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Another005 イスティーブのスピーチ
やぁ、ありがとう ありがとう
こんなにも大きな拍手で迎えてくれるなんて思っていなかったから驚いたよ
どうもありがとう ありがとう でももう大丈夫
時間は有限なんだ このスピーチも 人生もね
そうだとも 君たちの一分一秒は二度と繰り替えされない特別な瞬間なんだ
だから特別な今を手を叩くためじゃなく
君たちのために使ってほしい 君たちは誰もが特別な存在なのだから
ありがとう ありがとう また拍手がはじまってしまったね
もうよしてくれ ありがとう 良い事を言ったからね 仕方がないんだけれど
もう大丈夫 時は金なりってね いい言葉だろ 昨日歯を磨いているときに思いついたんだ
ありがとう ありがとう
本題に入ろう 君たちは僕のことを知っていると思う 今君たちが手に持っている薄型デバイスも
そのとても軽いやつとか、大きいやつとか、小さいやつとか、腕に巻くやつとか作ったからね
でも今までの僕のことは忘れてほしい 生まれ変わった新しい僕を知ってほしい
このイスをカブった僕のことをね
単刀直入にいえば僕はイスが好きだ だからカブる
イスは僕を支えてくれる 物理的にも 精神的にもね
どんなに落ち込んでも イスが僕を立ち上がらせてくれる
座るには一度立たないといけないからね
卵が先かニワトリが先か 食べるために働くのか働くために食べるのか
それと同じことさ
座るためにまた立ち上がる 誰だってそう 僕も君もね
正直に言うと僕はイスに座るより眺めるほうが好みなんだ
何時間でも見ていられる それぐらい好きなんだ
手を上げているそこの彼女 君の質問を聞こうじゃないか
イスをカブってしまったら自分で見ることができないのではないか なるほど
鋭いね いい質問だ でも違うんだ 質問に質問で返そう
君は恋人と歩く時 隣を歩くのではないだろうか 前でも後ろでもなく横を
それはなぜだろうか 景色を共有したいからだと僕は思う
同じものを見て 同じように感じる そのために並んで歩くのだと思う
素敵なパートナーを見せびらかしたい そういう気持ちもあるだろう
すれ違う人の目線の先がどこを向いているのか なんとなく分かってしまうものだからね
いま僕のイスを見たな この人も見た 素敵なこのイスをあの人が見てる
また見た あの人も あぁ見てる また見た ずっとみてる あぁそんな あぁぁ
みんな立ってくれ 全員だ スタンドアップ
そしてゆっくりと腰掛けて
ありがとう ありがとう
今日はスピーチの機会を頂けて本当に感謝しているよ
最後にこの言葉をみんなに送りたいと思う
座れ 愚か者であれ カブれ そして立ちあがれ
Another005 CHAIR