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12人の『シン・ニホン』公式アンバサダー誕生に寄せて

先日、「『シン・ニホン』公式アンバサダー養成講座」が無事終了した。

たしかな達成感のあとに、かすかな喪失感がやってきた。
もう、あの場に流れる心地よい空気を感じる機会がしばらくないと思うと、少しさみしい。

『シン・ニホン』に共鳴したことだけを共通点にオンラインで集った12人に、いま自分は想像すらしなかったほど強く心理的なつながりを感じている。
ほとんどの人に、まだリアルに一度も会ったことがないのにもかかわらず。

今日をもって、会に参加した12名の方々は、NewsPicksパブリッシングが公式に認定した「『シン・ニホン』公式アンバサダー」となり、今後それぞれのタイミングで読書会を主宰していく。

アンバサダーという未知なる取り組みから何が生まれたのか。
これから何を生み出していくのか。
節目となる日に振り返っておきたい。

『シン・ニホン』アンバサダーはなぜ始まったか

アンバサダーとは、いったいなんなのか。
一言で言えば、「読者でありながら、他の読者に本を広める人々」のことだ。
なぜ、こんな取り組みを始めたのか。

著者の安宅さんは、この本を「残すに値する未来」を創るための変革の書と位置付けている。
「変革の書」というのは単なるお題目ではない。
安宅さんはおそらく、「どんなに多くの人に読まれたとしても、未来が変わらなかったのならば『シン・ニホン』の存在意義はない」とすら考えているはずだ。

「未来」という言葉はどこか曖昧に響く。しかし、
「次の世代が日本に生まれたことを誇りに思えるか?」
という言葉に置き換えれば、曖昧どころか、どこまでも具体的な課題となる。

数十年後、僕たちはその結果を確実に目撃することになるのだ。

このまま何もせず手をこまねいていれば、「残すに値する未来」はやってこない。
逆に、一定数の人が立ち上がり、行動に移せば、確実に「残すに値する未来」は創ることができる。

だからこそ、NewsPicksパブリッシングは、この本を売ること以上に「シン・ニホン」を社会に浸透させることを重視したい。そのためには「読者」より一歩先に踏み込んだ「同志」を必要としたのだ。
著者から受け取った「火種」を次の人に灯したい、自ら行動したいと思ってくれる人たちを。

「異人」、集う

そう考え、本書のプロデューサーでもある岩佐文夫さんと一緒に、この4月にアンバサダー制度を立ち上げたところ、たった3日の応募期間になんと100名もの方がご応募くださった。
一通一通、応募の文面にすごみがある。

僕たちは背筋を正して、第一期の初回を迎えた。

どんな人なのだろうか。
文通相手と初めて会うようなソワソワした気持ちを抱え始まった初回だが、自己紹介を終わった段階で、僕はすぐに安心していた。

『シン・ニホン』という本に強く共鳴した人は、やはり共通のベクトルで束ねられていた。
そして、矛盾するように聞こえるかもしれないが、それぞれまったく異なるタイプの人が集まった。
だが、その違いが不思議と心地いい。
これも、「異人」の重要性を説く本書を読んだ人たちの集まりだからこそなのかもしれない。

誰も「お客さん」じゃなかった

毎週木曜21:00。みっちり2時間、『シン・ニホン』の各章について議論する。
毎週参加者の中からファシリテーターを決め、「今のファシリテーションはどうだったか」について、全員からフィードバックを受ける。
当日の参加だけでなく、事前の準備も相当に重たい会だったが、振り返ると全7回、全員が一度も欠席しなかった。

今振り返ってみると、あの場が素晴らしかったのは「お客さん」が一人もいなかった点にあった。
ファシリテーションの機会が足りないと感じたメンバーは、自発的に何度も「練習会」を開いてくれた。自主参加の会であるにもかかわらずほとんどの人が参加した。

僕たち「運営」側と同じくらい、アンバサダーの方々はあの場をよくする方法について考えてくれていたと思う。


最終回が近づくにつれ、達成感よりも「もう終わってしまうのか」というさみしさが先行する。

最後の日、すべてのプログラムが終わったあと、多くの人が名残惜しさを感じてなかなかzoomから退出しなかった。
「いつか直接お会いすると思うので、とくに大げさな挨拶もせずに今日は失礼しようと思います」
岩佐さんがそう言った。本当にそうだ。
きっとどこかで会いたいと思う。そして直接お礼を言いたい。

アンバサダーとつくる「シン・ニホン」という未来

今日、12人のメンバーは正式に『シン・ニホン』公式アンバサダーとなった。それぞれの方が多様なスタイルで、『シン・ニホン』から受け取った「火種」を次の人に灯してくれるはずだ。
ちなみに、アンバサダーの方々は、最後に『シン・ニホン』の感想文も書いてくださったのだが、これがまた多様で素晴らしかった。12人のプロフィールを紹介する記事にそれぞれの感想文もリンクを貼ったので、よかったらぜひお読みいただきたい。


アンバサダーの取り組みは、とても地道だ。もし「本を多くの人に届けること」をゴールにするなら、広告をドカンと打ったほうが効果的だろう。
でも、「残すに値する未来を創る」ことをゴールなのだから、この方法が一番の近道なのだと信じている。

直接確認したわけではないけれど、運営側のメンバーも、アンバサダーの方々も、きっと何かに突き動かされているような感覚を持っているはずだ。
それは、やはり著者の安宅さんから、託されたものがあるからだろう。

『シン・ニホン』は、日本という広いテーマについて書かれていながら、読者の生き方を問う本でもある。
著者の文章の迫力が、行間から溢れ出る願いが、何かを託された感覚となって、自分を突き動かす。

数十年後の未来を見届けるまで、きっと止まることはできない。

このメンバーだったからこそ

実は当初の第一期メンバーは10人であった。
が、今日アンバサダーになったのは12人だ。
実は2人、この会をサポートしてくれたメンバーがいる。

橋本大輝さんと、ふるふる(古塚慶)さんだ。
お二人は毎週の会に参加するかたわら、どうすればアンバサダーが主催する読書会がいいものになるかを考えるために、毎週運営側のMTGに加わり、さらには素敵な資料も作ってくださった。
いわば「第0期アンバサダー」とでも呼ぶべきお2人には心から感謝しています。

いつも会の中心にいて、ファシリテーターのスキルをみなさんに伝えた岩佐さんにも、あらためて御礼を申し上げたい。
僕は岩佐さんほど見事なファシリテーションを展開する人も、問いを立てる力に優れた人も、多くの人から信頼される人も会ったことがない。
絶対的な大黒柱として会をまとめていただき、また生活のかなりの時間をこの会のために注いでくださり、ありがとうございました。

今思えば、アンバサダー養成講座は、どこまでも集まってくださった方々の自発性に支えられていた。
すべての参加者のみなさん、毎回準備や議論、本当にお疲れ様でした。
あんな素敵な場ができたのは、みなさんだったからこそでした。
ありがとうございました。
いつか、リアルでお会いしましょうね。


最後に、お知らせ

第一期のアンバサダーが正式に生まれた今日、同時に第二期の募集をスタートする。

また、第一期のアンバサダーが主催する読書会については、このフェイスブックグループのイベントページに情報を集約している。
公開グループなので、興味を持ってくださった方はぜひ今「参加」ボタンを押しておいてほしい(ちなみに、読書会のハッシュタグは「#シンニホン読書会」なので、そちらもチェックしていただけるとありがたい)。

ここまで読んでくださったみなさんは、第二期に応募するでも、第一期アンバサダーが主催する読書会に参加したり感想を拡散したりするのでもいい。
それぞれの形で、この運動論に加わってもらえたなら幸いだ。



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