イミラック隕石などのパラサイト隕石のクリーニング方法
ギベオン隕石などの鉄隕石とは違い、イミラック隕石などのパラサイト隕石(石鉄隕石)は、カンラン石がある為、非常にクリーニングに神経を使います。
しかし、ちゃんとしたやり方でやれば、カンラン石がポロッと取れる可能性を限りなくゼロに近づける事が出来ます。
カンラン石の真実
まず綺麗に輝くカンラン石のビックリする真実に付いて言います。
実は、パラサイト隕石のカンラン石はくっついていません。
一見、鉄部分と接着されていると思われますが、ただハマっているだけです。
複雑な鉄部分がカンラン石に入り組んでいるだけなので、場所によっては一瞬にしてポロッと取れてしまいます。
つまり、取れる所はすぐに取れるし、取れない所はカンラン石が欠けたり鉄部分が変形しない限り取れないということです。
あと1つカンラン石が取れるケースがあります。それは熱です。
鉄は熱を帯びると膨張する性質があります。意図的に熱を入れなければ大きく膨張することはありませんが、絶妙なバランスで一体化している鉄部分とカンラン石はほんの少しの膨張で取れる事があります。
ですので、夏場、車の中に放置したり出窓に放置して直射日光を浴び続けると、熱を帯びてしまうので注意が必要です。
この事実をふまえて繊細なパラサイト隕石を綺麗にクリーニングする方法をお伝えします。
優しく丁寧が基本
前提として強い衝撃は厳禁です。ゆっくり丁寧に衝撃を極力かけないようにしてください。
パラサイト隕石のクリーニングの99%はサビ取りだと思います。ですので、本記事ではサビ取り方法を分かりやすくお伝えします。
軽いサビ取り方法
表面がうっすらサビてきた場合は、鉄隕石同様にクエン酸で落とします。
クエン酸は100円ショップで売っていますので、既に水溶液になっているものを買ってください。
それにサビたパラサイト隕石を入れて1分以上浸けてください。
何分浸ければOK!という正解はありません。サビの程度により異なるからです。
1分毎にサビの取れ具合を確認して、サビが取れたらスグに水で洗い流すか重曹などのアルカリ性の液体に入れて中和してください。
中和した場合、最後には水で丁寧に洗い流してください。最後の仕上げとして超音波洗浄機に入れる時は注意してください。
超音波洗浄機の微力な振動でカンラン石が取れる可能性があります。
ここで1つ、クエン酸に入れる時に注意する事があります。浸け過ぎです。
イミラックのほとんどは鏡面仕上げになっていると思います。鏡面仕上げになっている隕石は、どれもクエン酸でウィドマンシュテッテン構造が出てしまう可能性が十分にあります。
イミラックのウィドマンシュテッテン構造が嫌いな方は浸す時間に注意してください。
深いサビを取る方法
クエン酸でサビが取れない場合は研磨するしかありません。前述した通り、カンラン石と鉄部分は接着されていませんので、優しく研磨した方が良いです。
使用する道具はホームセンターなどで売っている紙やすりです。サビの程度によりますが、細かい番手から磨いてみると良いでしょう。
4000番で優しく磨いてみて取れなかったら、段々と目を粗くしてみてください。
そしてサビが取れたら、徐々に細かい番手にしていって、最後にバフをかけると最適です。
当店では最後の仕上げにリューターとピカールを使っています。どちらもAmazonで購入することが出来ます。
最後の磨きが終わったら超音波洗浄機で余分な研磨剤を落として、十分に乾かしたら完成です。
おうちでもイミラックのクリーニングをやってみてください。
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