11.20新日本プロレス×スターダム合同興行「Historic X-over」有明アリーナ大会雑感
先日中学生の時の友達2人と久方ぶりに酒を飲む機会があり(付き合い自体は古いのに3人で酒を飲むのは初だった)、「またプロレス見に行きたいね」という話になった。
中学生の時は全日本やFMWを一緒によく見に行ってたが、高校になって生活圏が変わったあたりで3人で見に行くことがなくなっていた。
友達2人(M君とD君)のうち、M君の方は今でもプロレスをたまに見に行ってるが、D君の方は高校以来まったくプロレスから離れた生活を送っていた。
社会人になって1回だけ仕事関係でプロレスのチケットが回ってきたので見に行ったという。
それがリアルジャパンプロレス。
「どうだった?」
「いや、佐山サトルと船木(誠勝)が出てたことしか覚えてない」
むしろリアルジャパンプロレスの営業力を褒めるべきだと思う。
D君はたまたま夏にテレビで放送していた「プロレス総選挙」を見たらしい。
それで「いまスターダムって女子プロが人気あるんでしょ?」みたいな断片的な知識を得たので、じゃあ行ってみるかとなり、おあつらえ向きに新日本とスターダムの合同興業があったのでチケット取った次第。
個人的には先月に引き続いて「最近はプロレスから離れている古い友達と有明アリーナでプロレスを見る」を2か月連続で行うことになった。
これも縁とタイミングというか。
両方に武藤敬司=グレート・ムタが出ていたのが象徴的。
有明アリーナ、7割くらい埋まってただろうか。
そもそも広いのでここを満員にするのも大変そうだが。
ダークマッチの途中で入場しました。
◆第1試合 リオ・ラッシュ、YOH、YOSHI-HASHI、石井智宏vsディック東郷、SHO、高橋裕二郎、EVIL
正規軍側に入れられてたリオ・ラッシュがやたらフィーチャーされてた。
よく知らなかったので帰ってきてから調べたらWWEやAEWに出てた人なんですね。
軽量級で、いい動きしてました。
EVILはもう指先から光線出さなくなったんだなあ、と思う程度には新日本プロレス久しぶりの観戦。
◆第2試合 レディ・C、AZM、上谷沙弥vsテクラ、桜井まい、ひめか
ひめかさんって昔スルースキルズにいた子ですよね。
秋山準社長時代の全日本で試合前にリングで歌ってた。
いやー大きくなって…と親戚のおじさん目線で見てました。
何年か前の新日本西武ドーム大会でやってたスターダム提供試合に出てた時はどこかオドオドしていたレディ・Cが自信満々に試合していて、やっぱ場数だなあと考える。
中学高校の家庭科の先生だったのを辞めて女子プロレスラーになった選手です。
人生の物語が過ぎる。
◆第3試合 朱里、トム・ローラーvsジュリア、ザック・セイバーJr
◆第4試合 なつぽい、中野たむ、金丸義信、タイチvs渡辺桃、スターライト・キッド、DOUKI、エル・デスペラード
◆第5試合 林下詩美、棚橋弘至vs舞華、後藤洋央紀
新日本×スターダムのミックストマッチが3試合。
いかにもコラボ、って感じでよいと思うが「男子は男子と、女子は女子と試合すること」という高校の校則みたいなルールがあるらしく、男子と女子が絡もうとするとやたらレフェリーに止められていた。(タッグマッチにおけるカットはなぜかOKだった)
男子レスラーと女子レスラーを試合で絡ませるといろいろ面倒なことが起こるんだろうか。
あくまで推測でしかないが、新日本プロレスには女性ファンが多く、スターダムには男性ファンが多くいる。
そのあたりでハレーションが起こることを警戒したのだろうか。
ただ言うまでもなくタッグマッチは2×2の組み合わせが生まれ、タッグ同志の連携があるからこそ面白いわけで、そこに制限がついてしまうと面白味も半減する。
結果的にミックストマッチ3試合はどれも「可もなく不可もなく」という試合内容になっていた。
組み合わせとしてもスターダム側の選手の関係はわからないが、新日本側の選手は同じユニットの選手同士だったりで(ザックとトム・ローラーは同じユニットではないが)「なるべく事故のないように」みたいな意図が見て取れる。
男子レスラーと女子レスラーが並列に試合するDDTを見慣れてると男子×女子の組み合わせに過剰なくらい気を使っているように見えるが、団体も違うし、いろいろと「混ぜるな危険」な事情があるのかもしれない。
大会通じて感じたことだが、スターダムの選手はどの選手も入場の世界観が完成されている。
音楽、エントランスムービー、入場コスチューム。
どの選手にも凛々しさとカッコよさがあって、宝塚歌劇団のスターを彷彿させる。
新日本の選手は棚橋とか内藤といったトップどころはそれが出来ているのだが、残念ながら全員とはいかない。
悪い方で具体名を出すのは恐縮だが、岩礁に打ち寄せる荒波の映像で『混沌の荒武者』と出すムービーにあんまり「カッコいい…!」ってならない気がするんだよね。いやなる人はなるんだろうけど。
たいがいの人は「『混沌の荒武者』ってなんだろう…」みたいなボヤッとした感情が残されるだけで。
後藤のエントランスムービーを見るたびに5~6年前に後楽園ホールで見てた時に後ろに座っていたギャルっぽい女の子二人組が「『荒武者』ってさ、焼酎の名前っぽくね?」と言ってたのをいまだに思い出す。
新日本プロレスは棚橋弘至監修の「新日本プロテイン」と同時に「本格麦焼酎 荒武者」も作った方がいいと思います。
あと中野たむとイチャイチャするタイチを見て「いろんなことが過去になったんだなあ」と思いました。
◆第6試合 BUSHI、高橋ヒロム、SANADA、鷹木信悟、内藤哲也vsギデオン・グレイ、フランシスコ・アキラ、TJP、カイル・フレッチャー、マーク・デイビス
ロスインゴとユナイテッドエンパイアの10人タッグ。地方大会のメインイベント感。
リングアナウンサーも兼ねるギデオン・グレイがいい味出してました。昔のアントーニオ本多みたい。
全日本民からすると「フランシスコ・アキラをよろしくお願いいたします」しかない。
アキラ、がんばってね。
つらくなったらいつでも全日本に戻ってくるんだよ。
◆第7試合 グレート・ムタ新日本プロレスラストマッチ
グレート・ムタ、矢野通、オカダ・カズチカvsアーロン・ヘナーレ、グレート・O・カーン、ジェフ・コブ
ちょうど先月のNOAHに棚橋たち新日本プロレス勢が出てたので、バーター的な感じでムタが呼ばれたんだろうなーというのはわかっても、なぜここにオカダが入れられてるのかはよくわからなかったです。
オカダはこないだ「ムタvsシンスケ・ナカムラばかりが話題になってるけど、僕とジェイの試合の方が上」みたいなトランキーロ、そんなにあっせんなよなマウントを取っていたのでてっきりこの試合もムタに対してどこかで何かあるのかな、と思ってましたが特に何もありませんでした。
まあ、オカダがそういうフックになることを自発的にできる人じゃないのは知ってるのですが、ああ言った当人が今日は目の前にいるんだから、なんかアクションをしろよ…と思ってしまう。
まあやるわけないんだけど。
それにしてもオーカーンの使い勝手の良さよ。
昔だったら飯塚高史&矢野通が務めていた「絶対的ベビーフェイスの対戦相手」ポジションは今ではすっかりオーカーンの役割になってます。
もともとえらい地味だったヘナーレとジェフ・コブを引き入れてヒールのポジションを担ってるのは立派。
しかしオーカーンはこのあとどういうキャリアを積むのがいいんだろう。
このキャラでIWGPヘビーを目指してステップアップするのも変な気がするし、ある日いきなりストロングスタイルの申し子・岡倫之が出てきて「オーカーン?それ誰ですか?」とIWGPヘビーを目指すのももったいない気がするし。難しいね。
最終的にはユナイテッドエンパイアを追放されて、東スポの岡本記者がマネージャーになって二人三脚でやっていく展開を期待しています。
◆第8試合 IWGP・USヘビー級選手権試合 ウィル・オスプレイ(王者)vs海野翔太(挑戦者)
先月のオスプレイvs内藤戦の試合後に乱入、3年間にわたる海外遠征から帰ってきて即ベルト挑戦をアピールした海野翔太。
すっかりヤングライオンから垢抜けたのはよいのだが、どうしてこの団体はスター候補をみんな「茶髪のソバージュロングヘア」にするのだろう。既視感がひどい。
凱旋帰国にあたってついたニックネームは「Roughneck」。
「笑う首?あ、それはlaughneckか…」くらいのぼんやり英語を考えていたら「Roughneck」は「乱暴者、暴れ者」みたいな意味だそうです。
全然乱暴者に見えないけど…むしろ礼儀正しそうだし…。
ジョン・モクスリーに買われて弟子みたいなポジションでやってたとかで、見た目はハイフライフローとかやりそうなのにモクスリーと同じデスライダー(ダブルアームDDT)使ってました。
入場時に客席練り歩くのもモクスリーオマージュなのか。
対するチャンピオンのオスプレイ、なぜかハヤブサのコスチュームで登場。驚きました。
ハヤブサだ!!#NJPWxSTARDOM #NJPW #STARDOM pic.twitter.com/rIjvFuQ8LM
— スモーク smoke (@Kemurist) November 20, 2022
あとから見たらTwitterでハヤブサの娘さんに「いつか私が尊敬する、貴方のお父さんのコスチュームで新日本でパフォーマンスしたい」とリツイートしていたらしい。ハヤブサの命日に。泣ける…。
試合は海野がニュースターらしく溌剌としたファイトを見せていたものの、終盤息切れ。
動けなくなったところレフェリーのレッドシューズ海野(お父さん!)が試合を止めようとすると「止めるな!」と絶叫。
最後はオスプレイに振り切られた印象。
試合前のVTRで「オカダのレインメーカーショック」「ジェイ・ホワイトのスウィッチブレードショック」に並ぶ「ラフネックショックを起こせるか!?」みたいに煽られてたけど、あんまそこと比べられてもしんどいよね。
そんな凱旋一試合目で誰もがビックリする結果出す方が難しいわけで。
むしろよく戦ってた気がする。
新日本は「若手が育ってない」とよく下げられてたものですが、気が付けば海野に成田、近く帰ってくるであろう辻、いろいろ出てきた。
これからいかに彼らを上げていくか、楽しみです。
…と思ったら試合後に暗転、ビジョンに映ったのはケニー・オメガ!!
「久しぶりだな、新日本プロレスのみなさま。なんでここにいると思う?」から始まるVTRが本当に素晴らしいので、とりあえずみんな一回は見てください。
🚨緊急速報🚨
— njpwworld (@njpwworld) November 20, 2022
「もう一度、俺が世界を変えてやる!」
AEWのケニー・オメガから緊急メッセージが到着‼️
1.4東京ドームでウィル・オスプレイとの対戦を表明‼️
👀視聴&登録⏩https://t.co/Tj7UBJ4PjP#NJPW #njpwworld pic.twitter.com/xLwovUxE8t
いや、もう本当に素晴らしい。
言葉がリアルだよ。体重が乗ってるよ。上滑りした参戦表明じゃなく、本当にリアルな言葉を踏まえた上でのオスプレイへの対戦要求。
私は今大会でここの場面が一番テンション上がりました。
そしてケニーは、5年前のクリス・ジェリコと同じことをしようとしてるんだなあ…と感慨深くなった。
あのときはケニーがUSチャンピオンで、そこに当時まだWWEとつながりがあったかなかったかぐらいのタイミングで世界のスーパースター・ジェリコが挑戦表明してきた。
あれから立場を入れ替えて、今度はケニーが「世界のスーパースター」のポジションになって、新日本トップ外国人になったオスプレイと戦う。
VTRにあった「おまえがやったことは忘れていないし、許してはいない」というのはなんだろう…と思ってたら二人の過去の因縁を(2022年8月まで)まとめてくれてる方がいました。ありがたい。
【永久保存版】ケニー・オメガとウィル・オスプレイの過去の因縁・抗争まとめ
この二人にはいろいろあったんだね…。
嫉妬、期待、失望、いろんなものが混ざった確執だと思います。
さーレッスルキングダム。俄然楽しみになってきました。
◆第9試合 IWGP女子初代王座決定トーナメント決勝戦 岩谷麻優vsKAIRI
スターダムの中に「IWGP」を作るのか、新日本の中に「女子部」を作るのか、いまだ主軸がどっちの団体にあるのかよくわかってませんが親会社主導で始まったIWGP女子王座決定戦。
スターダムに明るくないので煽りVTR見ただけの情報ですが、この2人は生え抜きで、1期生の岩谷と3期生のカイリ。
数年前にカイリがWWEに行くまでは何度となく試合した関係。
カイリが凱旋してからはこれが最初のシングル。
岩谷は線が細いけど感情表現豊かで、どこか全女の空気を感じさせる。
対するカイリはビジュアルとキャラクターが今日出た選手の中でも突き抜けて完成してる。
生え抜き同士の試合なんだろうけど「海外で頑張った末に帰ってきた人vsずっと日本で頑張ってた人」の試合は終盤両者フラフラになってまでキックアウトを続けて、最後はカイリが勝利。
個人的にはどちらかが肩を上げた後に2人とも動けないみたいな状態だと「もう決めちゃえばいいのに…」と思ってしまうんですが、限界の先までやらないといけないんでしょうか。
本当に2人とも精も根も尽き果てててました。
(しかもカイリは試合4日前に捻挫して歩けない状態だったとか…超人すぎる)
後半戦は新日本色が強かっただけにメインイベントがスターダムだったのはバランス的によかったと思います。
最後はカイリが「1,2,3,ダーッ!」締め。
いや、われわれ今「ダー!」って叫べないんですけど…。
しかし世代的にカイリよく知ってたな。
ミックストマッチの難しさを課題として残しつつ、全体としては楽しかった。
サイバーファイトフェスもそうだけど、団体を混ぜるって思った以上に難しいのかもね。
普段熱心に追ってない団体の選手を見ると発見があっていいですね。