京大物理院試過去問解答
タイトル通りです。院試勉強で解いた京大の過去問を置いておきます。よければ参考にして下さい。
追記: ここには書いてませんでしたが量子情報の研究室に進学しました。研究内容は物理ではなく完全に理論計算機科学(もう少し詳しく言うと計算量的な量子暗号)なので院試で勉強した内容は線形代数以外全く使ってません。そのため、今後質問をいただいても適切に回答できないと思うのでご遠慮ください。みなさんの健闘を祈っております。
参考にした本及び各分野について思うこと
・力学 ランダウ、詳解演習(共立出版)
ランダウをあげましたが正準形式の後半(断熱過程等)は読んでいません。京大は剛体が結構高めの難易度ででるので詳解などで一通り解いておくとよいです。結構楽しいしね。
・電磁気 理論電磁気学(砂川)、基幹講座電磁気2(田中)、場の古典論(ランダウ)の前半、詳解演習(共立出版)
真空中については砂川、ランダウを、物質中に関しては田中を参考にしました。ランダウは特殊相対論から始めているので二冊目とかに読むといいと思います、たまに特殊相対論でるしね。ランダウの後半は一般相対論なので院試勉強としては読まなくていいです。正直一般相対論の一冊目としても難しくてあんまりおすすめしないです。昔ゼミしたけど大変だったし。
・量子力学 jj桜井、メシア、猪木河合
院試の量子論は一次元のシュレディンガー方程式解いてわちゃわちゃすることが多いのですがパリティ対称性で計算が簡単になることが多いので意識するといいです。ニ、三次元についても大体回転対称性とかで一次元に帰着できますし。2電子系について対称性から基底状態のスピン部分と空間座標部分の形を決定させる問題もたまにでるので対称性は大事です。摂動については二次摂動のエネルギーくらいまで導出できるようにしとくといいです。ポテンシャル透過の問題は計算を頑張るしか無いです、僕は答えが一致したためしがありません。一様磁場の下での問題はゲージ変換して計算しやすくなるようにするとよいです。
・熱力学 清水、田崎、佐々、久保熱統計の前半
熱力学は直接問題として問われることはあまりありませんが統計力学を理解し用いる上で必須なので入れました。個人的には清水熱力の構成が非常に整理されていて理解しやすく、かつ応用する上でもよいと思います。ただ一冊目には向かないので田崎熱力又は佐々熱力を読んでからの方がよいと思います。また相転移に関しては清水熱力を特に参考にしました。エネルギーを下げる利得とエントロピーを上げる利得のどちらが強いのか…などを問題を解く上で意識すると定性的な理解を問う設問に対して怯えずにすみます。まあ定量的に求めた結果に定性的な理解を与えたり定性的な考察から定量的に求めた結果が合うかどうかのチェックを院試とか関係なしに意識するのは物理やる上で大切です。
・統計力学 田崎、久保熱統計の後半
統計力学は基礎についてしっかりと解説した本が少ないです(清水さんが執筆中らしい?)。田崎統計が現状一番よいと思います。演習書として久保をあげましたが基本的に専門にしないなら例題+A問題を解いておけば十分だと思います。ただB、C問題も面白いので余力があれば解いてみると楽しいです。僕自身、全て解いたわけではないのですが…。
いくつか注意事項
・問題はhttp://www.scphys.kyoto-u.ac.jp/education/inshi/に掲載されてます。そちらを見てください。
・goodnotesによる手書き解答なので字が読みにくいかもしれません。ご容赦ください。
・自分で見てもこれは嘘だろといった解答もあります。計算ミスもしている可能性があるのであまり過信しすぎないで普段教科書を読む時のように批判的に用いてください。
・特に量子力学のポテンシャル透過の問題は透過率がほぼ全てなんらかの計算ミスをしていると思います。接続条件はあってるはず(多分ね)なのでそこまでを参考にしてください。
・2021はオンライン試験だったらしく、友人が簡単だからわざわざやらんくてもいいと言っていたのでやってないです。
・2022 2-2C (5)はもう少し近似の次数をあげてねじれによって時間がたつと一方の振動がもう一方に移っていくことについて言及した方がよいと思います。
・2011 3-2ではω→0で自由粒子になる、として計算していますがあくまでωは有限として調和振動子の状態密度を用いた方がよいかもしれません。ここは院試ゼミでも意見が分かれていました。