国岡日記 8/10

銃を新調しようと思っている。
阪元さんが初めて取材に来た頃はCZ P-09を使っていたのだが、割とサイズがあり携行性に欠けるので小柄なものに変更したい。P-09は大仕事のときに使う用にでもしよう。やはり9ミリ弾が19発入るというのは、俺のように1人で行動する者にとっては大きな利点だ。手にも馴染むし。
みんながみんなホワイトベアーのようにチームで動くわけではないのだ。もっとも、ホワイトベアーは8人足してやっとこさそこらのイマイチな殺し屋2、3人並みの実力だが。

先日大阪旅行に持っていったトカレフだが、薄く細い形状が持ち歩きに適しているとはいえ装弾数の少なさには手を焼いた。腕のいいやつを相手に10発未満ではやはり厳しいものがある。予備マガジンを4本ほど携行したいところだ。かつ俺に合うようある程度いじりたいので現在ガンスミスの篠原さんに預けてある。小言が多いが、いい仕事をする男だ。Twitterでも1日80~100の小言ツイートをしているので本当に小言が多いが、腕は確かだ。納期を長めに設定しギャラを弾んでも「最近腰が痛い、椅子が合わない」などとずっとぼやいている。
知らん、買い替えたらいい。 
合宿ではS&WのM&P9Lにドットサイトを載せたものをお試しでしばらく使ってみた。
訓練の合間に試し撃ちしてみたが、あれもなかなかいい銃だった。拳銃にドットサイト~?という考えがずっと抜けずにいたがあれはあれで悪くない。しかし多少大きいので、てぶらで出たいときには向かない。

そこで目を付けたのがグロック19。多く出回っているサードジェネレーションを購入した。

素晴らしい


装弾数は15発。十分だ。
俺の手に馴染み、癖のあるサイティングも慣れれば問題無い。普通に構えるとフロントサイトが上を向くのだ。だが慣れればいい。
すっかり気に入ったので、バレルを交換することにした。箱出しのままではサプレッサーを付けることができない。銃声で騒ぎになることが少ないこの国では俺はあまりサプレッサーを使わないが、仕事によっては必要になる。
バレルを交換すると、今度はコンペンセイターが欲しくなった。射撃精度を上げたい。

いいじゃないか。


すると今度はマグウェルが欲しくなった。リロードが早くできるのに越したことはない。マガジン全てにマガジンバンパーも付けた。

これで素早いリロードが可能だ。

握りを良くするためビーバーテールグリップ、ロードを楽にするためにコッキングハンドルも注文。篠原さんに「まとめて注文しろよ仕入れがめんどくさい」と文句を言われた。確かに。申し訳ない。
上記2パーツはもうしばらく後に届くのだが、一旦コンペンセイターとマグウェルは装着。すると


あれ?

大きくなってしまった。携行性重視でグロック19にしたのに。これなら最初から34あたりにしておけばよかったじゃないか。
まあでもP-09よりは小柄だろう、とりあえず比べてみよう。




あれっ

全長、ほぼ同じだ。本末転倒ではないか。
ここにビーバーテールグリップ、コッキングハンドルが付くので後部のボリュームも増すわけで。
これはお手上げだ。マガジンバンパーを付けたままでもグリップ周辺の長さがあまり変わらないのでこれでもやはり小柄は小柄なのだが…。グロック19である意味があるのかと言われると微妙なところになってしまった。
まあ、銃なんていくらあっても予備になるのだから切り替えてやっていきましょっか、というところ。

拳銃だけでは心許ないのでイングラムM11、FN P90も購入した。
M11は冬場であれば上着の下に忍ばせられるし、夏場でも鞄に入る。
P90もリュックだろうが小さめのボストンだろうが大きすぎない鞄に入るサイズなので派手な仕事のときに重宝するだろう。
派手な仕事は下準備から後処理まで面倒なのでできる限りやりたくないのだが、阪元さんはどうせ喜ぶのだろうな。流れ弾とか怖くないんだろうか、あの人。本当に変わった人だなと思う。

篠原さんからP90を買ったとき同じくFN社製でP90と弾が共通の拳銃Five-seveNを勧められたが断った。そこそこ大きいしトカレフでないのなら拳銃弾は9ミリが好みだからだ。だからいらないと言ったら、露骨に機嫌が悪くなって面倒だった。
殺し屋に限らずこの業界に生きる者、基本めんどくさいので殺丸はちょうどいい塩梅なのかもしれない。あれで案外話が通じる方だ。見た目がすこぶる変ではあるが。
そういえば篠原さんの店に滅多に売れないはずのP90が2丁あって(皆やはりM4のショートモデル等を買うことが多いらしくPDWやサブマシンガンの類はそこまで売れないとのこと。特にP90は弾を買える店が少ないので人気が無い)、どうしたのかと聞いたら「ああ、目の周りに変なメイクした男から注文があって」と。

そいつ殺丸だろ。

それと真中、P230SLの代金を3ヵ月未払いらしく催促するよう篠原さんから頼まれた。なんて面倒なんだ。

P90を持ち帰り、鏡の前で構えてみる。取り回しやすくいい銃だ。サイトは何を載せよう。まとめて注文しておくべきだった、また篠原さんが機嫌悪くなるじゃないか。
そういえばホワイトベアーのサイジョウさんもP90を使ってたな…金持ってなかっただろうに。
サイジョウの漢字は忘れた。西条か西城か西條のどれかだろう。大柄なサイジョウさんが持つとただでさえコンパクトなP90が更に小さく見えたものだ。もっともあの人のどんくささでは大きな体も的になりやすいだけだ。的どころか刺殺体になって転がってたが。
あのときP90持って帰ってたら節約できたなぁ。
なんか良さげなM4とかG36Cも落ちてた気がする。若いメンバーはいい銃持ってたな。
まだあの山に落ちてるだろうか、今度見に行ってみよう。後で分かったことだが、あの一帯には78歳以外住んでいなかった。7人をあっという間に殺した実力よりもそっちが怖い。










いいなと思ったら応援しよう!