見出し画像

『製品開発力―自動車産業の「組織能力」と「競争力」の研究』1990年代のバブル崩壊前までは学術的に「価値創造システム」が研究されていた(日本の歴史)

 経営学者の藤本隆宏氏を製造業の生産管理方式の研究者だと認識していたが、次の定式の価値創造にあたる設計情報の創造についても研究成果を出版していることを知った。

「生産=設計情報の転写、企画開発=設計情報の創造」

 本書は1985年から1990年にかけてフィールド調査を行った20社の自動車メーカーの製品開発のパターンをまとめたものだ。他業種の読者は自動車メーカーの事例から価値創造システムを学び取って欲しいということなのだろう。基本的に製品開発がうまく行くには、研究開発部門の技術力だけではなく、ユーザーのニードに的確に対応した製品の形にして、ベストなタイミングで市場に投入する必要がある。これは極めてあたりまえのことだが、それを実現するためには何が必要なのか。本書はその答えを導き出している。


ここから先は

2,697字
この記事のみ ¥ 100

Creative Organized Technology をグローバルなものに育てていきたいと思っています。