手塚治虫「奇子」
「読んだことがない名作」として、ずっと気になっていた、手塚治虫「奇子」をようやく読めた。
モチーフをたくさん盛り込みすぎて、なんだかよくわからなくなっている。
戦争直後の荒廃した世相
GHQの派閥抗争
農地解放で没落する地主
左翼社会運動
国鉄改革と下山事件
旧家における複雑な家族関係
作者が一番描きたかったのは、タイトルのとおり、
「蔵の中で20年も監禁されている少女」
だったと思います。
監禁されている理由は、家族の不祥事を目撃したことの口封じなんだが、それだけだったら、まだ4歳の奇子を延々と監禁する理由がないでしょう。他の関係者は殺されたり追放されたりしている。
口封じをしたいだけだったら、奇子を遠隔地に養子里子に出す程度でいいのに、自宅の蔵の中に閉じ込めてしまう。
作者は、「蔵の中に監禁されている少女」がエロいと思っている節があります。
私も、蔵の中で暮らす「奇子」は、絵面も含めてエロいと思う。次第に成長するのがまたいい。また、奇子が、舅と嫁とのセックスでてきた子供だという出生の秘密もエロい。
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