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【論考】徳川家はなぜ江戸幕府を継続できたのか?

 2023年1月25日(水)。15時22分。なんか書きたいことを書けなかったというか、織田信長や豊臣秀吉のように、「自分の人生を光輝かせる」よりも、徳川家康のように「自分の家系、徳川家を長く繁栄させていく」ほうが、人生が結果的に上手くいく。みたいなことを書きたかったのですが、トイレに行ったらなぜか忘れてしまい、結局次の記事を同じ時間に連続して書くことになりました。

 こんにちは。井上和音です。

 時間的に連続して記事を書くことなんて、とうおこでも初めてやることなので、特に何も思い付いていません。どうしようか。

 ただ。なんというか。「英雄たちの選択」で言われていた「織田信長、豊臣秀吉と徳川家康との圧倒的な違い」に「人生観」があったのですね。

 自分は実存主義を軽くかじっただけの人間なのですが、大半の人って実存的というか、自分の「主観性こそは真実である」ということには、まあ、納得するのだと思います。哲学でもなんでもないのですが、誰であろうと、「自分の人生とは、自分がどういう功績を残して、どう光輝いたか」を子供なりに見せつけて、要は「自分が死ぬことと世界が終わることは同義である」みたいなことを、心の奥底では感じていて、「自分の死んだあとの世界についてなど何も知らない」というのが本音であるような気がします。

 子どもとかを持つと考え方は変わるのかと思いますが。それでも、大半の方は「自分が死んだ後も、《《自分の》》子供が幸せであればいい。その子孫が幸せであればいい」と考えて、遺産相続とかするのだと思います。

 相続するってことは、大半の人がそう考えているということなので。

 自分が死ぬときに、「他人が、日本が幸せでありますように」とか考える余裕のある人ってそうそういないかと思います。「この世がずっと安定でありますように」とか。自分はその現実には絶対にいないにもかかわらずです。

 しかし、「英雄たちの選択」で紹介された、「織田信長、豊臣秀吉と徳川家康の人生観の決定的な違い」は非常に面白い考察だと思いました。最終的に勝ったのは、織田信長でもなく、豊臣秀吉でもなく、徳川家康でもなく、『徳川家』だったいうことです。徳川家康が天下統一を果たして、大坂夏の陣とかで豊臣家を鎮圧した後に、大御所として鎮座したのは数年だけだったかのように思います。そこで、徳川家康が目指した江戸幕府のビジョンというのは、朝鮮に領土を拡大するでもなく、徳川家に謀反を起こしそうな大名を鎮圧するでもなく、『徳川家がいかに江戸幕府を平和的に維持できるか』それだけしか考えていないように思われます。

 この考え方は、徳川家に脈々と続いていきます。関ヶ原の戦いの後に家臣に着いた大名は、織田信長ならば抹殺するところを、外様大名として家徳を継がせます。その外様大名が力を持つことができないように、確か三代目の家光の頃に参勤交代の制度を作ったような思い出があります。結局、「領土をいかに広げるか」ではなく「徳川家が支配するこの世を、いかに平和維持させるか。そのためのリスクをいかにして排除するか」という考え方が、三代目の家光にも見えます。強くなるのではなく、弱くならないためにはどうするか。そんな考え方を持ち続け、江戸幕府は300年近く、徳川家の危機など特に起こることはありませんでした。外国船の来航で、幕府が倒れていくわけなのですが。

 結局のところ、徳川家の将軍に就いた誰もが、「俺が功名を立ててやろう」という実存主義的な考えを持たずに、「自分が死んでも家が続いていくこと」を念頭に幕府の統治を進めていきます。そのために鎖国など、新しいことへの野心なども持つことは無く、ネガティブな考え方で言えば中国由来の朱子学などだけを尊重し、海外から来るキリスト教の伝道師などがもたらす、新しい情報などに関しては、「安政の大獄」等で見られる通り、徹底的に弾圧していきます。しかし、それは、守に走ってきた、徳川家康から続く、徳川家の伝統的な考え方が、数百年成功していたためであり、攻めたり、新しい考え方を取り入れるといった判断ができないままに、黒船が来航してきてしまいます。

 結局、徳川家康の「自分の人生よりも、家系を大切にする」という考えを持ったまま、江戸幕府は滅亡へと向かいますが、「死んだ後も、世界は残り子孫も残っていく。そこに重点を置いた人生の行動を起こす」という、実存主義とは全く違う思想を持っていたために、江戸幕府は300年近く安定して、江戸の人口も100万人を超える平和な世の中を実現できたのだと思われます。

 よく、私は「死んだ後に有名になっても、その本人にとっては全く関係のない、死後の世界のことだから、実は特に本人にとっては意味が無い」といった考え方を持ってしがちなのですが、実存的な人生観を持つ人間は、野心に歯止めが効かず、サイコパスのように傑出した能力を持っているにもかかわらず、その家系は潰れてしまう、というのが日本の歴史の中では伺えます。「自分が死ぬことと、世界が終わることは同値である」という、確かに避けることのできない命題にも思えますが、その命題を乗り越えた先には、自分の子孫のことも考えることのできる、本当の家系の繁栄というものを手に入れることができるのかな、とか思いました。

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井上和音@統合失調症・発達障害ブロガー
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