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vol1.行列のできるサンプル相談所

今回のテーマは、ボイスサンプル専門スタジオ「スタジオバーズ」の“ビジネスコース”での収録前の打ち合わせ、【カウンセリング】について。
初めての人は、どんなことをするのかイメージしにくいかも知れません。そこで、新人インタビュアー・のぎたんが突撃したのは、ビジネスコースの収録を担当するクリエイター松田佑貴と堀場亮佑。カウンセリングの秘訣を聞き出しちゃいます!

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カウンセリングの流れ

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のぎ「まずは、お二人の経歴をお聞きしてもよろしいでしょうか」
松田「声優事務所に所属してます。声優もナレーターもやってます。ナレーションは主にNHKがメインです」
堀場「僕はフリーなので、猪鹿蝶から仕事をいただいてます。『お願い!ランキング』や『news every.』でバラエティから報道までやらせてもらってます」
のぎ「お二人とも、加えてスクールで講義もされてるんですよね。今回のテーマ【カウンセリング】ですが、エコノミーとビジネス、2つのコースの違いは【カウンセリング】の有無ですが、初心者はどちらで録ればいいんでしょう?」
松田「事前に打ち合わせがあるということですから、何も分からないという人こそビジネスコースで録ってほしいと思いますね」
のぎ「【カウンセリング】その目的は何ですか?」
松田「一番は、仕事につながるサンプルを作ることです!」
堀場「その人が何をしたいのか、何ができそうなのか、何が仕事につながりそうなのかを、確認するのがカウンセリングの大きな ポイントですかね」
松田「出来ることと求められることは違うし、自分がやりたいこととできることも違う。やりたいこと×出来ること×仕事で求め られること、この3つをすり合わせていきます。プレイヤーって、やりたい事が多すぎて他者目線が抜けてることが多かったりするんです」
のぎ「カウンセリングの基本的な流れを教えてください」
堀場「プレイヤーと雑談した後、選んでもらった原稿を読んでもらって読みや声を聞かせてもらいます。そこから収録原稿を仕上げていきます」
松田「カウンセリングをすることで『この人の場合こんな原稿を使った方がいいんじゃないか』とか、その場で原稿をアレンジしたり、ちょっと遊びを入れたりね。いくらいい俳優でも、シナリオがつまらなかったら、ドラマ自体がつまらない。だからサンプルで言えばシナリオ=原稿は大事なんです

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ちょっと好きになってもらう工夫

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のぎ「ちょっと待ってください、スルッと“雑談”してからって言いましたよね!貴重な時間を“雑談”に使ってるんですか!?」
松田「『ご趣味は?』とかも聞いてますね、ハハハ」
堀場「あー僕も趣味特技はまず聞くかな」
のぎ「それって、お見合いみたいじゃないですか!パーソナルなことを聞いてどうしようと!?」
堀場「雑談によってその人“らしさ”が原稿に反映されるんです。僕は、サンプルってスーパーの店頭販売みたいなことだと思っているんです」
のぎ「ん?どういうことですか?」
堀場「ただ平積みされているソーセージよりも、人から直接『これ美味しいの、食べてみて!♥』って渡されたら、この人から買ってあげようと考えるじゃないですか。その人の背景とか考えたりして」
のぎ「ソーセージを買う理由として、『その人』が大切ってことですか!?」
堀場「そう。人間性が見えると、どうしても無視できないというか、ちょっと好きになったりするんです。だからプレイヤーのパーソナルな部分が少し見えるサンプルにしたいなというのはあります」
松田「そうですね。面白い特技とか経験とか。でも自分では『普通』だと思って話題にもしなかったりするんです。人は本来それぞれに特徴があるもの。だから、まずは話して欲しいです。ぜひ、オープンなマインドで!」
堀場「そういう気持ちでカウンセリングを受けてくれれば、いいサンプルが作れるってことです。自分のブランディングにもつながりますしね」

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マーケティングで考える。
ゴールへのイメージ

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のぎ「カウンセリング前にプレイヤーが準備することや、心構えはありますか?」
松田「まず自分の今の立ち位置の確認かな。自分は何が得意で何ができるのか、何ができないのか。そして、どういう番組を狙えるのか。報道なのかバラエティなのか。その番組は、今どういうナレーターが入っていて、自分が入れるとしたらどういうポジションなのか」
のぎ「うわー難しそう!」
松田「自分のことってわからないですよね。でも正解とか間違っているとかは置いといて。とりあえずでいいので、考えてきてもらうと、その先に進みやすいんです」
のぎ「まずは漠然としたイメージでもいいんですか?」
松田「最初のステップはそれでいいんです。一緒にディスカッションしながら練っていけばいいんですから」
のぎ「ちょっと安心しました」
堀場「あとは、サンプルを作る目的をはっきりさせておくこと。まずはどの番組の誰に向けて作るかを決めることです。ディレクターなのかプロデューサーなのか、それとも事務所や猪鹿蝶のマネージャーなのか。それ次第で内容が変わってくるんです」
松田「ゴールさえ決めることができれば、あとは逆算していけばいいので、そんなに難しくありません」
のぎ「ゴールか…そこを考えとかないとですね」

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<仕事への導線>

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松田「ただ単にサンプルを作るだけではなくって、そのサンプルをどう使って営業に繋げられるか、その導線もカウンセリングで一緒に考えることがあります。マーケティングしていくということです」
堀場「スクールバーズの『ブランディング』クラスでの、ボイスサンプルやマーケティングの授業内容でも触れてます。カウンセリングではそれを具体的に落とし込んでいくんです」
松田「マーケティングは、声優さんや俳優さんは勉強する機会があまりなかったりするので、そういう話しをすると目から鱗という感じの方も多いですよね」
堀場「そうです。それに事前の準備としては、番組の原稿を書き起こしてみたり、オリジナルの原稿を書いてみたり、BGMを探したり。手間をかけた分だけ、いいことがありますよ。カウンセリングの材料になりますから」
のぎ「手間ですかー」
堀場「僕のプレイヤーとしての経験から言うと、自分で原稿を書いてみてとても成長に繋がった経験があります」
のぎ「ちょっとめんどうと思っちゃいましたが。。。でも自分が売れるかどうかの勝負どころ、頑張りどころなんですね!」
松田「あとは、活躍している人のボイスサンプルを聞いて来てほしい!特に初心者の人は。今はネットで探せば聞けますから。『どういうサンプルがより仕事に繋がりやすいのか』を意識して。できるできないは置いておいて、それを真似してみてほしいなって思います。実際に声を出して真似してみると全然出来ないことに愕然としたりします笑。だからぜひ聞いてください、ボイスサンプルを!(キリッ)」

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捨てて輝く

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のぎ「二人が思う、サンプル収録がうまくいくポイントって何でしょう?」
堀場「どうしてもみんな、万人受けするものを目指してしまいがちなんですよね」
松田「それよりも、一人の人に絶対に刺さるようにすると成功確率が上がる気がします」
堀場「どこかに拾ってもらおうとして。あれもこれも入れるより、バンバン捨てることができた方が、良くなることが多いです。『これはやめて、1人だけに刺さるようにがんばろ!』捨てて輝くみたいな笑」
のぎ「肉付けするより、削るんですか!!」
堀場「よっぽど上手い人じゃないと、いろんな幅をみせてもうまくいかないことが多いんですよ。大体の人は、武器を1つ見つけ出して、もう1つをなんとか捻り出していって…『ドーン!』『チョロ』『ドーン!』という感じ」
松田「それでサンプルの尺が2分弱とかになっちゃってもいいんですよ」
のぎ「2分!びっくり。でもそっちの方が効果的であれば、聞きやすいのかもですね」
堀場「絞り込んだ時の方が、出来が良かったりするんです」
松田「絞り込むのって、いざやるとなると怖いというか。ファミレスみたいにハンバーグの他にもスパゲッティとかプリンとかを一緒に並べたくなる心理ってありますよね」
のぎ「プリン!でもコンビニの方がむしろプリンは美味しいですよね。品揃えは関係ないってことですか?」
堀場「ファミレスの品揃えは大手だからできること。同様に、売れている人は表現の品揃え、すなわち幅を出してもいいんです。でも売れてない人は絞り込むことで、何とか輝かせていくことが勝算!」

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成長のステップ

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松田「ここで言っておきたいことがあるんです。今までのマーケティングと違いますが、プレイヤーによっては、実力を確かめるためのサンプルもあるんです。サンプルを録って『成長できた』という声が多くあります。サンプル作りは最強のレッスンかもしれません」
堀場「そうですね。もちろん仕事に繋がることが一番ですけど、必ずしもそれだけではないと思います。いろんな読みに挑戦したことで、成長のきっかけになったことが、自分自身の経験としてありました。お金をかけて収録すると、真剣さが違いますから」
のぎ「成長のためでもあるのですね。もしかしたら、それもマーケティングのステップなのかも」

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エンターテイナーであれ!

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のぎ「最後に、ナレーターとして、表現者として大切なことって何でしょう?」
堀場「エンターテイナーであるという意識です。面白がらせたいとか、楽しませたいとか。エンタメに対する何かは欲しい!最近の報道だってエンタメになってますから」
松田「面白がってどんどんやってくれた方が良いサンプルになると思います。ダメなのは、上手くやろうとすることに、意識を向けすぎることだと思う」
のぎ「うまくやる?高低をちゃんとつけることを意識するとか?」
松田「練習ではやって下さい。抜群の技術がある人ならいいかも知れないけど、そうじゃない限りは、とにかく相手に楽しんでもらう。そして自分も楽しんでやった方がいい」
堀場「あまり技術とか、丁寧に読むとかにこだわりすぎちゃうと、聞いててつまらないですね。ピアノの発表会じゃないんだから」
松田「サンプルもライブ感があるとワクワクしますもんね。ディレクターがナレーターを探していて、サンプルを10人とか20人とか聞いていると、そのうち嫌になってくると思うんです。その時に、『おっ』って言わせるライブ感があると勝てます」
のぎ「確かに!『おっ』って大事ですね」
堀場「表現は小さく縮こまらないで、もっと大きく大きくやりましょう!そしてみんないいサンプル作って猪鹿蝶で売れましょう!」
のぎ「作り手を楽しませる気持ちで収録するということですね!松田さん、堀場さん、ありがとうございました!」

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