見出し画像

2021.1.4新日本プロレス東京ドーム大会雑感


あけましておめでとうございます。
緊急事態宣言再発動が秒読みという不穏な幕開けで2021年が始まりました。
私はというと直近の報告としては自転しながら公転している毎日です。
意味がわからない方は山本文緒さんの最新作を読んでください。


世の中が不穏な方向に流れても、心は不穏じゃない方に触れながら生きていきたいです。
ということでプロレス見に行ってきました。
毎年恒例1・4。
今年は新型コロナウイルス感染拡大を受けて、


(11月)開催発表、ソーシャルディスタンス仕様のため入場人員制限、それにともない割高になったチケット料金が発表

(12月初旬)チケット発売

(12月上旬)「GoToイベント」の対象になったので割高になったチケットが4割引きになり通常と同程度に(私はこのタイミングで購入)

(12月中旬)感染拡大につき「GoToイベント」対象除外、こっから買う人はやっぱり割高で買ってね

(12月下旬)さらに感染拡大につき人数をここで止めるのでチケットは今まで売った分で締め切ります、当日券も出しません

というようにチケットの扱いが二転三転四転くらいして、関係各所はさぞ大変だったと思います。
ほんとになんなの。「GoToイベント」って。
「バンザーイ、なしよ」みたいな政策出しやがって。
「GoTo商店街」もそうだけど、現場はすげえ振り回されてるぞ。

その話はおいといて、さてレッスルキングダム。
今年も「1/4、1/5の二日間開催」で、両方は見に行けないので初日の今日だけ見に行ってきました。


オープニングは木梨憲武によく似たドン・キナシと長州力で開幕宣言。
長州、孫を抱いて入場。あざとかわいい。


第1試合 BOSJ勝者vs.SJC勝者
高橋ヒロム vs. エル・ファンタズモ

ちょっと眠かった。


第2試合 IWGPタッグ王座戦
タイチ&ザック・セイバーJr.(C)
vs.
タマ・トンガ&タンガ・ロア(W/邪道)

タイチ、ポジション上がったなあ。
新日本はタマ・トンガ&タンガ・ロアをすごく買ってるのはわかるが、いまいち何が評価されてるのかよくわからない。


第3試合 USヘビー級王座挑戦権利証争奪戦
KENTA(保持者) vs. 小島聡


もともとKENTAの相手はジュース・ロビンソンだったがジュースがケガして欠場、代わりに名乗りを上げたのが小島。

11年前はG1を制した小島。10年前は1.4のメインだった小島。
そこから月日は流れ、だんだんと小島にはどうでもいいポジションでの試合があてがわれるようになり、やることといえば社長が『コンニチハ、ニッポンジン!』と叫ぶNWAからやってくるうさんくさい外国人の相手だったり、天山のお守りだったり、ヤングライオンと普通にタッグマッチやって「まだまだだね。でもいい刺激もらったよ!」と毎日毎日叫ぶ刺激のない毎日だったり、全日本に出向して諏訪魔とシングルが組まれたと思いきや試合開始前にジョー・ドーリングが不可解な乱入して試合を壊されてポカンとしたまま帰ってきたり、天山のお守りだったりする日々。
おそらくは何回か叩かれているであろう肩を全集中の呼吸で何も感じないように心掛け、地方興行では第二試合の鍋仕合で所定の時間を働き、ビッグマッチでは普通に試合が組まれず、それでも文句を言わず、道端でロスインゴの帽子をかぶったファンを見かけたら「しみじみと感謝した」というのをわざわざTwitterに書く小島。

https://twitter.com/cozy_lariat/status/1340321163377950720


矢野通に「おお、小島、今日もツイッターで置きにいってるなあ(=無難なウケを狙いに行ってる)」と称される小島。


長州力に「いいか小島?SNSだけには注意しろよ?SNSだけは本当に危険だぞ?わかるか?」

コジ「はい」

長州「知らないモンが見てるんだぞ?」

と説教される小島。



10歳年下のKENTAに「必ず小烏さんに勝つ」と書かれると「小島だよ!」と直球で打ち返す小島。
「ドームで大島に勝って権利証守る」と書かれてもやはり「小島だよ!」と打ち返す小島。
(KENTAさん、おつかれさまです)


そんな小島も今年で50歳。普通に大ベテランなはずなのだが、あまり重鎮感がない。
どこにいっても天山が横にいて、天山の横には小島がいる。
その関係性は相棒というより共依存に見えなくもないが、かつて「1+1は2じゃないぞ。オレたちは1+1で200だ。10倍だぞ10倍」という数学上の新しい定理を提唱した希代の名タッグ・テンコジは今でも多少人気がある。


大ベテランになった二人は、もはや新しいユニットに属したりしない。新しい技も出さない。
何も足さない。何も引かない…のは難しく、着実にコンディションは引いているが、あまりそこを気にする人もいない。
きっとこれからも小島は会社に与えられた仕事をし、置きにいったツイートをし、長州にたしなめられ、天山と肩を組む。

KENTAのGo2SLEEPを受けてゴロンと転がる小島。

いい人生じゃないか。挑戦だけが人生じゃない。
年をとればもう新しいものはそんなに必要ない。
会社にしがみつく。それもまた立派な人生なのだ。
負ける人間が必要になったなら、自分から買って出て負ける。それもまた男の大事な仕事なのだ。
そんな小島に私はなりたい。




第4試合 シングルマッチ
棚橋弘至 vs. グレート・オー・カーン


話題のグレート-O-カーン、入場とキャラクターは完成しているが試合になるとまだキャラクターが投影できていない。
もっと怪奇派っぽく、いいかげんな試合をした方がいいと思う。

久しぶりに棚橋が勝つところを見た。
年始から縁起物。




第5試合 シングルマッチ
オカダ・カズチカ vs. ウィル・オスプレイ(W/ビー・プレストリー)


オスプレイは「THE EMPIRE」を結成してからレスラーのランクが2段階くらいアップしたと思う。
じゃなければドームのセミファイナルで組まれたりしない。
今日は負けたけど(ちょっと試合も冗長だったような)、これから先楽しみしかない。


第6試合 IWGPヘビー&ICダブル王座戦
内藤哲也(C) vs. 飯伏幸太


この組み合わせが東京ドームのメインでも何の違和感もなくなったなあ…と入場する両者を見ていて思った。

途中、飯伏さんがエプロンから場外へのフランケンを仕掛けたときにDDT武道館でのケニー戦を思い出した。
違うのは観客の反応が薄かったことで。
一応「声は出してはいけない」となってるのだけど、それでも本当にびっくりした時はみなマスクの下で声が出ている。
今日の場外フランケンであまり声が出ていなかったのは、みなあれぐらいの攻撃に慣れてしまっているのだろうか?

飯伏さんが封印していたフェニックス・スプラッシュを出したのに胸が熱くなった(かわされてしまったが)。
最後は走りこんでのヒザ蹴り(坂口征夫の神の右膝と同じフォームだった)からのカミゴェ。
ようやく飯伏さんがIWGPを獲る姿を見ることができました。
最初にIWGPに挑戦したのは2015年4月。両国でのAJスタイルズ戦。試合の佳境でケニーが出てきて(出させられて)、DDT時代からの二人を見てきた人間には非常にモヤモヤしたタイトルマッチでした。
あれから6年かかったけど、東京ドームのメインでIWGPを巻く飯伏さんの姿を見られてよかった。

そしてこの二つのツイート。




高木さんは業界二番手となったサイバーファイトグループの代表で、昨年「打倒・新日本プロレス」というテーマをはっきりと打ち出した。
プライベートはともかく、表向き新日本プロレスを応援するような対応はしない。

高木さんは「周りの人間から見てどう思われるか」を非常に気を遣う。
自分が飯伏さんのことをチヤホヤしたら、今いる若い選手はきっと複雑な気持ちになるのではないか。
だから高木さんは飯伏さんに安易にコンタクトをとらない。

しかし、飯伏さんは高木さんの元に12年間いて、最後は自分が戦って送り出したのだ。
その選手が業界最大のイベントで、歴史あるベルトを獲ったのだ。
何も思わないわけがない。

このツイートはその二つの感情で生まれた表現だ。

そしてケニー。「やっとかよ」と「おめでとう」の混じった感情。


プロレスは歴史で、物語でもある。

今日、一つの大団円を見ることができた。

けれどこれはまだ途中で、ここからまた別の物語が始まる。

プロレスは始まりがなく、終わりもない。
ずっと続いていく。
だからよいのだと思っている。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?