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2025.1.5東京ドーム「WRESTLE DYNASTY」雑感

新日本プロレス、AEW、CMLL、ROH、STARDOM5団体合同興行「WRESTLE DYNASTY」を見に行ってきました。
DYNASTYってどういう意味だっけ?と調べたら「王朝、世襲による権力継承、支配者層」という意味があるそうです。(英辞郎調べ)
プロレス王朝。うーん。頭にグレート―O―カーンが出てきてしまう。

観客はドームにしては少な目。
あとで見たら16,300人だそうです。
前日の1.4東京ドーム大会は24,107人。
たいしてカード変わらなかった印象なんですが、1.4のブランドなんですかね。

今日は約20年プロレスを見てないという中学時代の同級生・Tくんを誘って見に行きました。
むかしTくんと後楽園ホールに見に行った新日本は『おらしっかりいけよ!』という野太いドスのきいたヤジがよく飛んでたことしか覚えてません。
ジョージ高野と橋本真也が出てたのは覚えてる。
20年ぶりにプロレスを見たTくんは東京ドームの華やかな入場演出を見て「いまこんななんだね」と感心してました。

 ▼第1試合 ルチャ・ガントレットマッチ 時間無制限1本勝負(8人参加)

○石森太二(16分23秒、外道式クラッチ)エル・デスペラード●

ルチャやジュニアのいろんな人がわらわら出て多人数でやるバトルロイヤルみたいな形式。
デスペさんが集中砲火にあっていた。

 ▼スペシャルエキシビションマッチ 5分1本勝負

△棚橋弘至(5分00秒、時間切れ引き分け)柴田勝頼△

新日本のリングにおける柴田勝頼の扱いって公式なアナウンスはなくて、「どうも(2017年の脳震盪以降)普通の試合はやらせてもらえないぽい」みたいな風聞しか聞いてないんですが、スポーツ報知が「団体が健康面に配慮し今回のエキシビション形式を除いて事実上、禁じられている」とさらっと書いてました。
やっぱそうなんですね。

ほぼ同期の棚橋の引退ロードマッチで組まれた今日の試合も「エキシビションマッチ 5分1本勝負」だし、試合チョップ合戦しかやらないで終わるし、なんか公にならない(できない)制約がいっぱいあるんだろうなあ、という現状。
これで終わりなのも寂しいなあ。
(バックステージでアメリカでの再戦をリクエストしたとか)

▼STRONG女子&RPW統一ブリティッシュ女子ダブル選手権 30分1本勝負

○STRONG女子王者・メルセデス・モネ(14分06秒、モネメーカー→片エビ固め)RPW統一ブリティッシュ女子王者・白川未奈●

ビール飲んでたらいい感じに睡魔に負けてしまった。すみません。

 ▼スペシャルシングルマッチ 30分1本勝負

○デビッド・フィンレー(12分53秒、オーバーキル→片エビ固め)ブロディ・キング●

AEWの“HOUSE OF BLACK”、「黒い家」のブロディ・キング。でかかった。
名前がアレですが別にキングコングでも超獣でもニードロップでもありません。
フィンレーを完全に追い詰めながら最後に逆転負け。
NWA王者の防衛戦みたいな試合。

 ▼スペシャルシングルマッチ 30分1本勝負

○海野翔太(14分31秒、デスライダー→片エビ固め)クラウディオ・カスタニョーリ●

前日ザックの持つIWGP世界ヘビーに挑戦して敗れた海野、今日は「ジョン・モクスリーが差し向けた“Teacher”」クラウディオ・カスタニョーリと対戦。
大柄のテクニシャン・カスタニョーリに終始ペースを握られながら最後デスライダーで逆転。
うーん…海野がエースになるにはあと3年くらいかかるかな…。
なんか私の見た感じでは海野はどちらかといえば陰キャな方で、「かっこいい正統派エース」を無理してやってるような気がするので、一回ユナイテッドエンパイアか、可能であればダムネーションT.A.とかに入ってやりたいようにやる時期があった方がいいように思います。

 ▼NEVER無差別級選手権&AEWインターナショナルダブル選手権試合 60分1本勝負

○NEVER無差別級&AEWインターナショナル王者・KONOSUKE TAKESHITA(13分30秒、レイジングファイヤー→片エビ固め)挑戦者・石井智宏●

今日のお目当て試合その1。
東京ドームの花道を歩く竹下を見て「ここまで来たかあ」と感慨に浸りました。
高校生でデビューしたときから見てますからね。
完全に親戚のおじさん目線です。

昨日の鷹木信悟戦を経て今日の石井戦でも激しい肉弾戦。
今日も「竹下は石井の100%を受けられるけど、石井は竹下の100%を受けられないんじゃ」という試合で、やせ我慢&やせ我慢な展開の中でも打撃をまともにもらってた石井はきつかったのではないだろうか。
今日もいい試合。

途中、竹下が田中将斗のスライディングDを見せたとき、「僕の中で最高の試合の一つは2013年の田中将斗vs石井智宏戦」と以前言ってたのを思い出した。

こんな東京ドームに出るようになっても竹下…いや竹ちゃんはどこか今もプロレスファンなところがあって、「俺もやってみよっと」という、その無邪気さがおそろしい。
石井相手に正面からぶつかり合って完勝。
ああ、NEVER無差別級はAEWに行っちゃうのか…と思ったら、試合後に「俺は今、DDTとAEWの2団体に所属しているが、それに加え、新日本プロレスと3団体所属になった」と言ったらしいじゃないですか。

いやー…どうなってしまうんでしょう。
我々としては過去に二団体所属になって、両方の団体でバランスを取れなくなって心を崩してしまった先人を見てるので、竹下には「無理せんといてな」という思いしかありません。
てか、こうなったらDDTはあんま出られないですよね。実際問題。

まあでも今の竹下見てると一番いい時期な気がするんで、IWGPとAEW,両方の世界選手権取るとかやってほしいですね。
実際できそうな気がするし。
大谷翔平のように、誰も行ってない地平にまで行ってほしい。

そこまでやった竹下がDDTに戻ってきて上野勇希と向かい合ったら、やっぱりDDTの観客は上野を応援しそうな気がするんだよね。竹ちゃんごめん。
でもそれもまた“らしい”気がするんだ。
なので私はここから4年後の竹下vs上野戦を期待しています。

▼IWGPタッグ王者チーム決定戦3WAYマッチ 60分1本勝負

○マシュー・ジャクソン、ニコラス・ジャクソン(13分46秒、メルツァードライバー→片エビ固め)グレート―O―カーン●、ジェフ・コブ

※他は内藤哲也&高橋ヒロム

ヤングバックスを6~7年ぶりぐらいに見る。
“やんちゃなボーイズ”みたいだったのが大人の男性になりました。
AEWでは会社のえらい人になったみたいですが、あいかわらず動きがよくて素晴らしかった。
定期参戦してほしい。

 
▼IWGP GLOBALヘビー級選手権 60分1本勝負

○王者・辻陽太(13分15秒、ジーンブラスター→片エビ固め)挑戦者・ジャック・ペリー●

隣に座った、約20年プロレスを見てないというTくんに「辻はいい試合するよ」と説明したらまさかの凡戦だった。
ジャック・ペリー、あんまよく知らないけど悪くはなさそうだったけど…プロレスって難しい。

 ▼スペシャルシングルマッチ 時間無制限1本勝負

○ケニー・オメガ(31分55秒、片翼の天使→片エビ固め)ゲイブ・キッド●

ケニーは2023年12月に憩室炎という腸が炎症を起こす病気になり、無期限休養が続いていた。

2024年11月の新日本プロレス大阪大会に来場、2025.1.5東京ドーム大会で復帰したい、と要望を語った。

そこに現れたのが新日本プロレスへの団体愛を誰よりも強く持つゲイブ・キッド、「おまえは過去に新日本を捨てて出て行ったくせに!」と突っかかり乱闘、今日の対戦へとつながる。

ゲイブの主張、行動は実にプロレスぽくて、たぶん本当にそう思ってる。本当にケニーに「ふざけやがって!」と怒ってる。
一方でその怒りを試合に転換できたらいい、という気持ちも必ずあったはずだ。
そして二人の対戦が発表された。
こういったリアルな感情を巻き込むと名勝負になるときもあれば、かえって関係を悪くするときもある。やってみなければわからない。

ケニーとゲイブの場合、見事な名勝負になった。

1年以上という長いブランクから帰ってきたケニー、身体をちゃんと作ってきていた。
一方でまだスタミナに難がありそうで、試合途中たびたび動きを止める場面も目立った。
ただ中盤以降、二人は机やイスを駆使したハードコアな展開に持ち込み、流血戦になったことでそのブレーキの部分があまり目立たなくなった。

終盤は「どこまで行くんだろう、どこまでやるんだろう」の場面の連続。
ベストバウト・マシーンはいまだ健在だった。
一方でそのケニーに対等に渡り合うゲイブの実力も発揮され、終盤のアレンジを変えたパイルドライバーは何度も試合が終わったと思わせた。

最後はここまで徹底的にゲイブに防がれていた片翼の天使をついに成功させたケニーが激勝。
今大会一番の名勝負だった。
いや素晴らしかった。ケニーもゲイブも。
テレビ解説席の棚橋弘至が泣いてましたね。
表に出てない物語がいろいろあるのかもしれません。

昨日の1.4と今日の1.5、共通するのは新日本の「新世代」と呼ばれる選手たちが重要な試合に選ばれていることで。
海野、辻、ゲイブ。
その中でもゲイブは一歩先を行った気がする。
キャラクター、試合、どちらも完成していて、来年のドームはメイン張っててもなんらおかしくないと思った。
ここにKONOSUKE TAKESHITAを入れた4人が、今後の新日本をリードしていくんでしょうね。


 ▼IWGP世界ヘビー級選手権試合 60分1本勝負

○王者・ザック・セイバーJr.(20分57秒 クラーキーキャット)挑戦者・リコシェ●

もともとこの試合は今日のカードとして発表されていたが、昨日の1.4でザックがIWGP世界ヘビー級を防衛したことでこの試合も防衛戦となった。
ザック、連日タイトルマッチは大変やね…。

2024年夏にWWEからAEWに移籍したリコシェ、久しぶりの日本登場。
相変わらず華麗な空中技を連発してて、衰えてないところを見せた。

煽りVがなかったのでザックとの関係性はよくわからないが、関節技vs空中技という感じでそれなりに試合も噛み合ってたが、いかんせん前の試合のインパクトに押されてしまったような。
開始から両者とも早めのスパートかけられてて、早い勝負になっていた。
どこかで進行上の遅れが起きて、巻きが入ったのだろうか。

2025年の新日本プロレスは明確に過渡期に入っていて、海野、辻、ゲイブら新世代をメインイベンターとして育成する間はなんとかザックにエースとして踏ん張っていてほしい、という様子が見える。
本当はSANADAとジェイク・リーに現メインイベンター側に入ってほしかったような気がするんですけどね…あの二人どうなったんだろう。
それで竹下を引っ張った部分はあると思うんですけど。
外部の力を借りながらちゃんと育成しているので、新日本プロレスは強いと思います。
来年の1.4はどうなるんでしょう。

ってそもそも棚橋の引退試合って、メインイベントでやりますよね…?
あれだけの選手の引退試合が第五試合(休憩前)とか、そういう本当にやめてくださいね。お願いします。


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