しょうもないけど大切なモチベーション
先日、中学生の生徒さんから数学の質問をもらった。私立の難関校に通っている生徒さんなので、中学数学といえど結構難しい問題だった。
とりあえず理系の先生と一緒に考えてみた。しかし、一向に解法が分からない。
埒が明かないので、理系大学に通っているアルバイトの先生にも協力してもらった。それでも状況は変わらずだった。
これはワンチャン迷宮入りになるかも……などと考えながらぼんやりと問題を眺めていたら、その時私に電流走るーーー!
閃く。この問題を攻略する悪魔的手段・・・・・・!(円周角の定理)
結果、私立文系卒の私が一番早く解くことができた。理系の先生方はめちゃめちゃ悔しがってた。
久々に「自分だけが問題を解ける快感」を味わった。
ここで私はふと思った。
人より勉強ができる(できるようになりたい)から、勉強する。
それだけで勉強する理由としては充分だ
よく、学ぶ楽しさを教えようという人がいる。確かに学問は深淵な素晴らしい世界だ。
しかし、学ぶ楽しさは、長く学び続けた人にしか分からない。残念ながら年端もいかない中高生にいくら醍醐味を説明しても分からないものは分からないのだ。
スポーツだって音楽だって、やり始めの頃が一番つらい。打てば三振、守ればエラーの連続だ。そんな状態で野球の楽しさを説かれたとこれで「うるせえバカ」で終わりだ。
そんな小難しい話よりも、まぐれで1発ホームランをかっ飛ばせたのが嬉しかったとか、フライをスライディングでギリギリ捕れたのが気持ちよかったとか、そういうモチベーションの方が持ちやすいと思う。
ふと思い出したのだが、私の中1の頃の担任はこう言っていた。
「俺は物理が一番得意で、大学でも物理学をやっていた。でも俺は物理を学ぶ楽しさなんか分かんねえ。俺は人よりも物理の点数が良くて、それが快感だからやっていただけだ。学ぶ楽しさだとか、勉強の意味だなんて知るか!」
当時は笑って流していたけど、今必要なのはこういうことをあけすけに言う先生だと思う。
硬派で生徒思いのいい先生だった。