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【高栁昇】編集者、写真家、デザイナーのための写真印刷術〜第1回:印刷用紙とインキについて

2019 年3⽉15 ⽇ 東中野ポレポレ坐
企画・進⾏:伊勢 功治

皆様、本⽇はウィークエンドの夜7 時、貴重なお時間にお集まり頂き有難うございます。

どうしても技術の話になりますと、数式や記号なども出てきますが、できる限りわかりやすくご説明します。本⽇は印刷⽤紙とインキということについて皆様にお話申し上げようと思います。

みなさん1990年くらいでしたかね。「酸性紙」の問題が世の中を騒がせましたよね、国会図書館の本がダメになってしまうとか。あるいは、紙の⽬がどうしてできるかとか、不透明度の問題。裏側の印刷が⾒えてしまう現象がどうして起こるのかですとか、そして紙の劣化の問題等について。それらを含めて、まずは紙について整理させて頂きたいとおもいます。

インキについては、例えば昔のグラビア出版印刷はどうして⼀⾊でも⾊が濃かったのかとか、グラビアとオフセットの対⽐について。また、オフセットでいうと昨今はUV 印刷が主流になってきていますね。これには様々な外的・内的な理由がありますが、UV と伝統的な油性のオフセットの違いについて。また、もう少し突っ込んだ”表現”の問題についても触れてみたいと思います。時間の関係もあり、若⼲早⼝になるかもしれませんがご容赦下さい。

1、紙の抄造⾏程について

まずは、紙の抄紙⼯程の基本についてご説明します。まずはパルプ化⼯程について。機械パルプというのは、簡単にいうと⽊材をすり潰して作ります。樹⽊はなぜ硬くなるのかというと、セルロースとかヘミセルロースといった多糖質によるものです。それにリグニンという物質がくっついているのですが。これが⼤体、⽊の中に20%ぐらい含まれています。

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