仮想戦記(架空戦記)小説は、敗戦のトラウマを癒やすためにあった
1990年代の新書市場では、仮想戦記小説ブームが起きていました。
それまで、SFが占めていた書棚を侵食するように、仮想戦記小説が占領地を拡大し、毎月、新刊が出ていました。
それまではSF小説を書いていた作家たちが、もともと素養があったのか、ブームに便乗したのか、一斉に、仮想戦記小説を書き出しました。
主要作家と代表作
1988年
1988年
1991年
1992年
1992年
1993年
この辺で、すでに、主要作家が出揃っています。
最後に掲載した佐藤大輔は、80年代からシミュレーションゲーム作家として名前が売れていたのですが、90年代には、仮想戦記小説の旗手となりました。
残念ながら、2017年に52歳で亡くなりました。
仮想戦記小説とは、日米戦争のリプレイである
悲惨な敗戦となった日米戦争(1941-1945)は、日本人のトラウマとなっています。国力が違うといっても、もうちょっと、どうにかならなかったのか?という思いがあるのです。
転生して、人生のやり直しをする「なろう系小説」みたいなものです。
人気のある歴史改変
真珠湾作戦(1941)
ミッドウェイ作戦(1942)
レイテ沖海戦(1944)
歴史改変イベントは、この辺が大人気となっています。どれも、日本人なら誰でも知っている海戦だからです。
栗田艦隊はなぜ反転したのか?
特に、レイテ沖海戦では、マッカーサーのフィリピン上陸船団を、戦艦大和を含む栗田艦隊が砲撃する寸前で引き換えしてしまった痛恨の判断ミス(?)があります。
局地戦で勝利しても、ろくな結果にならない
もしも、栗田艦隊がレイテ湾に突入して、上陸船団を壊滅させていたらどうなったか?
佐藤大輔の小説「征途」での解答は、
「レイテ沖海戦で日本軍が勝利し、日米戦争が長引く結果、ソ連軍が樺太と北海道を占領してしまう」
というものでした。