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共通テスト作成者が受験生に伝えたいこと。

大学入試共通テストまで残すところあと26日となった。

約30年にわたり続いたセンター試験が2020年で終了し、来年は2回目の共通テストだ。


うちの生徒達も共通テスト対策に余念がない。大手予備校の予想問題集をひたすら解く毎日が続いている。

その問題集の中に面白い問題があったので、紹介しよう。(英語の試験なので実際はすべて英語で書いてあるが、訳したうえで要約・抜粋した)




ある学校がフードロスを減らす一環として、生徒が自分が食べない食品を食堂のシェアテーブルに置いて、他の生徒が自由に貰える制度を導入しようとしている。

しかし、この学校がある場所は他の地域に比べて気温が高いため、食品がすぐ腐ってしまうという問題点がある。もちろん生徒たちには「腐りやすい食べ物は置いてはいけない。」と注意をするが、やはり子供なので言うことを聞かず置いてしまうだろう。


ここで問題。

この制度について反対の立場でディベートをする場合、有益となる事実(意見ではない)として正しいものを選べ。

 ①子供達がお菓子などの不健康な食品をシェアする。

 ②子供達が安全面に配慮したルールに従わない。

 ③この学校がある地域は気温が他の地域より高い。

 ④食堂の従業員の負担が増える






さて、正解はどれだろう。

恐らく、②と③の2択に絞ることは簡単にできるはずだ。


勝負はここから。

問題分をもう一度見てほしい



この制度について反対の立場でディベートをする場合、有益となる事実(意見ではない)として正しいものを選べ。



そう、求められているものはあくまでも「事実」なのだ。

つまり、②は書かれていることが本文中の内容と合致していて、一見正しそうに見えるのだが、これは「意見」を述べているので×。答えは③だ。


いかがだっただろうか?すぐに正解が分かっただろうか?


ここで大事なのは、当たったか外れたかではない。

なぜ、共通テストでこんな問題が出るのか?それが一番大事。


私が共通テスト出題者の意図を代弁しよう。

この問題を出した理由、それは








「事実」と「意見」を分けて議論できる人間になってほしいから。








日本人の多くはディスカッションやディベートにめっぽう弱い。

とりわけ、「事実」と「意見」をごちゃ混ぜにして話してしまうことが多い。


死刑制度の是非がいい例だろう。

死刑制度反対派の人間は必ずといっていいほど「仮に自分の家族が殺されて、その犯人が死刑にならなくても良いというのか?」という反論を喰らう。

このセリフは歴とした「意見」であり、「事実」ではない。

この手の議論は「事実」をベースに話さなければ、決していいものにはならない。「意見」の発表会になると話が迷走して余計に事がややこしくなるだけだ。

個人の恣意的な「意見」を排して話すことで、有意義な結論にたどり着くだろう。




そういう意味で共通テストは、この国の未来を担う若者にどんな能力が必要かが良く考えられている良問揃いだと思う。


本番まで残り僅か。

共に戦い成長しようぞ。

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