沖田遊戯のトークライブを皆に見てほしい
10/26の深夜、沖田遊戯(敬称略)のトークライブ、「カバタレ オールナイト」に参加してきた。
映画系YouTuberで芸人の沖田遊戯が、深夜の24時から早朝の29時まで、ほぼぶっ通しで自身の漫談や気になったコンテンツなどについて語り明かすトークライブだ。
私は沖田遊戯のライブに行くのは初めてではなく、予定がついた時に不定期で参戦している。2021年ごろに映画のレビュー動画から好きになって以降、2022年の「エンドロールまで付き合えよ」や、過去のオールナイトトークライブである「ヲタ叫び」にも参加してきた。
そして久しぶりに現地参加してきた「カバタレ オールナイト」であったが、今回も例に漏れず最高のライブだった。トークライブと言うと、コアなファンしか来ないのでは?と憚られる人もいると思うが、最近沖田遊戯を知ったという人にも是非トークライブに行ってみることをお勧めしたい。絶対ハマるから。
このnoteではそんな沖田遊戯の「カバタレ オールナイト」が最高だった理由を、芸人・沖田遊戯のトーク力と言う観点から紹介したい。
圧倒的なトーク力
沖田遊戯の一番の魅力といえばトーク力。一にも二にもトーク力。ライブのたびに毎回驚かされるが、彼の軽快なトークは、阿佐ヶ谷ロフトの椅子に長時間座っていることすら我々が忘れてしまうほど面白い。彼自身もそれを自覚しており、「日本で一番トークが上手いと思っている」と自分で言っているのだ(いつだかの配信で言っていた記憶があります)。日本で一番は流石に冗談だろ、と思う人もいるかもしれないが、その豪語すらも説得力を持ってしまうほどトークライブでの彼には魅了されてしまう。
今回の「カバタレ オールナイト」でも、その彼の魅力が遺憾無く発揮されていた。最初の企画は「沖田遊戯のベストトークアルバム」。沖田遊戯が選んだ50個のエピソードリストの中から、観客が聞きたいエピソードを順に披露していき。披露したエピソードの中でのベスト10を決める、というもの。
ライブでは、合計20個前後のエピソードが語られた。正直、内容としてはパンチの弱いものもあったものの、最低でもエピソードの中で1つは笑いどころを作る貪欲さとセンスに笑いと同時に驚かされた。個人的には「心霊スポットで横ウィリー」と「TENGAレビュー」が一番好きだった。
沖田遊戯のトークの分解
沖田遊戯のトークの魅力は、細部まで覚えている記憶力×聞いていて飽きないリズム感×本当の感情に根ざしている点の3つにあると私は思っている。「そんな細かいところまで覚えてるん?」とこちらが突っ込んでしまうほどのディテールが詰まったエピソードで、観客にも話している内容の情景がありありと浮かんでくる。そして彼の出身である広島弁のリズムにより、長時間のトークでも全く飽きない小気味の良さを実現している。この2つの要素でも十分面白いのだが、3点目の「本当の感情に根ざしている」点で、よりトークの気持ちよさに拍車をかけている。
ここでいう「本当の感情に根ざす」とは、沖田遊戯がそのエピソードの中で真に感じたことを言葉(あるいは身体)で表現しているということだ。エピソードを話す際、つい我々は面白いことを言おう、人を笑わせようという下心が働き、実は思っていなかったことや感じていなかったことを捏造して語ってしまうものだ。それは面白くなるかもしれないが、その話はえてしてリアリティを失ってしまい、聞き手の感情は動かされにくい。しかし沖田遊戯のトークは、エピソードそれぞれに彼が当時感じた嘘のない感情が乗っかっており(少なくとも私にはそう感じている)、それを先述の記憶力とリズムを以てして語ることで、彼にしかできない独自の面白さを実現しているのである。
そしてその強さは、今回の「カバタレ」はじめ生のトークライブでさらに鋭いものとなる。50個のエピソードリストの中には、彼のトーク用のチャンネル「お遊戯室」の配信で既出のものもあったが、私はそれらも2回目ながら思わず初見のテンションで笑ってしまった。それは3つ目の要素である「本当の感情」を表現する幅が、配信という2D空間からライブでの身体表現を伴った3D空間へと拡大したからだと考えている。そういった意味でも、単にアーカイブで見るより、阿佐ヶ谷ロフトに行って生で見ることをお勧めしたい。
「カバタレ オールナイト」のイチオシ名場面
そして今回の「カバタレ オールナイト」で、私が彼のトークに改めて脱帽したのは「世界が終わるまでは」のくだりだ。本当に奇跡の瞬間だった。会場では、その場面で最も観客が沸いて拍手が起きていた記憶がある。
そのくだりは、沖田遊戯が独自のグランプリを開催し、映画や漫画ごとにその部門の優勝を彼の偏愛で発表していく「CULTURE-1 GP」で起きた。
各コンテンツごとに最高のセリフ・フレーズを紹介していく「フレーズ-1 GP」の漫画部門にて、沖田遊戯はスラムダンクの「俺は今なんだよ…」を優勝とした。そして彼は、「すいません、『世界が終わるまでは』流してもらっていいですか?」とスタッフに声をかけ、BGMに「世界が終わるまでは」の曲を流しながら、そのセリフの良さを語り始めた。
山王戦の詳細を語りながら、セリフに至るまでの状況説明をしていく沖田。曲が流れているのも相まって、説明にも熱が入っていく。このまま淡々と説明して終わると私は思っていた。
がしかし、サビに入る直前の刹那である。
沖田「俺は、俺は、、今なんだよ…!」
BGM「世界が終わるまでは〜〜♪」
会場、割れんばかりの笑いと拍手喝采。
セリフを言った直後にラスサビというタイミングの気持ちよさ。
もう私はなんで笑っているのかわからなかった。面白い、とかの次元ではない。私は、サビが流れるまでを彼が即興で計算しながら話していたという事実に、思わず驚嘆の拍手を送ってしまったのだ。
というか、どこから計算していた???
「いつから花鳥風月を使っていないと錯覚していた?」と言わんばかりの隠密性である。
この瞬間を見れただけでも、私はこのライブに来た価値があると思った。
残念ながら、配信で見ることができるアーカイブでは、この奇跡のシーンは見ることができない。一部は沖田遊戯のXに掲載されているので、それだけでもぜひ見てほしい。配信画面だと曲の音量にかき消されてしまっているが、ラスサビ直後の盛り上がりは深夜テンションも相まって、まさに熱狂そのものだった。
このように、「カバタレ オールナイト」が最高な理由を沖田遊戯のトーク力という観点から紹介してきた。
今回紹介したトークだけでなく、観客を巻き込んだコミュニケーションや、有料もしくは会場でしか話せないような毒のある話も彼の魅力であるため、
少しでも興味が湧いた方は、アーカイブ配信が11月10日23:59まで視聴できるので、ぜひ見てみてほしい。