NAKBAとドイツとネボ山
少し前の話だが、2008年3月23日渋谷のユーロスペースで『NAKBA』を観た。今年の正月は田舎に帰らず東京にいて、六本木ヒルズで「エイリアンとプレデター」という映画を観たが、ユーロスペースのNAKBAの方が入場者が多く、予想以上に日本でパレスチナ問題に興味を抱く人が多いことに驚いた。
パレスチナ人はイスラエルが建国された1948年にパレスチナの地から追い出されたり、虐殺されたり、支配する側が支配する地に住む人たちに行う民族浄化が平然と行われた。それをパレスチナの人はNAKBA(大惨事)と呼んでいる。ドイツで起きた民族浄化のホロコーストと同じことが、1948年イスラエル建国により行われていた。
映画の中で、パレスチナ人の人がNAKBA記念館(エルサレム郊外のホロコースト記念館と同じこと)の館長(と言っても民家の2階の小さな部屋が記念館)は、
「ホロコーストで殺された人は人で、NAKBAで殺された人は動物か」「WHY?」
と静かに語っていた。ホロコースト記念館でコーラを飲む若者を嘆くユダヤ人。NAKBAとホロコーストは同じとだとするイスラエル人とパレスチナ人の「ナクバ60」共同プロジェク。イスラエル側にもいろいろな人がいる。
しかし、民族浄化などということは、いつから始まっただろうか?昨年の5月にヨルダンを旅した。ぺトラの遺跡からキングスハイウェイを北上し、目的地のネボ山に。ここからヨシュアはジェリコに進行し、カナンの地を自分たちのものにしたという「ヨシュア記」に出てくるネボ山だ。このネボ山から眺める景色は、眼下に死海、その向こうにエルサレム、そして右にはヨルダン川と世界最古の街、ジェリコ。旧約聖書の歴史をそのまま眺めることができる。日本ではあまり読まれないというヨシュア記。民族浄化のルーツはNAKBAまで延々と繰り返されている。
今年の夏休みには、フランクフルトのゲットーの跡地を訪ねる予定だ。