ひとにうまく頼れない人へ
夏の絶望にも近い暑さから解放され、ゆっくりとした足並みで街の彩りを見ることが許される秋。皆さんはどうお過ごしでしょうか?
なんとなくおしゃれな一言ではじめたかったのですが文才の無さ全開でさっそく苦しくなっているしげのです。普段はメディアで硬めの文章ばかり書いているので今日は少し違うテイストで言葉を綴っていきたいと思います。
2003年あたりでしょうか。仕事をはじめたばかりの私はとにかくプライドと承認欲求の塊でした。「なんとしても仕事で成果を出してやろう」とか「同期に負けたくない」とか「先輩を追い抜いてやろう」とか。それ自体はよい燃料になるのでわるいことではないのですが、とにかく人に頼るということができませんでした。それは頼ってしまうと自分の成果として認められないからだと強く思っていて、なんでもひとりでやりきらなければという意識に支配されていたんだと思います。
そんなスタンスで仕事をしているので壁はすぐにやってきます。ひとりではどうにもできない量の仕事を任されたのですが、誰にも頼れず思考停止。まわりに迷惑をかけて最終的には助けてもらうことになりました。ここでの教訓は「最終的に誰かに助けてもらうことになるのであれば、先に助けてもらった方がお互いのため」です。
つまり、プライドがあって頼りたくないと思っていても失敗や迷惑によって評価が下がるので、結局は自身が望むものとは真逆の結果になるということです。大きなチャレンジほど成功確率は下がり、未経験の領域ほどトラブルを予期することはできません。成功はアートといわれるように再現することが難しいかもしれませんが、失敗やアンチパターンは知ることで回避できます。
そんな経験をする中でもうひとつの学びがありました。それは「もらうと思うから重たい、借りると思えば気軽にできる」です。例えば皆さんが財布を忘れたとしてランチに困った場合、「財布忘れたのでお昼を奢ってください」と「財布を忘れたのでお金を貸してくれませんか?」のどちらが言いやすいですか?もちろん関係性にもよりますが、基本は後者ですよね?もちろん借りることも簡単なことではないですが、返す前提だから心のストレスは少ないはずです。
頼ることが苦手な心理的ハードルの2つ目のパターンがこれで「自分のために時間を使ってもらうなんて申し訳ない」という感情です。確かに誰かの手を煩わせることや相談に時間を奪ってしまうことは心苦しいですが、それは「自分のために時間をもらってしまう」と考えているからではないでしょうか?そんな人には「返す前提で借りるだけなのでもっと気軽に相談してみたら?」と伝えています。
返す内容は様々で「組織に成果で返す」ということもあれば「成果が出たのは◯◯さんがあのとき助けてくれたので成功できました!」という感謝の気持ちとそれを共有することでその方の評判を上げることもできます。また、当人や組織でなくとも後輩に返すということもできます。誰かに助けてもらったら誰かを代わりに助ける精神というやつです。
ただこういった恩義にも利子は必要なので返すときには利子をつけましょう。それはあなたの経験をプラスすることや、ひとりに助けてもらったらふたりを助けるといったことです。こうして恩を増幅していくことで味方が増え、自身の人生も豊かになりますしそれが企業や社会全体を良くすることにつながると思っています。(ほらね?少しずつひとに頼っても良いかもって思い始めたでしょ?ね?ね?)
話は私の失敗談に戻りますが、ひとは簡単には変われません。むしろそのまま何度も失敗します。そして大きな失敗がやってきます。詳細はこちらのnoteに書いてありますので時間があれば読んであげてください。そんなとき当時の兄貴的な存在のTさんに言われます。
「しげのさんはほんとに頼るの下手だよね?もしかして勘違いしてない?あなたが誰かに頼って成功したらそれはすべて当事者であるあなたの評価ですよ?これまでは個人の実行力で評価されてきたかもしれませんが、これからはそうでは無い。あなたが何をできるか、という定義を根本から作り替えてください。」(ちょっとアオアシの司馬さん入れてみました)
これはちょっと衝撃的でした。営業やインサイドセールスやなんでも良いのですが、基本的には自分で手を動かすことが「できる」の定義だったのですが、そうではないと。たしかに当時の部門長級の必要要件に「社内外問わず必要なリソースを調達できる力」(若干デフォルメしてます)と書いてありました。
これは採用や社内異動も含めて人的リソースを調達することもそうですし、社内外の協力者を見つけ出し、手伝ってもらうもしくは動いてもらうことで物事を推進せよ、という意味だったと理解しています。つまり、期待されていたことと自身が発揮しようとしていた能力に乖離があったわけです。
そんな経験をしながら多くの素晴らしいメンバーと出会い、キャリアや仕事の相談をされる中で「誰かを助けることはもちろんできますし頼られたら嬉しいです。でも誰かを頼るのは苦手で…」という人が以外に多くいることがわかりました。ここで自身のこれまでの経験を振り返ってたどり着いた答えが「人を助けられる量は、人に助けてもらった量と比例する」ということです。
人を助けられる能力を解決できる課題の数と置き換えて考えてみました。つまり、自分がこれまで誰かに助けてもらって解決した経験がそのまま自身の解決できる課題の数になるので、たくさん助けてもらってたくさん解決しておくことが誰かを助ける力になるということです。(ちょっとカマイタチさんのネタっぽくしてみました)
「誰を助けたいなら先にたくさん助けられておいてください」と、とくに将来的にマネジメントを目指したいひとにお伝えしています。上の方でも書きましたが、この借りは誰かに返さなければいけません。恩の借金をすればするほど大きな返済義務がのしかかるのでそれを良い意味で「誰かを助ければければ!」というエネルギーに変えていってほしいとおもいます。
だらだらと土曜日の昼間から書いてしまいましたが、なにかひとつでも皆さんの参考になれば幸いです。そんな私ですがインサイドセールスプラスというメディアを運営していて、こういった内容を隔週でメルマガ配信していますので興味がある方はぜひそちらにもご登録いただけますと幸いです。
それでは皆さん、素敵な週末を。