男性は浮気をするものだと思っていた。
最近は家を建てるべく毎週のようにハウスメーカーに足を運び、営業さんや設計士さんと何時間も打合せしている。
おそらく担当の方々は私よりも一回りくらい上のおじさまたちなのだけど、とても優しくて仕事ができて私たち夫婦はその打合せをとっても楽しみにしている。
「家」というのは本当にその人たちの「生活」が透けてくるもので、おじさまたちのたまに出てくる夫婦の話しを聞くのが私はたまらなく好き。
珍しいなぁと感じるほど、全員夫婦仲が良いというのが話している雰囲気から伝わってくる。
目のしわをくしゃっとさせながら奥さんとのエピソードを話す。
「この間、妻と群馬まで珈琲を飲みに行ったんです」と写真を見せてくれるその顔は優しくて、宝物を見せてくれるようだった。
若い頃は「男は浮気をするもんだ」と耳にしていたし、「男は結婚すると変わるよ」とか「出産すると変わるよ」と本当に本当によく聞いた。
ドラマでも漫画でも不倫や浮気のものが多いし、Xでも夫への不満の書き込みを見かけるし、どこで読めるのかわからないが「旦那デスノート」なんてものも存在するらしい。
だからなのか付き合う男性を信じきれなくなっていたし、いつも疑心暗鬼で不安になってしまい、一人で生きたほうが楽なのでは…?と思うことが多かった。
結婚なんて妥協だよとか、結婚は墓場だよとか。
そんな言葉を耳にするたびに、結婚が遠のいていくように感じていたのだった。
そんなこじらせにこじらせていた私も結婚して今に至るわけだけど、やはり過剰な情報のほうが目に入ってきやすいものなのだなと感じる。
「夫婦で穏やかに暮らすこと」に憧れがあってそうなりたいはずなのに、私はそれよりも過激で下世話で低俗なニュースがするすると目に入ってきてしまっていた。
もしくはあの頃の私は「結婚しても幸せになれないんだ。じゃあ一人でいたほうが楽でいいじゃん」という言い訳ができるから目に入ってしまっていたのかもしれない。
当たり前のことだけど浮気や不倫をする人はするし、しない人はしない。
あの頃の私は「みんなするもの」と大きなくくりで考えてしまって苦しくなっていたような気がするのだ。
ハウスメーカーの方々と話していると、こういうご夫婦に憧れるなぁと毎度思う。
言葉や話してる雰囲気で相手への愛情が伝わってくる。
これから歳を重ねていった時、夫もこんな風に誰かに写真を見せてくれるだろうか。
「妻と行ったんです」と言ってくれるだろうか。
だんだんとしわが刻まれていき、白髪も増えて、なんなら髪も薄くなってしまうかもしれないし、太ってしまうかもしれない。
喧嘩もたくさんたさくさんしてるかも。
わがままをたくさん言ってしまっているかも。
私のことを女性として見れなくなっちゃっているかも。
それでも。
「妻と行ったんです」ってその優しい目尻から愛情が伝わってくるような、そんな夫婦になれたらと願うのだ。