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インサイドセールス組織を向上させるヒントを探す皆様へ
インサイドセールス Advent Calendar 2024、9日目を担当させていただきます。@insideshibuと申します。気軽に「しぶさん」と呼んでいただけると嬉しいです。
昨日8日目は山梨 寛弥さんの「戦略の起点となるICP」でした。
明日10日目は今年のISアドベントカレンダーを主催してくださっているしづかさんです。
さて、まずは簡単に自己紹介させていただきます。
それぞれ語ると長くなるのでざっと書き出しますと私は以下のようなキャリアで今に至っております。
専門商社営業事務→広告系営業→BPOIS→ソフトウェアメーカーIS立ち上げ(SV兼トレーナー兼プレーヤー)→HR Tech ISトレーナー→IS Tech営業兼副業ISトレーナー(now)
最近流行りのIS(Biz)Ops的なことを割と長くやってる奴なんだなと思っていただけると幸いです。
本日は、素晴らしいnoteの多さに圧倒されながらも、それらの情報をただ流し読むのではなく、できれば明日からのビジネスに活かす、自社にとって一歩を踏み出すきっかけに使えるかを判断する、そんな参考にするための思考の元について僭越ながら長々と書き連ねてみました。
IS組織の型
インサイドセールスのモデルは近年、急激に一般化し、コロナ禍でのリモートワークの波にも乗って増えに増えました。
日本において、外資のIT企業の一部だけのものだったインサイドセールスという職種も気が付いたら「それってどんな仕事?」とは聞かれにくい世の中になったものだと感慨深く感じるところです。
あちこちで何度も言っていることなので、知っている人は「また言ってるよ」かもしれませんが改めて。
私は、他社のインサイドセールス組織の理想は自社にとっての理想であるとは考えない方が良いと思っています。
IS組織はこれと言った絶対的な正解が無く、その会社のフェーズや企業文化、取り扱い商材、ビジネスの形によって最適解は全て違います。
ある程度の成功パターンはあれど、自社にとって最適な形は他社からのコピーでは作れないと考えます。
海外で成功しているビジネスモデルやプロダクトを日本にそのまま持ち込んでもうまく行かないのとちょっと似てるなと最近思い始めました。
グローバルビジネスはからきしな私のイメージでしかないので異論は大いに認めます。
とはいえ、長いこと色々なIS組織に所属したりちょっと外からつついたり、少し離れて見てみたり…色々な視点で見ている中で、IS組織の目指す形は会社によって多少違いはあれど大きく別すると「カレッジ型」「プロフェッショナル型」に二分されています。
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①カレッジ型のインサイドセールス組織
カレッジ型のIS組織とは、Salesforce社に代表される所謂ISがその会社のセールス職の登竜門となる型の組織です。
比較的IS黎明期からモデルとしてベンチマークされてきている企業はこの型が多いように感じます。
インサイドセールス組織がそのままリードや商談だけでなく社内の人材の獲得、排出(還流)までも担っているケースです。
採用した人材に自社のセールス習慣や思想を違和感なくインプットしていくことができ、かつ人材還流が起きやすいため組織の停滞も起こりづらいので、非常によくできたモデルです。
ただし、この型がうまく回るにはかなり条件が厳しく、ある程度組織規模が大きい会社でないと難しいケースが多いです。
例えばこんな条件↓
組織全体の人数がある程度多く、フロント部門に割ける人員が潤沢である
拡大期の組織において採用力があり、採用計画通りに常に人を採用し続けることができる
育成の型を作り、回せる人員が確保できる
特にスタートアップ時期の組織ではかなり難しいことがお分かりいただけたかと思います。
②プロフェッショナル型のインサイドセールス組織
こちらは、ISという職種がある程度認知され、経験者が増えてきたことからも近年増えつつある型の組織です。
過去にはまだISという職種自体に経験者が少なく、体力やナレッジのある外資などの企業が①カレッジ型で育成するしかなかった時代を経て、そこを経験してきた経験者が転職していくことによって転職市場に「IS経験者」が増えてきました。
そのため、育成コストを最小限に抑え、基本を持っている人達にISのプロとしてその業務を担ってもらうことができるようになりました。
ここまでの流れでお分かりいただけたかと思いますが、現在の日本のIS組織は大半が②です。
最近よく「ISからのネクストキャリア」が話題になるのはこの背景があるからだと思います。今現在ではまだ無いんですよ、その先の王道が。
だからこそ①の出身者達が②に移動し、その先を切り開いていく、今はまさにそのフェーズなのです。
とはいえ、労働人口は減少していき、採用競争は激化。
プロフェッショナル欲しくても採用市場にいない…という状況の中で、いかにIS組織を型づくるか、皆様頭を悩ませていますよね。
生産性の高い組織に必要なのは仕組みと人の力
アドベントカレンダーの皆様も仕組み、OpsのTipsを沢山発信されているので、具体的な考え方やHowに関しては諸氏のnoteをぜひご覧ください。
私が言いたいのはそこではありません。
仕組みと人力の分担を設計するということ、やっていますか?
仕組み化≒ソリューションでの解決
例えばそれは顧客管理ツール(CRM、SFA)の使い方。
例えばそれは管理体制の構築。
例えばそれはIPフォンの活用。
例えばそれはマーケティングオートメーションの仕組み作り。
仕組みとは理想の状態を実現するために現状とのギャップを埋めるための手段を設定し、階段を作りながら理想へ上っていくプロセスです。
多くはその手段としてソリューションの導入が検討されますが、何かを導入すれば仕組み化ができるわけではなく、そこには必ず人の力が必要になります。
人力とは決して根性論でがんばれという話ではない
特に生産性が高い、仕組み化された組織では須らく人の力が最大限に発揮されています。
この場合の人の力とはソリューションでは為しえない、人だからこそできるフィールドでの力の発揮に他ならず、決してソリューションを導入する(例:表計算ソフトを導入する)よりマンパワーで残業して片づけよう(例:人の手で計算機を叩こう)!と言うものではありません。
2024年のこの一年弱だけをとっても、生成AIがビジネスの場でもどんどん活用の幅と裾野が広がっている中で、ソリューションでできることにわざわざ手を動かすことは今まで以上にナンセンスと言われていくでしょう。
人の力
少し感情的な話になりますが、仕組みやソリューションで解決できない最後のところは働く人の心の部分だと私は思います。
営業をするのも、されるのも人。また仕事を引き継ぐ相手も人なのです。
プロフェッショナル型のIS人材が今後も増えていくであろう中で、仕組みやソリューションで代替されない能力の部分を鍛えることでしか先には進んでいけないのだろうなと思うと、働き続ける限り学び続け、変わり続けるしかないことがわかって嬉しいやら悲しいやら複雑な気持ちです。
人だからできること
さて、そんな複雑な思いをそっと脇に置き、今ISトレーナーとしての自分にできる「人だからできること」って何かな、と少し考えてみました。
トレーニー1人1人の性格やWillに合ったFBやトレーニングの提供
企業ごとの理想や状況に合ったトレーニング提案
結局、この「1人1人に合った」対応という1to1こそが「人だからできること」なのです。
とはいえそのロジックは膨大な経験から導かれる最適解を提示しているだけなので、仕組みとしてはAIと同じですが、今はまだその部分をプロダクトまで落とし込んで一般的に製品化できる時代ではないため、もう少しこの部分はスペシャリティとして持っておけそうです。
この話を一般化しますと、
データや傾向に基づくマス対応は仕組みで確実に。
仕組みからの方向性を踏まえた後のパーソナル対応(to顧客/to自社メンバー)は人の力で。
この両軸をいち早く、かつ大量に回していける組織づくりこそがプロフェッショナル集団としてのインサイドセールス組織を作る鍵なのではないでしょうか。
まとめ
時代を生き抜く強いIS組織を作るために、必要なのは仕組みと人力。
ソリューションで解決できることを人がやっている暇はない。
ソリューションで解決できない部分にこそ人の価値がある。
ということで、よろしければ他の皆様が執筆されているnoteで具体的に皆様の「型(仕組み)として自社に取り入れられるHow」と「人の力として自分に活かせるナレッジ」を切り分けながら受け取ってみていただけるとやるべきことがクリアになるのではないかなと差し出がましいながらもご提案いたします。