ネグレクトができるまで
母は華奢であったので、小学校高学年の頃には力で負けなかった。
初めは力で言うことを聞かせようとしていた母。
といっても主に物を投げたりだが、たまに慣れない暴力をふるってきた。
もちろんベタに包丁を持ち出すのは日常茶飯事。
力技は全く効かなかったし、とっくみあっても倒れないし、勝てないと気づいてからは食事抜きで言う事を聞かせようとしてきた。
ある日、「もうお前に一生ご飯を作りたくないから1日1000円やるからそれで生きていけ」
と言われた。
私は物凄く嬉しかった事を覚えている。
それまではほとんどご飯が食べられなかったのに、急に好きなものを食べられるようになったのだ。
そう、母からしたら完全に失策である。
母の目論見はおそらく、私が泣きついてどうかご飯を作ってくださいと言うとでも思っていたのだろう。
一ヶ月好きな時間に好きなものを買い、顔を合わせる事もしなくていいし、とても幸せな時間が続いた。
もちろん気付いた母は気に入らず、お金を渡すのを何も言わずにやめた。
そこから完全にご飯がなくなり、全てに置いて放置するネグレクトが出来上がったのである。
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