国岡日記 2022 7/24
東京に引っ越してきてしばらく経つが、この街はとにかく移動がめんどくさい。
電車移動がだ。路線?と言うのだろうか、多いよ。しかも、あっち行って乗り換えてこっち行ってやっと着いたと思ったらはい次はバスへどうぞなんてこともある。
俺はバスに乗るのが苦手だからタクシーに乗らないと仕事に間に合わなかったりする。交通費ほど無駄な出費など無いというのに。
ということで車が欲しいのだけれど、駐車場がなかなか見つからない。いや、見つかりはしたが家から徒歩20分のところにある。車で行きたい距離だ、却下。
東京で車を持つのは大変なんだなぁ。
そういや殺丸はバイクに乗りたがってたけど夢は叶ったのだろうか。あいつ何の免許も持ってなかったと思うが。殺丸、顔写真付きの身分証明書を1枚も持ってないので色んなところでそこそこ揉めるのが腹立つと本人はぼやいていたが多分原因はあのメイクと服装だろう。
殺丸の話はいいとして、今日起きた大事件のことを記す。
日記っぽくしようと思ったせいか、移動とか車とか殺丸とかどうでもいいことを書き過ぎてしまった。本題に入る。
今日、いや昨晩かもしれないが、なんとチャリを盗まれた。高校1年生の頃から乗っているロードバイクをだ。愛着もあるし、取り返さねば気が済まない。
殺し屋の自転車を盗むとは運の無いやつだ、見つけたら次の仕事で人間爆弾として使ってやろうかなどと考えつつ一旦交番へ向かった。見つけたら~などと言ってはいるが実際何の手がかりも無いわけだし、まず警察に盗難届けを出すのが先決だ。
交番に着き、用件を伝え盗難届けを書く。
ずっとタメ口で感じの悪い警官だった。名前は鳥井締丸(とりい しまる)。殺し屋にこんなこと言われたくないだろうけど、警察学校は言葉遣いの授業を導入するべきだと思う。
記入中、免許証にある住所を見ようと(住所、まだ覚えていない)カバンから財布を取り出したその時、愛銃P09が机の上に滑り落ちてきた。
当たり前の話だが、警官は大慌て。バタバタと拳銃を突きつけてきた。
俺はそれを反射的に左手で抑え、がら空きの警官の顔に右ストレートを打ってしまった。
銃を突きつけられたときの対処法は色々紹介されているが、射線から外れて銃を抑え、もう片方の手で相手が動かなくなるまで殴るのが1番失敗が少ない。まず腕を回してこうして銃を掴んでこうして…などというのはそううまくいかないものだ。映画じゃあるまいし。
顎に直撃したので警官は気絶してくれたが、目覚めたときに記憶が残っていたらそこそこ面倒なことになる、名前も顔も割れているからだ。
ということで、記憶を失ったことがはっきりするまで起きる→殴るを繰り返すことにした。警官からしたら厄日だろうが、俺としても協会にいらん手間をかけさせたくないし目をつけられるのも御免だ。申し訳ない気持ちは多少あるものの、初対面の、それも自転車を盗まれて困っている善良な市民にタメ口で高圧的な態度を取る人間を思いやれるほど俺は大人ではない。
だが何度繰り返してもなかなか銃のことを忘れてくれない。こんな調子だと帰宅する頃にはiPhone20とかが発表されちまうよ、そんなことを考えながら8回繰り返したところで昨日の夜ご飯を思い出せないほどには記憶を無くしてくれたので、安心して盗難届けを出すことができた。特徴の無いシティサイクルとかではないし、数日以内に戻ってくることを祈ろう。
真中に会う予定があったのでチャリ盗まれたことを愚痴ろうかと思ったけど、殺丸と一緒に真中のチャリのサドルにアロンアルファを塗るイタズラをして激怒させてしまったときのことを思い出されても面倒だからやめておくことにした。
集合時間から17分過ぎた頃。真中、集合場所にチャリで来たのだが、乗っていたのがなんと俺のロードバイクだった。本人曰く「借りただけ」らしい。そんな言い訳が通るわけ無いだろ。真中の家の鍵を長距離トラックの荷台に放り投げてやった。
追記:後日聞いたことだがどうやら真中がうちに来たときに俺が自分からチャリ貸したろかと言ったらしい。寝ぼけていたのか俺はそのことを全く覚えていなかったし、言い合いしてる間真中も俺のあまりの剣幕に言い出せなかったそうだ。申し訳無いことをした。家に入れたのは2日後だったらしいし、今度お詫びにポルミートのソーセージでも持っていく。評判がいいので。