老人介護の人余り
介護職については、「人が不足していて崩壊寸前」という報道ばかりされていのだが、ポジトークである。
「人が余っていて、やることがなくて困っている」という証言など、進んで言う人はいないし、報道してもおもしろくない。
しかしながら、実際に介護施設を見ると、人が余っている。
食事介助を職員が老人にマンツーマンでやっている
老人の顔に化粧をしたり、マニキュアを塗ったりしている
夜間、就寝後に、2回もオムツ交換と水分補給をやっている
褥瘡の処置(洗って軟膏を塗ってパッドをあてて包帯する)を毎日1時間くらいかけてやっている
いつも人がついて車椅子押したり、手引歩行している。
一人ひとりの外来通院に職員がつきそう。
人不足で崩壊寸前の介護施設があることも承知しているのだが、人が余っている事業所もある。
理由は、地域ごとの高齢化率の差にあると思う。
介護保険の報酬には地域の労働需給は考慮されない。最低賃金は地域別だが、介護報酬は全国一律だ。高齢化率が低い地域では、相対的に人件費が安く、介護報酬が過剰になるのだ。
同一職種で賃金格差があったら、地域間を労働力が移動して、賃金格差は裁定されてしまうのだが、介護職にはフルタイム労働者が少なくて、パートタイム労働者が多いために、賃金格差があっても、移動しないのだ。
私は高齢化率40%の地域も高齢化率25%の地域も知っている。
高齢化率40%の地域では、安い施設には食事介助などなくて、各部屋の老人に、職員が1日2回、宅配弁当と水筒を配るだけである。3回食事させないとコンプライアンス上問題があるのか、菓子パンを昼に配っている。
宅配弁当を自力で食べられないなら、それでおしまいである。食事介助どころか、食形態変更もない。もちろん、人工栄養(輸液、経鼻栄養、胃ろう栄養)なんて検討もされない。
オムツ交換も朝夕の2回だけだ。褥瘡処置はするが、せいぜい10分くらいで終わる。
外来通院はない。訪問診療が月1回入るのみだ。