自動調理鍋:炊飯器を手直ししただけの大ヒット商品
美味しんぼ9巻「再会の丼」
牛すじ煮込みで、牛丼を作る話です。
40年前に、これを読んで、ずっと疑問に思っていた。
長時間の煮込み調理って、焦げつかせないよう、吹きこぼれないよう、横で人が見張ってるだけなんだから、サーモスタットつきの電熱器程度で、自動化できるんじゃないの?
このページはパナソニックのオートクッカーの調理例です。
パナソニックには悪いんだが、オートクッカー(スロークッカー)は、21世紀になってから製造可能になったハイテク製品ではなくて、1960年代にはすでにありました。電気炊飯器です。
現代の炊飯器には、たいてい、煮込みメニューがついています。大した技術ではなくて、時間と温度の設定を変更しているだけです。
任天堂で、ファミコンを開発した横井軍平が、「枯れた技術の水平思考」という標語を言っています。
横井軍平の開発した製品は、光線銃もゲームウォッチもファミコンも、いずれも、すでに広く行き渡っていて、コストが安くなっているデバイスの組み合わせでした。
炊飯器をちょっと手直しするだけで、自動調理鍋という大ヒット商品ができるのは、まさにヨコイズムでしょう。開発者が意図してやっていたわけじゃないが。
炊飯器を手直しして、自動調理鍋として売り出す程度のことに、誰も気づかなかったのは、どうしてなんですかね。
炊飯器開発では、鍋の材質を分厚い鋼鉄にしてみたり、圧力かけてみたり、遠赤外線を使ってみたりとかいったハイテクが飛び交っていたのに。