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鹿の骨抜きをやってみた!~鹿三部作その2~
デイリーポータルZ x note共同での投稿コンテスト「#やってみた大賞」応募してみようと思い、東京都港区白金出身の私がなぜ長野県佐久市で鹿を捌くことになったのかという鹿にまつわる「やってみた体験」を三部作でお送りしようと思います。
第二回は「鹿の骨抜きをやってみた!」をお送りいたします。
持って帰ってきたものの・・・
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こちらの画像のお肉が戦利品です。前足になります。骨付きの状態で2.5kgくらいあったと思います。
まさか自分の家の台所がこんなヴィジュアルになるとは思いませんでしたがもう後戻りはできません。骨を抜くしかありません。
解体しているときみんなが「ばっこつ、ばっこつ」と言っていてなにを言っているのかよくわかりませんでしたが「抜骨(ばっこつ)」だということに家に帰って来てから気が付きました。
くれるものは基本的にもらうスタンスで生きてきましたが、もらった先のことも考えたほうがいいなとはじめて思いました。
しかし、やるっきゃないのでやります!!
おれはブラック・ジャック!
1分ほど立ち尽くしたのち、まず包丁を研ごう!と思いまぐろの頭を解体したときに買った出刃包丁を研ぎました。
さぁ、ここからどうする。
ワンアクションごとに先を見失います。
よーく肉を見ると
肉に隙間がある。
膜みたいなものが覆っている。
筋がある。
これをバラバラにしていくわけなので「立体パズルを解いていくという感じだなこれは」という見解に辿り着きます。
この「肉」「筋膜」「筋」を順番に切断しながら骨を抜いていくんだなと。
一体どこになにが繋がっているのか確認するために触診をはじめます。そして、一番手前の肉片から削ぎ落し始めました。
イメージは天才外科医ブラック・ジャック。
筋肉と筋、そして意外と存在感を発揮してくる筋膜を感じ取り、さながら外科手術をしている自分をイメージしながら目の前の肉片に対峙していきました。
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ぐるっとつながっている部位がありました。
無心になって肉を感じ続ける
ブラック・ジャックモードに入り、とにかく指先から感じ取る肉の隙間と筋と筋膜。極力鹿の前足の構造に逆らわないように包丁の刃を入れ少しずつ解体していきます。
全集中で鹿の前足と対峙すること2時間。
骨抜きが完了しました。
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と、お褒めの言葉をいただきました。
あらゆる角度から包丁を入れ、時に切らざるを得ない筋など力が必要な場面もあり、何度も持ち上げてひっくり返して肉の向きを変えながらやったので指の関節がおかしな感覚になっていました。
こちらが仕上がり
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きっと、焼肉屋さんのお肉みたいに部位ごとに名前とかあるのでしょうがなにがなんだかさっぱりわかりません。
ただ、極力肉と筋には逆らわずに切っていったので筋肉一つ一つは割りとそのままの形で分解できました。
全部終わってから食べられる部分の肉の重さを量ってみたら1.6kgでした。
まさか、肉までタダでゲットできるようになるとは夢にも思っていませんでした。
よく漫画で骨付きのもも肉をかじっているシーンがありますが、足の肉というのはとてもたくさんの部位と筋で複雑に組み合わさっているのでいくら火を通したとしても絶対にあんな風に食いちぎれないということがめちゃくちゃよくわかりました。
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次回 7/22に鹿料理編を投稿します!
骨抜きをしていきながらも感じていましたがいろいろな硬さや形状があり、料理ごとに部位を使い分けることはなんとなくイメージできました。
いわゆるもも肉のような部分はそのまま焼いたりローストしたり。硬い部位は煮込むか細かく切って火を通すか。あとは筋膜を取って調理するかどうか?
とにかく想像以上にたくさんの肉をゲットしたので全部冷凍してから考えることにしました。
この時、お昼の12:30。
6:30に起きてから6時間(途中で師匠の家で朝ごはんご馳走になっていますが)鹿と向き合い続けてきました。そして、冷凍庫が鹿肉で満載になりました。
鹿のことや二拠点生活、田舎暮らしを考えているけどいろいろ心配や不安がある方、気になることがあるけど誰に聞いたらいいかわからない方は遠慮なくご連絡いただければと思います。
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