になっていくのでしょうね。


アウフヘーベン(止揚)とは|辞書

アウフヘーベン【(ドイツ)Aufheben】の解説
ヘーゲル弁証法の基本概念の一。あるものを否定しつつも、より高次の統一の段階で生かし保存すること。止揚。揚棄。→アン‐ウント‐フュール‐ジッヒ →弁証法

出典:デジタル大辞泉(小学館)

非常に難解です。「より高次の統一の段階??」で「生かし保存??」いったいどういうことでしょう。

少し簡単に訳すと

「矛盾した2つの主張を、一段階高いレベルで解決すること」

になります。うーん、わかったようなわからないような。

さらに嚙み砕くと

「Aという主張とBという主張に対してCという手法で解決する」

ということになりそうです。
なるほど、これなら理解できた、、、と思いますが、本当でしょうか?

よくある誤解「折衷案」


ここでよくある誤解が「折衷案」です。

「Aという主張とBという主張に対してCという手法で解決する」

例えば、AさんとBさんと食事に行くことになりました。

A:1,000円以下の安価に食事を済ませたい
B:5,000円くらいの高級な食事をしたい

ここでの解決案として以下の案を出したとします。

C:2,000円くらいでおいしい食事をする

この答えはアウフヘーベンではなく単なる「折衷案」になります。

AとBの意見の中間をとっていて、どちらも妥協する形になって解決にはなっていません。

では、アウフヘーベンとしての回答はどのような回答になるでしょうか?
例えば下記になります。

C:東京スカイツリーの展望台から夜景を楽しむ

なんのこっちゃ??ですよね。

アウフヘーベンするには深層心理にある欲求を捉える必要がある

食事の話をしていたのに、なんで急にスカイツリー?となってしまったと思います。説明しますね。

まず、アウフヘーベンは折衷案ではありません。AとBがそれぞれ妥協した結果のCではなく、AもBも満足する結果にする必要があります。

そのためにまずやることは「」を深堀りして「A´」に。そして「B」も深堀して「B´」にします。

A:1,000円以下の安価に食事を済ませたい

深堀りした結果、実はこの考えは下記の心理となりました。

A´:お腹が空いていないから食事にお金をかけたくない

同様に

B:5,000円くらいの高級な食事をしたい

こちらの深層心理も実は下記だったのです。

B´:記憶に残る特別な体験がしたい

この「A´」と「B´」を考えた結果導き出した答えが、

C:東京スカイツリーの展望台から夜景を楽しむ

となったのです。これで妥協ではなく、お互いの要求を満たすことができました。そして、最初の情報(AとB)からみると、少し突拍子もない答えになっています。これがアウフヘーベンです。
※説明のためこじ付け感がありますが、そこはご愛敬。

アウフヘーベンの例をもう一つ

では、ここでアウフヘーベンの例をもう一つ出しますね。せっかくなので当社向けの仕事の例にします。

あるクライアントから、「新規でECサイトを作りたい」と相談を受けたとします。クライアントの要望は下記です。

A:できるだけ安価にECサイトを作りたい
B:ECサイトの品質は高いものが良い

webサイト制作の会社なら「あるある」ネタです(笑)
ここで、「折衷案」を出すとしたら下記になります。

C:ページ数や機能を減らして安価で高品質なECサイトの構築

しかし、これだと結局顧客の作りたいものが作れず、最終的には顧客も満足できず失敗に終わってしまう可能性が高いです。

これをアウフヘーベンしていくと、下記になります。
まずは、「A」と「B」の深層心理にある欲求を見つけます。

A´:コストを下げて赤字にならないようにしたい
B´:売上が上がるサイトにしたい

上記から導き出す答えは下記になります。

C:LPを作って、google広告で広告を打って利益を上げる

「ECサイトの構築したい」という要望に対して、なんと「LP+google広告」という提案になってしまいました。

しかし、LPでしっかり商品を宣伝し、広告で費用よりも利益がでる状態になれば問題ありません。その結果、当初の予算よりも大きな金額でも満足のいく提案になってしまうのです。

結論:アウフヘーベンとは「A´+B´=C」である

ということで、ワタクシ流の結論ですが、アウフヘーベンを以下の公式で表しました。

「A´+B´=C」

A:ある主張
B:Aと反対する主張
A´:Aの深層心理にある欲求
B´:Bの深層心理にある欲求
C:A´とB´を満たす答え

どうでしょうか?個人的にはとってもシンプルで気に入っています。

余談:さいごに

当社(株式会社Insity)が掲げるMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)のV(バリュー)は下記です。

+αの価値を提供する
┗関わる人・企業に対して「+αの価値」を提供することが当社のバリュー

この言葉自体も大切な言葉ですが、その原型が「アウフヘーベンする」でした。

けれども「当社の価値はアウフヘーベンすることです」では、あまりに説明不足で伝わらないと思い、少し伝わりやすい形に変更して今に至ります。そのため、「アウフヘーベンする」ことで課題を解決していくことは、会社としてもとても重要な指標になっています。

最後に少しまじめに語らせていただき、終了です。
ではでは。

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