Another006 Love Letter
クロマグロって5歳で160㎝、12歳で220㎝以上になるんだって
眠ってる間も泳ぎ続けるから、そんなに大きくなっちゃうのかな?
私にもそういうところあるんだ、
初めて見たときからあなたのことずっと考えて考えて
寝てる間も考えて、気付いたら好きになっていました。
あなたの好きなところを書きました。
本当は全部なんだけど、なんか軽くて嘘っぽくなるから。
好きです。
受け取ってください。
懐かしい写真で記憶が蘇りました。
こんなに穏やかな気持ちに包まれるなんて
私にとってあなたとの時間が本当に素晴らしいものだったのでしょう。
口数の少ないあなたでしたが、とっても優しく温かい人なのを知っていました。
ポストは人の思いの集まる場所。あなたの周りにはいつも仲間たちがいました。
暖流と寒流が合わさる場所が魚たちの集まる場所になるように、
静かに熱いあなたに誰もが引き寄せられたのです。
そんなあなたの隣にいられることが誇らしく思いました。
それなのに、ポストに触れるとひんやりしていることをあえて誰にも言わなかったのは
自分が特別でありたいという若さの象徴な気がして、気恥ずかしさを覚えます。
手紙を差しだしたときにあなたは何も言わなくて、受け取ろうとしないから
断られたのかと思いました。
でもあなたは小さい声で「俺はポストだから」そう言いましたね。
あの日、あなたに投函した手紙と今書いている手紙。
人生であなたに手紙を書いたのはわずか2回でした。
この手紙は出しません。
それでも書いたのは、考えだしたら止まらない動き出したら止まれない
そんな私だからです。あなたはきっと分かってくれると思います。
出会ったときから好きでした。ずっと好きでした。
どこが好きだったのか書き上げることは出来ますがやめておきます。
私の耳があなたのポスト以上に赤くなってしまうから。