悪い趣味の話
お酒が好きでよく飲む。
ハイボール、特に知多で割るのが美味しいと思う。
主に宅飲みだが、自動製氷した氷とロックアイスでは出来が全然違うし、マドラーの使い方ひとつで口当たりが変わる、というのは面白いものだと思う。
食にこだわりがない味音痴の私でも判るのだから、舌の肥えた方々がより高みを追い求める気持ちは理解できる。
とはいえ私が酒を欲する一番の理由は『酔うため』だ。であれば当然ストロング缶やペットボトルの甲類焼酎でも一向に構わないのだが、流石の味音痴でも安酒の雑味くらいは感知できてしまうので、殊更そちらを選ぶことはない。
(あえて不味い酒を流し込みたい気分のときは、活用させていただくこともある)
さて。
酔うために、事前に考えておかねばならないことがある。
・当日やっておくべき家事や雑務
当方、子持ち既婚者なのでそれなりの体裁がある。
宅飲みだろうが外飲みだろうが、ケツを考えずに飲み続けて便器に頭突っ込んだまま朝を迎えたり、早朝のゴミ捨て場で大の字になってるわけにはいかないのだ。
洗濯や皿洗いは翌日に回してもなんとかなるが、風呂は飲む前に入っておくのが良い。シャワーで済ませるにしても、酔った状態でまともに洗えているわけがない。
前回の翌朝は頭からボディソープの匂いがしたし、パンツ履いてなかった。
外飲みのときは、ケツと覚悟を決めておく。
・翌日の予定と起床時刻
深酒をすると決めた日の翌日は、基本何も予定を入れないことにしている。家族には「明日寝込みます」と宣言しておくと安心だ。
突発的に深酒せざるをえなかった場合は、死ぬ気で起きる。寝る前の太田胃散と起きてからのしじみ汁があれば大抵のことは乗り越えられるはずだ。
・記憶を留める酒選び
大概覚えてないのだが、時と場合によっては、人生相談を受けたり重要事項の伝達を頼まれたりする。そういう場面には、テキーラか泡盛が最適だと思う。
暑い国の酒は、視界が開ける酔い方ができる。解像度があがる。そしてアルコールを中和する時間が短い気がする。すべて体感でしかないが、相談や大事な話を持ちかけられそうな場合は沖縄料理屋がベスト。
逆に、寒い国の酒は代謝が鈍るしなかなか抜けない。身体を温めるために必要な作用なのだろう。
日本酒やワイン、ウォッカなんかは下手すると三日酔いになるので、どうしても飲みたいときはグラスで頼む。みんな飲むよね〜と瓶で頼んではいけない。絶対にだ。(個人の感想です)
アルコールなんて毒でしかない。
『節度ある適度な飲酒量』なんて存在しない。
私の悪趣味を、他人に勧めようとは思わない。
同志とグラスを傾け合えれば充分だ。
今後も内臓と駆け引きをしながら嗜んでゆきたい。