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【芸人自伝#7】祖父はライチ泥棒?!



失踪した父、パワフルな母、そして盛田さんと濃い大人に育てられた僕。



そして、忘れてはならないのが祖父と祖母。



母が働いていたので、大半の時間は祖父と祖母と過ごした。



祖父はザ田舎の訛りの強いおじいちゃんという感じで、畑仕事と必殺仕事人を観ることが大好きな人な温厚おじいちゃんだ。


おじいちゃんが怒った所はほとんどみたことない。


唯一怒った所をみたのは、僕が幼稚園の時に地元にできたばかりのファミリー焼肉店でのこと。


ここはうちの地元にできた唯一の大型焼肉店。


リーズナブルでサラダバーとフルーツバーもあるお店。


うちの家ではお出かけする度に通っていた。



いつも焼肉を食べに行き、サラダバーとフルーツバーを付けて、家族団らんの楽しい外食。



そして、いつも帰りにお会計の時にレジの横に設置されてあるフルーツバーのむきライチを一つパクっとつまんで帰るのが祖父の恒例だった。


幼き頃の僕はわかっていなかった。


フルーツバーには時間制限があり、時間がなるとフルーツは食べてはいけないのである。


無論、祖父に悪気はなくそんな事はわかっていない。


毎回来る度にライチをぱくっ。


他のフルーツには目もくれずにライチをぱくっ。


しかも取るのが早い。自然と流れるように取る。



その手早さは仕事人。


そう、まさに必殺仕事人である。


ライチを手早く食べる祖父はその時だけは必殺仕事人の主役の藤田まことに見えた。


本当に。何故そんなにライチばかり食べるのか。


ある日、祖父に聞いてみた。


『ライチ好きなの?』


祖父は答えた。


『好かん。(好きではない。)』


好きじゃないのか!!!!



ならば、何故。


いまだにわからない。



そして、ある日事件は起きた。



いつものように焼肉屋へ行くと、フルーツバーにビニールがかかっており、その横にポスターが貼ってあり、



ポスターには老人の絵が書いてありその絵に大きくバッテン(×)がされていて、その下にこう書いてあった。



【ライチはルールを守って食べましょう!】



確実に祖父の事だ。と思う。


祖父に聞いた。


『これ、おじいちゃんの事だよね?』


すると、祖父が顔を真っ赤にして


『わしの訳なかろうが!!!!』


と、声を荒げた。


僕は泣いた。


子供ながらわかった。


本当の事を指摘された時に人は怒る。


それ以来、祖父が怒った姿を見ていない。







まだ売れていない。








とぅーびぃこんてにゅー...




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