vol.9女性ナレーターへの道
バーズから飛び立った3人の女性ナレーターたちが語る
最初は『声高くしてればバラエティにきこえるよね?』くらいにしか捉えてなかった(四本木)
小坂:みなさん今日は「女性ナレーター鼎談」ってことで、まずはみなさんのこれまでの流れのことを、聞いていきたいと思います。
逸見:ちょっと照れくさいかも~(とパンを食べながら)
四本木:私は地方で銀行員をやりながら、声優の劇団みたいな所に通ってたんです。でもOLの仕事が本当に辛くて…「やりたくないのに辛い想いするなら、せめてやりたいことをやってみたい!」と上京したんです。最初は別の養成所にいってたんですが、もっとしっかり勉強しようと思って、秋2期からバーズに入ったんです。入学前はただひたすら夢と希望に満ちあふれてましたねぇ。在学中にラッキーにも「ズームイン!!SUPER」をやらせていただいたんです。でも実際に現場でのシビアな現実をみて「もう1度ちゃんと勉強しなきゃ」と再びバーズに戻ったんです。
小坂:初日から山上講師に厳しいダメ出しされちゃったって有名な話よね?
四本木:そーなんですよ、地元では少しだけ仕事もしていたし、これまでの養成所などでは「こうすればいいよ」と優しく教わってきたから。びっくりしました。
小坂:ちなみになんでそんなことになったの?
四本木:山上講師はバラエティ番組のアプローチを担当されてますよね。当時の私、バラエティのことを『声高くして、大きい声出してればバラエティにきこえるよね?』くらいにしか捉えてなかったんですよ、それっぽく演じてしまうというか…。今思えばそういった点を最初に指摘されたんだと思います。
小坂:そうだったんだ~。私はむしろ逆で、バラエティでは良い評価をいただけてたのよね。むしろ、それまで勉強してきて生かせるんじゃないかと思っていた「アナウンス」が、報道やドキュメントで通じなくて、最初は驚いたんです。
逸見:あら、そうだったの小坂さ~ん、興味あるわぁ~(と指を拭きながら)
「売っていくとはどういうことか」が、
現場に出るようになって初めて
それが必要なことがわかった(小坂)
小坂:私はね、バーズがまだ設立されてなかった頃からベルベットのHPとか見てたのね。「ナレーションの虎」とか。ナレーターになるための情報が欲しかったから。それでできたばかりの春1期スクールバーズへ。バラエティは、まったく経験なかったから、さっと気持ちが切りかえられたのかも。逆に報道やドキュメントを担当してくださった講師からは毎回打たれまくり。
「”伝達の技術であるアナウンス”と”説得表現のストレートナレーション”はまったく別のもの」と自分なりに把握できるようになるまで時間がかかったなあ。教室でもずっと隅っこにいて『順番が回って来ないように』とか、おずおずしてたんだけどね。
バーズ入学時は派遣OLをやりながら声の仕事もやっていたから本当に練習の時間がなくて。それでも上手くなりたいから。お風呂にまで原稿持ち込んで練習したりしてた。
四本木:あー私もバーズ時代はほんとよく勉強したな。お風呂には持ち込まなかったけど(苦笑)
逸見:それじゃ原稿がシワシワになっちゃうわね~(とグロスを塗りつつ)そういえばバーズでは実技だけでなく、レッスン終わりの飲み会や、休憩時間で「売る視点」や「プロとしてどう”在る”か」をマネージャー陣が話してくれる機会があったりするじゃない。
小坂:私は毎回レッスンでも『もっと華をつけよう』と言われて。それまで「売っていくとはどういうことか」をきちんと考えたことなかったけど、現場に出るようになった今初めてそれが必要なことがわかった。当時はもう、服装から目立たないように目立たないようにって(笑)
逸見:そこら辺も含めて、私は最初っからめっちゃ勘違いしてたんだ(笑)当時芸人を目指してたんだけどあえなく挫折して、同時にプライベートも上手くいかなくて、とにかく「一人になった」のよね。
四本木:そ、それでどうしてナレーター?
逸見:ほんとに途方に暮れていた時に、「パーン」ってきたのよ。女性として人生をはたと考えたときに。
小坂:パーンって…?『ナレーターはもっとも遅く始められて、もっとも息が長い』というのを聞いたことがあるけど、そのへんのこと?
逸見:うーんどうだろ。とにかく当時の私は飛び込むしかなかったんだと思う。それで勢いで飛び込んだってところかな。入学してから講師にもだいたいほめられてたし。
小坂&四本木:おお~!すごい!
逸見:そんなこともあってか、正直告白しますと、あたし入学してからずっと『正直、私はイケてる。他の人のヘタがうつっちゃうと困るな~』くらい勘違いしてたの!ぎゃー!
四本木:そういうトコ、逸見さんすごいなー!「ビビらずに”逆に呑んでいく”」ってトコ!
「TVで実際に読んでるプロに勝てなきゃプロになれない」とわかった(逸見)
小坂:それってさ、私は知ってるけど、逸見さんは裏でめちゃめちゃ練習してたよね。それなりの裏付けがあったんじゃないかな?
逸見:それが…実技コースは3~4ヶ月すると『スタジオ実習』があるじゃない。ナレーション収録して、後日客観的に聴くってレッスン。あれですよ、あれ。あれで完全に叩きのめされた。(遠くをみながら)それ以来…謙虚になりました。
小坂:あ~練習って家でやってるだけだと、できそうな気持ちばっかり育っちゃうんだよね
逸見:というか…「テレビで実際に読んでるプロに勝てなきゃプロにはなれないんだ!」とはっきりわかったの。
小坂:バーズの「プロを目指す人のスクールです」というエッジ感だね。ちなみにスタジオ実習は前期から、マネージャーが売る視点からダメ出しを担当していてより厳しくなってるかも。
逸見:それ以来、レッスンでは自分のプレイだけ収録していたのを、ぜんぶ収録するようにしたなあ。クラスメートのいろんな表現も刺激になって。それからさらにめっちゃ練習したな~。
四本木:「レッスン時の心得。ほめられたクラスメイトのマネをせよ」ってスクールブログに書いてありましたね。
逸見:その後は「進路相談会」。講師陣が集まって生徒一人ずつの課題を話し合って、「次期の推薦コース」を伝えてくれるんだけど…連続で同じネクストコースへ。同じレッスンだけど意識が変わってるから、ぜんぜん違うものが見えてきた。
小坂:そういえば校長の言葉で『レッスンでは多くの人がダメを出された部分だけ注意して、ほめられた部分を記憶してない。プロは強みでたたかうべき』ってのも思い出した。
四本木:よい所を伸ばしていきなさいってことですよね。
逸見:あたしだったら、そもそも褒められたとこしか覚えないな。
四本木&小坂:そういうトコ(笑)!
その時はお互いのビジョンをノートに書き出したんだよね(逸見)
小坂:さて先週は実技系レッスンを中心にお話を伺いました。今週は「ナレーターの現場」について聞いていこうとおもいます。
四本木:私の場合は右も左もわからない頃に猪鹿蝶からお仕事をいただいたのですが、ホントにラッキーでした。
小坂:何百人のオーディションを勝ち抜いたんだから、実力あってのことだよ。
四本木:それがですね、実は好きだったローカル鉄道の原稿でのオーディションだったってことが、大きいんですよ。担当者と盛り上がって。まわりの人に恵まれた結果なんですよ。
小坂:そういう謙虚な所が四本木さんのいいところ。
逸見:私は勢いで猪鹿蝶に応募して。 それがきっかけで映画のスポットCMそして深夜のバラエティに入れていただけたんです。
小坂:勝負サンプルが認められていったんだよね。あれは素敵だった。セルフ・ブランディングもばっちり。
逸見:出来上がってクラスの皆に聞いてもらったときは手に汗にぎってたよ。当時はサンプルやジャケットのお金作るのに、サバ缶ばかり食べてたもん。なんかサバ缶で強くなれたような気がする(笑)
小坂:逸見さんとよくマクドナルドの100円コーヒーで粘って、紙ナプキンに夢を書いてたよね。どの番組をやりたいかなんて語り合って。
逸見:ぎゃー!また恥ずかしい思い出が暴露ー!たしかその時はお互いのビジョンをノートに書き出したんだよね。「年収はいくら必要」「そのためにはどんな番組をいつまでにゲット」「だから今これをやるべき」とか具体的に。中には笑っちゃうようなことも書いてた照れくさい思い出だけど、今でもそのノートは大事にしてます。
小坂:つい最近のことだけど、なんだかとっても懐かしい。でもみんながOAに登場する頃…私は地道に営業してましたよ(涙)
「仕事をつなぐ」大切さもスクールで教わりましたね(四本木)
逸見:わたしも営業もまわってみたけど、制作の人からは大手の事務所に入ることをすすめられてめげた。壁は厚かったな~。その点、小坂さんはすごいね。
小坂:それは私も同じ経験をしてるよ。そして営業はいっぱいいっぱい。いまでもだけど(笑)でもね最初はみんな敬遠してたんだけど、少しずつ応援してくれる人が増えていったのかな。そうやって汗と涙でつかんでいった仕事は、つながりが広がりやすいことも実感した。
四本木:そうそう「仕事をつなぐ」大切さもスクールで教わりましたね。バーズでスタッフの役割を聞いていたから「現場が立体的に見えて」落ち着いてナレーションに臨めたことはよかったです。プロデューサーっていわれてもピンとはこなかっただろうし。教わったことは、実際に使えることばっかりだった。
逸見:私も現場に入ってからは、スタッフの気持ちをつかむことに集中してたんだよね。なかなか難しいけど。
四本木:最初っからみんなが味方でいてくれたように感じたけどな~。
逸見:それってなに?人柄の違い??
四本木:自分の勘違いなのかも知れないけど(笑)私はTVの業界で働けることが楽しくてしょうがない。生ナレーションの現場で、慌ただしく動き回っているスタッフさん、みんなどんなに苦しくても、ホントに好きな人が残ってるから。現場にすっごくパワーを感じる。
逸見:わたしも小劇場なんかもやってたから、TVのメジャー感にあこがれがあったのかな。いまようやくそこの入り口に立てたって実感。ナレーションは一人でもできるのがいいし。飛び込んでみたってところです。
四本木:そういえば逸見さんの飛び込みは面白いって評価されてたもんね。
小坂:逸見さんの「売るためのアプローチ」さっきも言ったセルフ・ブランディングは勉強になった。
番組で自分の名前がテロップに出て来たときは涙がポロポロ出た(小坂)
逸見:私の場合は「セルフ・ブランディング」っていう考え方に触れた時、頭の中でなにかが「ぴかー!」とした。「これなら自分でもできるー!」って。それまで何となく生きて来たから、自分でビジョンや方向性を決めるっていうスクールの空気に触発されたんです。
四本木:小坂さんがナレーションを始めようと思ったきっかけは?
小坂:私は…なるって決めてたから。なにがあっても。
逸見&四本木:鬼気迫ってる(汗)
小坂:それは何度も自問自答して自分で出した答えだから。それに迷いがなかった。だから営業していくこともすんなり受け入れられたし。でも一歩踏み出すのはホントに恐かった。そんな積み重ねだったから、最初のOA番組で自分の名前がテロップに出て来たときは涙がポロポロ出た。
逸見:それはわたしもー!
小坂:いまもMAブースにいるときにクレジットみて、幸せで涙ぐむもん(涙)うう~。
四本木:では、今日はこのあたりで。みなさんありがとうございました。次回はあるのかな…^^;?
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