『親イスラエルと反イスラエル』(イスラエル)
日本ではほとんど知られていないが、デジタルマーケティングやリテール業界で有名な無印良品はイスラエルへの出店の計画があった。(中止になった)
最近コカ・コーラやペプシがガザに工場を建設したことや、スターバックスへのボイコット運動があることは、グローバルでよく知られている。「Buy No Evil」というパレスチナ自治区のイスラエル入植地の製品を知ることができるAndroidアプリなどもある。
そして、最近はイスラエルブームなのだろうか。イスラエルのStart upのすばらしさを伝える記事もたくさんある。日本政府も正式に日本とイスラエル投資協定に大筋合意しました。中国とイスラエル間の企業間の連携も盛んになってきました。韓国は出遅れてしまった。
欧米諸国は以前からイスラエルとの企業連携を推進している。しかし、このようなイスラエルのイノベーション(Creativity)を積極的に活用しようとするグローバルな流れと反した活動が、前述の無印良品、コカ・コーラ、ペプシ、スターバックなどなどで起きていることも確かだ。
『多産多死と己の失敗』で紹介したように、私がイスラエルとビジネスを行っていた時代はアラブボイコットの影響がまだ残っていた。
アラブボイコットとは、アラブ連盟の所属国(エジプト・シリア・レバノン・イラク・ヨルダン・サウジアラビア・イエメンの7か国で結成した同盟。後にパレスチナも含め加盟国は22か国となった)による対イスラエル経済制裁だ。
第1次オイルショックで日本は、親イスラエル国家とみなされ石油が高騰したため、イスラエル軍の占領地からの撤退とパレスチナ人の人権への配慮を声明し、長い間イスラエルとの政治的な関係は距離があった。
当時イスラエル製の教育コースウェアが、IPAに純粋な技術提案として受け取られるのか心配だったので、MITI(現在のMETI)の中東アフリカ室にアラブボイコットの影響が残っているかどうか様子を伺いに行ったこともある。
しかし、十数年を経過した2015年12月16日に、「日・イスラエル投資協定に大筋合意」というニュースリリースがMETIから発表されるに至った。このニュースリリースの発信元は「通商政策局中東アフリカ課 通商政策局経済連携課」となっているが、当時の中東アフリカ室は3、4名で、少人数なことに驚いた記憶がある。(今は何人体制なのだろう)
イスラエルはパレスチナ自治区への入植活動を中止する気配はない。幾度となく行われるガザ侵攻では世界中で反対運動が巻き起こり、ボイコット企業はリストアップされ、不買運動の標的とされている。不買運動を和らげる意味もあるのだろうか、コカ・コーラやペプシはガザに工場を建てた。
日本人が日本で普通に暮らしていると、このようなグローバルな変化を感覚的に察知する能力が退化してしまう。
しかし、グローバルビジネスに大きく影響するイスラエルとパレスチナの問題(さらにイスラームの情勢の変化)などは絶えず念頭に入れて置く必要がある。
これらのイスラエルボイコット運動には共通点があり、すべての商品がボイコットの対象になる訳ではない。
つまり、結論としてイスラエルボイコットの影響をあまり受けないシステムを見つけ出せれば、このボトルネックは解消することになり、グローバルでトップレベルのオープンイノベーションを取り込むことができる、ということになる。