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MSS-20はハーフライフルの代用となり得るのか?

 色々とシンドくなってきたハーフライフルから、MSS-20に移行しました。

ここ最近、ハーフライフルが色々とピンチです。このままでは新規ユーザーも、既存ユーザーもいなくなってしまうのでは・・・というかなり悲惨な状況(泣)。

 そんな状況の中、僕は昨冬の猟期中に、メインの銃をこれまで使用していたハーフライフル(Savage220)からMSS-20に移行しました。
Savave220もMSS-20も、どちらもボルトアクション式の遠距離狙撃や精密射撃が得意な銃。ですのでこれから単独忍び猟※をやりたいという猟師にとって、真っ先に候補に挙がる銃です。

 ※「単独忍び猟」とは、一人で山に入って獣の痕跡を元に動物を追い、銃で狙撃し捕獲するという、シンプルな猟法です。痕跡や獲物の行動を読むトラッキングの技術、獲物を追うストーキングの技術、正確に獲物を狙撃する技術などの総合的な技術が求められます。

 僕にとって、MSS-20はハーフライフルの代用となり得るのか?

 本記事では、僕がMSS-20に移行した経緯から、Savage220とMSS-20のスペック比較。そして、実際に1シーズン猟期で使用してみた上での感想や不満点などについてまとめました。

 両者は特性や目的が近い銃だけに、実際に両方を所持し、使用したという比較レビューは意外と少ないかも知れません。
 これからMSS-20やハーフライフル(特にSavave220やSavage212)を所持しようとされている方、僕と同じ様にハーフライフルからMSS-20への移行を検討されている方、忍び猟に興味がある方などの参考になれば嬉しいです。

■まず前提をおさらい

 「サボット弾専用のハーフライフル・Savage220」と、「スラッグ弾※専用の散弾銃・MSS-20(一応、散弾も使えます)」の比較の前に、前提として知っておいて欲しい事が3つあります。(銃猟に慣れた経験者や、昨今のハーフライフル事情を把握している方であれば本章は飛ばしてもらって大丈夫です)

スラッグ弾とは‥
 散弾銃で使用できる弾の種類の一つで、小さな弾が広い範囲に飛び散る「散弾」とは異なり、1発の弾丸だけが飛ぶ、威力の強い弾。一般的に散弾が鳥などの小さな獲物に使用されるのに対し、スラッグ弾は鹿や猪などの大型獣の捕獲に使用される。

【前提1】銃種別の有効射程

 そもそもの前提として、大物猟をする猟師の銃の選択として、大きく以下の3つに分かれます。

ライフル銃(有効射程:約200m以上)
ハーフライフル銃:(有効射程:約150m)
散弾銃:(有効射程:約50m)

ライフル銃は銃身内の溝、ライフリングによって弾の精度が高く、200m以上先まで狙撃できます。ただし、銃刀法ではライフル銃を所持するには散弾銃などを10年間継続して使用した実績がなければならないという縛りがあります。ですのでこれから銃を所持したい人にとっては、一旦、選択肢から外れます。

 初年から所持出来る一般的な散弾銃で、スラッグ弾(1発弾)を撃つ場合、有効射程は50mほどと言われてます。巻狩りをメインでやる猟師であれば、50mあれば十分という人も多いです。

 そして、ハーフライフル。散弾銃とライフル銃の中間に位置し、有効射程は散弾銃の3倍ほどの150mもあります。

 今回、僕がハーフライフルから移行したMSS-20は、分類としては散弾銃になるのですが、「スラッグ専用の散弾銃」とされ、スラッグ弾の精度において散弾銃の中でも最高クラスを誇り、有効射程は約100mほどと、一般的な散弾銃の倍くらい長い。つまり、ちょうどハーフライフル銃と(一般的な)散弾銃の中間に位置する銃というわけです。

【前提2】ハーフライフルの強みと弱み

 ハーフライフルの強みは有効射程が長い事。その強みを活かせる猟法はやはり忍び猟です。遠く(100m〜150mくらい)にいる、まだこちらに気づいていない(または警戒はしてるがじっとこっちを見ている)獲物に対し、スコープで狙いをさだめ、確実に狙った部位を狙撃する(静的射撃かつ部位破壊)。そんな猟のスタイルに向きます。

 逆に弱みとしては、多くが単身ボルト式なので連射が不得意。また、スコープとセットで使う事が前提となるので、視野が狭くなりがちで動的射撃にはあまり向きません。ですので、走っている獲物(動的射撃)、更にはその群れを撃つ状況(連射が必要)が多くなるような、巻狩りには不向きと言われます。

ここらへんの基本的な銃の分類やスタイルごとの向き・不向きについては、以前に初心者の方向けに作成した、以下の動画をご参照いただけると良いかもです。(どちらの動画も長いですので暇なときにでも見てください。)


【前提3】ハーフライフルの所持と運用にまつわる昨今の問題

 そんなハーフライフルに関して、これから所持する新規ユーザーと、既存ユーザー、どちらにとっても無視できない問題が浮上してきてます。

問題その1:新規ユーザーが所持しづらくなる
 まず、ハーフライフルをこれから持ちたいという新規ユーザーに関して、昨年(2023年後半くらい)から狩猟業界でざわついているニュースとして、ハーフライフル銃の規制を強化する銃刀法の改正があります。
ハーフライフル銃の所持にあたって、ライフルと同様に猟銃の所持歴が10年以上必要とする厳格な許可基準を適用。つまり初年からハーフライフルの所持ができなくなる、といった規制を盛り込んだ銃刀法の改正案を政府が閣議決定しました。

出典元:NHK北海道

 北海道などの遠距離狙撃がメインとなる現場において、初年から持てる銃としてハーフライフルは非常に有効ですが、それが今後持てなくなる事でヒグマやシカなどの有害捕獲の現場に対するこの規制の影響は大きいようです。
 そんな懸念点や北海道側などの反対も受け、有害駆除に使う場合などの事情に配慮し所持許可の特例を設ける方針のようです。ですが、いずれにしてもハーフライフルを所持することに対するハードルは一気に上がりそうです。(既存のユーザーに直ぐには影響はなさそうですが‥)

問題その2:サボット弾の高騰&入手難
 僕もハーフライフルをずっと愛用しているのですが、既存のハーフライフルユーザーを直撃している問題が、ハーフライフル専用の弾であるサボット弾の高騰&入手難です。

 ロシアのウクライナ侵攻やアメリカのライフル銃の規制の緩和(アメリカ内においてハーフライフルで使用するサボット弾を使う必要性が減った)等の影響により、2022年の中頃から、ハーフライフルで使用するサボット弾の日本への流入が激減しました。(これらの原因については、銃砲店のおじさんと話した噂レベルですが)
 原因はどうあれ、サボット弾の入手がめちゃくちゃ難しくなりました。お世話になっている銃砲店などにお願いして何とか入荷してもらえたとしても購入数に厳しい制限があったり、買えたとしても値段が以前の2倍以上(1000円超/1発。が当たり前)に跳ね上がりました。

 ※ちなみに僕が今回移行したMSS-20で使用しているメインのスラッグ弾「REDBIRD・Competition」は約300円/1発。安い!在庫も豊富です。

 個人的には、値段の高騰だけなら「有害駆除費でカバーできるし」などと、まだ何とか耐えていたのですが、その後はとうとう入荷時期が完全に未定、といった状況が続き、好きだったFEDERALのサボット弾は絶望的、それ以外のメーカーであってもゼロイン調整も気楽に出来ないほどに。弾の流通については地域差等もあるかと思われますが、僕の環境においてハーフライフルを日常的に使用することが現実的ではなくなってきてます。

 趣味として猟期だけに1〜2頭くらい捕れれば良い、という考えであれば影響は少ないかも知れませんが、猟期だけでなく有害捕獲としても通年捕獲している身としてはこの影響は大きすぎます(泣)。

 そんな状況に耐えきれず、今回、MSS-20の購入にいたったのでした。

新銃で購入し、開封したばかりのMSS-20STD。ピカピカ。


■スペック比較

所持しているSavage220(上)とMSS-20(下)
所持しているSavage220(上)とMSS-20(下)

 これまでメインで使っていたSavage220(写真上)と、新たに入手したMSS-20(写真下)です。並べるとMSS-20の銃身の長さが分かりますね。
 ハーフライフル銃身(Savage220)からスムースボア銃身(MSS-20)になることで、有効射程が50mほど短くなる(精度が落ちる)という事の実猟への影響は後ほど述べるとして、まずはスペック上の数値や構造等の違いをみていきます。

Savage220(ステンレス) ※2015年に新銃で購入
 生産:アメリカ・SAVAGE社
 番径:20G(12Gモデルの212もあり)
 銃身:ハーフライフル銃身(有効射程=約150m)
 全長約:1090mm
 重量:約3.3kg
 充鎮可能段数:弾倉内2発(薬室1発)
 参考価格:約21万円(2015年に新銃として購入時)
 その他:ピカティニーレール標準装備(照星・照門は無し)

MSS-20 STD
 生産:日本・株式会社ミロク製作所
 番径:20G
 銃身:スムースボア銃身(有効射程=約100m
 全長約:1187 mm ←長い!
 重量:約3.5kg ←重い!
 充鎮可能段数:弾倉内1発(薬室1発) ←1発少ない!
 参考価格:約25万円(定価は約33万円)←ちょい高い!
 その他:照星・照門標準装備(レールは別売り

写真で細かな点もみていきます。

弾倉
 弾倉に入れられる弾ですが、Savage220が2つ、MSS-20が1つ。

Savage220(左) と MSS-20(右)の弾倉(開放時)
Savage220(左) と MSS-20(右)の弾倉(開放時)
Savage220(左) と MSS-20(右)の弾倉(装着時)
Savage220(左) と MSS-20(右)の弾倉(装着時)

 弾倉を装着した際はSavage220は1発多い分、先台の下に弾倉がボコっとでっぱるのに対し、MSS-20は先台の中にすっぽり収まります。
また、Savage220の弾倉がプラスチック製(安っぽい。でも軽い)ですが、MSS-20は鉄製(高級感あり。でも重い)。ここらへんは好みかも知れませんが、軽くて1発弾が多く入るSavage220に軍配が上がりそうです。

トリガー

 Savage220の僕が気に入っていた点に「アキュトリガー」があります。これはトリガーをより軽く、キレを良くするための機構。下の左側の写真にある銀色の穴が3つ空いたアキュトリガーとその後方にあるメインのトリガーを同時に引かないと引き金が落ちません。この機構のおかげで、メインのトリガーをかなり軽く、引き代を少なくできるといったメリットがあります。写真を撮る人なら分かるかもしれませんが、ちょうどカメラのシャッターボタンの半押しのような感覚(ピピッと半押しでピントを合わせて、構図を決めてパシャって感じ)で引き金を引けるところが好きだったんです。

Savage220(左) と MSS-20(右)のトリガー部
Savage220(左) と MSS-20(右)のトリガー部

 対して、MSS-20のトリガーは、肉厚ながらとっても普通。そしてSavage220に慣れた上で引くと、相当に重く感じました。ですので後ほどトリガーの重さを調整し、400gほど軽くしました。(それでもまだSavage220の方が軽いですが)
 という事で、トリガーもSavage220の勝利かな。

その他の違い
 その他には、ストックの材質が、Savage220がシンセティックという樹脂製、MSS-20が木製。樹脂製は軽く、精度を求めるなら樹脂製が有利と言われますが、超遠距離狙撃でも無い150m以内かつ大物猟の現場においては誤差と思われます。

 また、銃身の材質は、僕のSavage220はステンレス(鉄のモデルもあり)で、MSS-20は鉄。ステンレスは錆びにくいメリットがありますね。

 それから、Savageの最新のモデルはアキュストックといって、チークの高さやストックの厚みを付属のパッドを交換して調整できるようです。(僕のは旧型のためできません。うらやましい。)

 最後に、カタログや数値などからは分かりづらい現物をさわって分かる違いとして、やはり国産の強みと言うか、MSS-20の方が全体的な作りが圧倒的に良いですね。僕は銃に工芸品、美術品的な美しさは求めませんが、MSS-20の無駄が無く、堅牢な感じは好きです。

 こうやって比較してみると、作りの良さを除いて、Savage220の魅力が際立ってみえちゃいますね。(複雑な気持ちだ)

■1シーズンMSS-20を使用しての猟果は・・・

 実際にMSS-20を持って山を歩き回ってきました。この冬は自分の身体をMSS-20に慣れさせるため、例年よりも巻狩りはちょっと少なめにして、単独忍び猟を多めにしました。その結果ですが以下の通りです。

・捕獲頭数:34頭
・対象獣:大物獣(シカ9割、イノシシ1割)
・出猟期間:約2ヶ月
・出猟頻度:週に2〜3回
 ※使用銃はMSS-20とし、巻狩りや流し猟での捕獲頭数や小型・中型獣の捕獲頭数は除いてます。

 出猟期間が約2ヶ月とやや短いのは、今回、追加購入したMSS-20の所持許可がおりて現物が手元に届いたのが12月上旬でして、そこからトリガー調整とスコープ調整と多少のカスタムをして、「毛皮なめし講座」などの仕事が落ち着き、猟場に入れたのが12月後半だからです。

 MSS−20で初めて出猟した日。落ち葉に薄く雪が積り、空からのちらつく雪がみぞれに変わりはじめた午後、源流域の奥山でオス鹿に出会えました。そんなMSS-20での記念すべき?1頭目を捕獲した時の映像が運良く撮れました↓

 鹿は画面左側から画面の奥(上)へ向かって逃げ、そこを狙撃してます。小さくて見えづらくてすいません。見えないって方は大きい画面で見てみてください。

弾は後頭部から入り、額から抜けてました

 この時、鹿は既に僕に気づいて逃げてますが、ある程度僕から距離がとれて少し安心したのか、はたまた様子見をしたいのか、木の陰で止まりました。あるあるです。本来はここで狙撃のチャンスなのですが、この時、僕の位置からはちょうど木が邪魔してバイタルゾーンが隠れてしまっていました。ここはじっと我慢して、再び動くのを待ってから頭を狙撃。鹿までの距離は70mくらい?後ろからの動的射撃であり、理想的な状況ではなかったものの何とかヘッドショットで捕れました。うん。幸先は良さそう。

その後の捕獲データからも検証してみる
 その後にも捕獲を続けたそのデータを元に、捕獲時(狙撃時)の獲物との距離と頻度、合わせて自分の忍び猟におけるメインとなる距離を改めて確認したかったので、捕獲した34頭を距離別のデータ分布グラフにしてみました。(以下の距離の多くは目測の距離なのであくまでも目安です)

距離別の捕獲頭数(データ分布)
距離別の捕獲頭数(データ分布)

 最大距離:130m(1頭)
 最頻距離:55〜65m(8頭)
 平均値:54m
 中央値:50m

 その結果、この猟期における僕の忍び猟のスタイルと環境において、今回、もっとも頻度が多かったのが55〜65mの8頭。次いで45〜55mが7頭と多いです。平均値が54mで、中央値がなんとぴったりの50m。僕の銃のゼロイン調整は50mで合わせており、やはり僕のメインの距離は50〜60mくらいで良さそうです。

 となると、ゼロイン距離を50m前後とするならMSS-20でなくとも、もっと連写性能の良い普通の散弾銃銃でも良いのでは?という考えを持つ方もいるかもしれません。もちろん、連写性を優先し、精度が落ちる事を許容するなら、例えば巻狩りをメインでやるなら、それもアリです。
 ですが僕は、可能ならバイタル狙撃でパタッと安楽殺を狙いたい(と言うか半矢にするのが嫌過ぎる)し、連写性能より精度を重視したいので、MSS-20を選んでいます。シンプルにボルトアクションが好きという理由もありますが。

 尚、今回100m超えで捕ったのは3頭だけ。特に130mの方はドロップを考慮してかなり上を狙ってます。ドロップ幅はSavageと比べてやはり大きく、Savageの有効射程距離である150m近くとなるとMSS-20ではかなり難しくなってくるのでは?という印象です。今の気持ちとしては150m先に獲物がじっと止まっていたとしても、撃たずに近づけるよう、立回りたいですし。

 やはり、データを取りつつ後から振り返ってみると色々と発見があって面白いですね。これらの今猟期の単独猟の様子は、別途もう少し掘り下げてみたいと思います。

捕れた際の空薬莢は全て持ち帰り、頭数把握の目安として、本棚の上にならべてます

■結論、近〜中距離ならMSS-20に移行して問題ナシ!

 猟場で1シーズン使ってみての結論は、猟場でのメインとする射程が100m以内であれば、MSS-20で問題ないと言えると思います。正直、移行前は少し不安はありましたが、MSS-20に移行して本当に良かった、と言うかもう惚れてます。少なくとも現在の僕の狩猟スタイルにおいて、全く後悔は無く、もっと早く移行しておけば良かったと素直に思います。

有効射程が短くなる影響はほぼ無し(個人的かつ猟場的に)
 有効射程がハーフライフルから50mほど短くなるとは言え、僕にとっては運用上ほぼ気になりませんでした。
 その主な理由としては、上のデータからも分かる通り、僕の好みとして100m以上離れて獲物に遭遇した場合は、より確実に狙撃するために、まずは地形などの遮蔽物を利用して近づく努力をするからです。
 そして、僕の入る山は地域的に山が急峻かつ杉などの針葉樹の森が多いため、そもそも100mを超える遠距離狙撃ができる場面が少ないです。 

 北海道のような見渡しが良く遮蔽物の少ない平原だと、遠方にいる獲物に近づくことが難しいかも知れませんし、メインとなる獣がヒグマとなると、あまり近づきたくない。そんな場合においてハーフライフルの恩恵は大きいかと思いますが、本州の山間部での忍び猟ではMSS-20でも全く問題ないと言うか、単独猟をやるなら超オススメというのが僕の現時点の結論です。

不満点もあります
 ホメてばかりも何なので、使ってみた上での不満は以下の3点。
長い!←枝、藪によく引っかかる
重い!←長距離を歩く忍び猟にはこたえる
ジャムる!
←Savageよりもヒドいかも?

ただ、それらも許せちゃうほど、当たる!
長い、重いの2点については、命中精度のためと思えば許容できます。

 ただ、ジャムる(撃った後のリロード時に排莢がうまくいかない)問題についてですが、体感でSavage220が1〜2割くらいの確率で発生するのに対し、今の僕のMSS-20のセッティングでは、2〜3割くらいの確率で発生してます・・・。これでは、忍び中に群れに遭遇したような場合に、連続で複数頭を撃ち捕る事はかなり厳しいです。

 ただこれは、メーカー側がセパレート型のベースマウントを推奨しているにもかかわらず、ワンピース型のピカティニーベースを付けている僕が悪いし、事前情報からも分かっていたのでヨシ!と無理やり自分を納得させてます。そもそも連射性能を期待して選んだ銃では無いし。

 縁あって所持していたLeupold社のスコープ「Mark 4 CQ/T  1-3x」がどうしても使いたかったという理由で、仕方なくワンピースのピカティニーベースでMSS-20に取り付けたのですが、相性は良くなかったようです。

Leupold社の「Mark 4 CQ/T  1-3x」
Leupoldの名品「Mark 4 CQ/T  1-3x」。レンズが明るく、倍率1×3と低倍率。
50m前後をメインとする僕にはちょうど良いのですが・・・

 このジャムり問題については、推奨されているセパレート型のベース及びそれに対応したスコープに今後変更し、解決できるかどうか検証してみようと考えていますので、その際は改めてレポートしますね。

■まとめ

 ハーフライフルのSavage220から、MSS-20に乗り換えることによってのメリットとデメリットをまとめます。

【メリット】
・使える弾のバリエーションが増える。
・サボット弾と比べ、弾の値段がめっちゃ安くなる。(相対的に、ですが)
・メンテナンスなどを含め国産であることの安心感

【デメリット】
・有効射程が約50mほど、短くなる(約150m→約100m)
・重くなる
・長くなる
・弾倉が1発少なくなる
・アキュトリガーじゃなくなる
・取り付けるベースによってはジャムる

 今回比較してみて、重さや長さなどのデメリットを考慮すると「改めて、Savage220って良い銃だったな・・・(過去形)」と見直してしまいました。もちろん、これまでずっと使ってきて、良い銃であることは重々実感してるし愛着もあります。

 ただ、近年の弾の入手難問題が致命的過ぎます。これはハーフライフルの構造がどうこうというよりも、サボット弾が手に入らない事が問題ですが。
 そもそも、ハーフライフルの所持や弾の購入が困難である問題は、戦争を含めた国際問題や日本国内の政治的な問題であって、銃そのものは何も悪くないんですよね。今回の法改正に対しても個人的に思う点はありますし、銃は悪くないのに愛着のある銃がお役御免となってしまう事はシンプルに淋しい。
 いずれにせよ、今後はハーフライフルという銃種がこれまで以上に特殊な位置づけになっていくことは間違いないかと思います。

 対するMSS-20ですが、1シーズンの猟期を通して使ってみた今、100m前後でもちゃんと当たるし、50m前後の精度としては文句無しです。そして、弾の値段を気にせずに狙撃に集中できる。という(サボット弾が高騰した事により相対的に発生した)圧倒的なメリットがあります。これがMSS-20に移行して良かったと思える最大の理由です。

 庶民である僕にとっては、1発1000円を超えるサボット弾は、撃つ際に、いくら値段は気にするまい、と思っていても、どうしても気にはなっちゃうし。
 逆に、いくらでも金はある!弾代なんていくら値上がりしようが気にならん!入手先もコネがある!という富豪の方や、メインとなる狙撃距離が150m前後となる方にとっては、Savage220及びハーフライフルも引き続きアリな選択かも知れません。

 次回は、MSS-20に施した調整やカスタムについて触れていきたいと思います。また、MSS-20を使っていく中で、今後気づいた事などがあれば随時ご紹介していきますので、楽しみにしていて下さいね。

※2024/04/24追記
 今冬の猟期にMSS-20に施したカスタムについて、以下の記事にまとめました。


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