失語症者の喚語困難に対する新しい訓練【RISP法】の紹介
記事を閲覧していただき、ありがとうございます
この記事は、
失語症者に対してRISP法を本格的に実践したい
ST向けに書いています
【無料部分】で
・RISP法の概要
・RISP法の文献紹介
・RISP法の実施手順
を紹介します
【有料部分】にて
RISP教材のパワポデータを配布しています
文献通りのRISP法を実践したい方は、
ぜひPowerPoint教材の購入をご検討ください
RISP法の概要
【RISPの概要】
RISPとは、
失語症者の喚語速度を向上させ、
会話への汎化を目指す訓練法
スムーズな会話を実現するためには
1秒での喚語が必要と言われています
RISP法は
プログラム開始時は3秒で呼称を行うが、
終了時には1秒での呼称を目指す訓練法です
英国で紹介され、
日本でも原著論文が発表されています
RISP法によって、
喚語の精度と速度が向上し、
なおかつ会話での喚語能力も改善し、
さらに1ヶ月後もその効果が持続した
と報告がなされています
文献紹介
RISP法は、英国の
『Time for a quick word? The striking benefits of training speed and accuracy of word retrieval in post-stroke aphasia』
という論文に記載されています
RISPはRepeated, Increasingly-Speeded Productionの略です。
直訳は、
「繰り返す中でどんどん速く発話する」
となります。
国内では、
『喚語障害を主症状とする失語3例に対する
repeated,increasing-speeded production(RISP)
訓練の試み』
という原著論文で紹介されています
RISP法の効果
それぞれの文献の要約をPICOで示します。
要約
『Time for a quick word? The striking benefits of training speed and accuracy of word retrieval in post-stroke aphasia』
■対象患者
・右利き
・母国語は英語
・聴覚/視覚が正常または正常に近い状態
・MRI検査に矛盾がない
・言語以外の著名な認知機能の低下はなし
・最低限の音声単語の反復能力を有する
・重度の命名困難がない
・重症度とタイプが異なる慢性期失語症者20名
(男11名女9名、平均年齢65.2±11.7)
■治療法
12回/6週間の速度と精度に焦点を当てた治療
(以下:RISP法)を実践
■比較対象
標準的な精度のみの治療
(以下:一般的な呼称訓練)と比較
■結果
・一般的な呼称訓練では、喚語の精度が向上した
・RISP法では、
絵の喚語の精度と喚語速度が有意に向上し、
効果は1ヶ月後も持続した
・情景画の説明では、
一般的な呼称訓練に比べて
RISP法が有意に訓練語以外の語の産生を認めた
要約
『喚語障害を主症状とする失語3例に対する
repeated,increasing-speeded production(RISP)
訓練の試み』
■対象患者
・言語以外の著名な認知機能の低下はなし
・慢性期のタイプの異なる失語症者3名
■治療法
RISP法を取り入れた訓練を40分 1回/週 計8回
■比較対象
同症例に一般的な呼称訓練も実施し比較した
■結果
・3例ともRISP法によって
有意に呼称正答率が向上した
・いずれの症例も、効果が1ヶ月後でも持続した
・情景画の説明課題では、RISP群の全例で
「発話中に訓練語が産生される比率」が
訓練前に比べて訓練直後に10%以上増加した
・2/3例において、この効果が1ヶ月後も持続した
RISP法の実施手順
では、RISP法の訓練手順を紹介していきます
まずは下記動画をご覧ください。
このように、RISP法では
一定時間のイラストの提示
⬇️⬇️⬇️
解答の表示
⬇️⬇️⬇️
誤答の場合は3回音読
という手順で行う訓練法です
一定時間(いわゆる潜時)を
対象者に気づかれずに短くしていくことで、
1秒での喚語を可能にしていくのが特徴です
英国の論文では、
3.0秒 2.5秒 2.0秒 1.6秒 1.3秒 1秒
と潜時を短くしています
日本の論文では、
5秒 4秒 3秒 2秒 1秒
と潜時を短くしています
どちらの方法でも効果はあるようです。
一般的な呼称では、
喚語完了までの時間はありません
RISP法では、喚語時間が制限されています
この差が喚語の精度と速度を向上させるようです
有料記事『RISP教材』について
有料記事を購入することにより、
RISP教材が手に入ります。
有料記事内にあるデータは以下の通りです。
①6段階分のRISP訓練課題(PowerPoint)
(3.0秒、2.5秒、2.0秒、1.6秒、1.3秒、1.0秒)
(1つのパワポにイラストは67枚収録)
②試行回数や具体的教示方法を記載した資料(Word)
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使用できるようにしております。
なお、単品1280円ですが、
セット価格はもっと安いです。
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